利用者は100万人を突破!会議室・ワークスペースのシェアサービス「スペイシー」とは? | RBB TODAY

利用者は100万人を突破!会議室・ワークスペースのシェアサービス「スペイシー」とは?

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2013年に株式会社スペイシーを立ち上げた、代表取締役の内田圭祐氏。サービスの利用者は毎月10~20%前後で増加中で、すでに100万人を突破したという
  • 2013年に株式会社スペイシーを立ち上げた、代表取締役の内田圭祐氏。サービスの利用者は毎月10~20%前後で増加中で、すでに100万人を突破したという
  • 会議室・ワークスペースのシェアサービス「スペイシー」。作業空間を借りたいユーザーと貸し出したいオーナーのニーズをマッチングしたサービスだ
  • Webサイトには、目的に応じた会議室・レンタルスペースを多数掲載。エリア、利用人数、設備、利用用途などからソートをかけることができる
  • ピンチをチャンスに変えた創業時のエピソードが面白い
  • 「スペイシー」の会議室イメージ
  • 「スペイシー」の会議室イメージ
 落ち着いた部屋で会議をしたい、あるいは集中できる環境で作業したい。しかし社内には会議室がない、カフェでは席がとれない、周りの声や反応も気になる……。そんなビジネスパーソンの悩みを解決するベンチャー企業がある。会議室・ワークスペースのシェアサービスとして利用者を拡大中の「スペイシー」だ。代表取締役の内田圭祐氏に話を聞いた。

■破格の安さ、その秘密は?

会議室・ワークスペースのシェアサービス「スペイシー」。作業空間を借りたいユーザーと貸し出したいオーナーのニーズをマッチングしたサービスだ
会議室・ワークスペースのシェアサービス「スペイシー」


 一般的な”貸し会議室”の場合、都内であれば1時間で3,000円~5,000円はするのが当たり前。しかしスペイシーでは、駅前の一等地であっても1時間500円~で借し出している。つまり4人で会議をするなら1人あたり125円~と、カフェよりも断然安く借りられる。この安さの秘密は、遊休スペースの活用にあるという。内田氏は「たとえば、語学教室の授業のない時間帯、飲食店の準備中の時間帯など、時間帯によって使われていないスペースは世間に多数存在します。それを貸し出すことのできるサービスがスペイシーです。社内に会議室を持つ企業であっても、使っていない時間帯なら、その会議室を他社に貸し出すことができます」と説明する。

「スペイシー」の会議室イメージ
「スペイシー」の会議室イメージ


 また、思わぬところでも利用の輪が広がっている。会議室を運営してスペイシーから副収入を得るビジネスパーソンが増えているというのだ。「新宿駅や渋谷駅などから徒歩数分の物件を借り、ホワイトボードと机や椅子を設置して会議室にして、スペイシーに掲載いただいています。いま、そうした物件が350ほどあります。これは全体の約1割を占める数です」と内田氏。これもひとつの投資の形と言えるだろうか。部屋の賃料が8万円ほど、スペイシーからの収入が15~20万円ほど、というケースもざらだという。ちなみにAirbnbで同じことをすると旅館業法との兼ね合いがあるが、貸し会議室の場合は、オーナーから許可がおりれば何の問題も発生しない。

 スペイシーでは、都内に約3,000件を超える会議室を用意している。掲載物件で最も多いのが、もともと貸し会議室を提供していたが空きが埋まらないのでスペイシーを通じて貸している、というケースで約1,800件。次に、遊休スペースを貸し出しているケースが約800件。そして前述の投資用が約350件となっている。

Webサイトには、目的に応じた会議室・レンタルスペースを多数掲載。エリア、利用人数、設備、利用用途などからソートをかけることができる
Webサイトには、目的に応じた会議室・レンタルスペースを多数掲載。エリア、利用人数、設備、用途などからソートをかけることができる


 「いま目指しているのは、各地の主要駅から徒歩3分圏内に貸し会議室がある、費用対効果でほかのスペースを使うよりスペイシーの方が安い、と思っていただける環境。そのレベルまでいければ、インフラになると思っています。したがって現在、格安で借りられる会議室の密度を増やしています。まずは東京都内でその状態をつくりますが、大阪、名古屋でも需要を感じています」(内田氏)。

■オーナーの取り分は?

