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米国で日本酒マーケット拡大!今後の注意点

ビジネス 経営
日本酒の輸出では輸送を自社とインポーター、どちらが持つかで為替などによるリスクが変わる
  • 日本酒の輸出では輸送を自社とインポーター、どちらが持つかで為替などによるリスクが変わる
  • 日本酒伝道師として知られ、「酒サムライ」叙任者でもあるジョン・ゴントナー氏。日本酒に関する執筆活動を行い、自身で貿易も手がけている。
【記事のポイント】
▼輸入業者の得意分野、米内陸部へのルートの有無を見極める
▼「為替」と「支払条件」を十分に考慮する


■アメリカ市場における日本酒戦略とは?

 欧米市場における日本酒の人気が拡大している。昨年の酒類の輸出金額は前年比で約1.3倍となる約390億円で、4年連続で過去最高額を更新。中でも清酒は約140億円の輸出額を計上し、6年連続の過去最高額となった。

 ここ数年で日本が最も多くの日本酒を輸出している国がアメリカだ。その割合は世界全体の36%を占める。とはいえ、欧米のマーケットに日本酒を売り込むにあたり、現地での商習慣などの情報が、国内の酒蔵に浸透しているとは言いがたい。果たして、欧米で“SAKE”を売るには、どのような点を心得るべきだろうか?

 今から28年前の来日で日本酒の魅力に触れて以来、執筆活動や輸出などを通じて“日本酒伝道師”として活動するアメリカ人ジャーナリストのジョン・ゴントナー氏は、「アメリカの話でいえば、取引先となる輸入会社がとても重要です」と語る。

「数多くの輸入会社がありますが、大きい会社と小さい会社はでそれぞれ特徴が違います。大きい会社がルートを網羅していて強いのは確かですが、スピリッツやワインを主な商品にしていて、日本酒が大事な扱いをされないこともあるようです。逆に小さい会社だと、大事にされやすい傾向にありますが、販路を網羅しているわけではありません」

 自身でも輸出会社を経営しているゴントナー氏。アメリカ市場については「さらにマーケットが拡大していく余地がある」と話す。

「ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴといった大都市には日本酒が入ってきていますが、内陸部はまだまだです。ニューヨークに輸出した商品をそのままオハイオで売ることができないように、アメリカでは州ごとに法律が異なります。そのため、内陸部の州では日本酒が浸透していないところも多いです」

 有力な卸問屋の中にも、まだ日本酒を本格的に扱ってない業者がいるとのこと。地域や商業の面で、アメリカでのさらなる日本酒人気拡大の可能性を示唆している。


■海外輸出のリスクは為替と支払条件

 欧米の取引先と契約する際の重要事項として、ゴントナー氏は「為替」と「支払条件」を挙げる。

「どちらが『為替のリスクを持つ』か、これは大きいですね。日本の港から相手任せにした場合、リスクはすべて海外の輸入会社が持ちます。一方で、それぞれの国の港まで自社で請け負うのであれば、日本の側がリスクを持ちます。どのようにリスクを避け、平等な条件を指定できるか、十分考慮しておくべきです」

 同様に商品の出荷後に、いつ支払いが行われるかについても「十分に把握しておく必要がある」という。アメリカの場合、輸入会社が卸問屋に、問屋が小売に商品を出荷するというサイクルを経て、支払いまで3~4ヶ月かかることもあるようだ。

 その他、日本酒の販路拡大において、いかなる要素に注目すべきなのか。近年、欧米の日本酒を巡る環境が大きく変化したポイントのひとつとして、ゴントナー氏は「ワインのプロが本格的に日本酒に興