 利用料金の設定額は、会議室を貸す側(オーナー)次第だという。その上で、内田氏は「平日の午前中なら500円、午後なら1,000円だと売れやすいでしょうか。ただ、平日の18~20時頃はピークタイムになります。ビジネスパーソンのプライベート時間ですね。したがって、この時間帯なら1,300円。同様に、土日も1,300円くらいなら予約が埋まる印象です。カフェと競合する料金の水準が、そのあたりなんでしょう」と分析する。

 なお、オーナーは売り上げの75%を手にできる仕組み。残りの25%は、システム利用分としてスペイシーに入る。初期費用や会議室の掲載料は一切かからず、スペースの登録はオンラインで10分で完了する。このあたりの簡便さも、登録スペースが爆発的に増えている要因なのだろう。

■事業を始めたきっかけは?

 実はスペイシーは、内田氏が設立した2つめの企業。最初に立ち上げた会社では、太陽光発電の一括見積りをしていた。ところが社員を30名まで増やしたところでパタッと収益が出なくなった。その後、社員を4名まで減らさざるを得なかったという。「広い部屋に、ポツンと4人が働いているわけです。すぐに小さいオフィスに移れれば良かったんですが、物件を解約するには数ヵ月かかる。そのとき、無駄なスペースを人に貸す手段もなかった。こんなケース、実際のところ世間にもたくさんあるのではないでしょうか」と内田氏。

 その後、会社は小さいオフィスに移ったが、今度は会議室がない。外のカフェで会議をしようにも、隣のお客さんとの距離が近い。そこで、ようやく貸し会議室のニーズに気が付いた。「試しに自分たちの新宿オフィスを土日限定で貸し出したところ、それだけで2ヵ月目にはテナントの賃料を稼ぎ出していました」(内田氏)。ピンチとチャンスが同居する、まさにそんな状態から活路を見出したのがスペイシーだった。

ピンチをチャンスに変えた創業時のエピソードが面白い
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■現在の状況と、今後の展開

 現在の利用状況について聞いた。「いま利用者の8割がビジネス用途ですね。1割が語学やヨガ、着付け、美容院のカットなどを学ぶ教室。講師がスペースを借りて、生徒を呼んで教室を実施しています。マッサージもありました。地代が破格の安さなので、そこに高品質のサービスを乗っけても、非常にリーズナブルに提供できるのがメリットです。残りの1割は、ゲームをする、ママ友が集まる、などの趣味の集まりに利用されています。言われてみれば、主婦が集まれる個室ってあるようでなかなかないんです。カラオケでもカフェでもない落ち着ける個室となると、自宅か相手の家しかない。そこでスペイシーを利用いただいています」(内田氏)。

 なるほど、会議のほかにも様々な使われ方があり興味深い。もちろん物件やオーナーによって用途には制限もあるようだ。楽器など大きな音がするものはNGが多く、またネイルなど臭いが後に残ってしまうものも厭われる傾向があるという。

 直近の動きとしては、10月13日に空きスペースを席単位で貸し出せるサービスを新たに開始した。「30分50円のワークスペース」として利用者の拡大をはかる。ターゲット層については「1人だと会議室は高い、コワーキングスペースとまではいかないでも椅子とテーブルと電源とWi-Fiがあるスペースが欲しい、そんな方にご利用いただければ」と内田氏。利用者のいない間の企業のセミナールーム、夜に開店する飲食店の日中、といった間隙を狙って作業空間にし、貸し出すことを考えている。オーナーとしても、売上にならなかった部分で収益が生まれるなら大歓迎だろう。

「スペイシー」の会議室イメージ
「スペイシー」の会議室イメージ


 シェアリングエコノミーのビジネスが広がる中、空きスペースを貸し会議室に変身させるアイデアは時宜にかなったものに感じられた。ゆくゆくは、商店街や商用ビルの空きテナントの問題を解決するヒントにもつながるのではないか。

 ちなみに代表取締役に話を聞いた部屋も、スペイシーが提供する会議室だった。利用時間は14時まで。退室の5分前にもなると、ブラインドの向こうにはスーツ姿の予約客の人影が見え隠れした。「つい自社の会議室だと思って、時間を忘れがちになるんです。次のお客さんに、もう時間だよ、と怒られちゃったり。そんなときは、すみません、と謝って退室します」と苦笑いする内田氏。相手も、まさか目の前の人物が、このサービスを率いている社長とは思わないのだろう。気さくな笑顔を見て、そんなことを思った。
《近藤謙太郎》

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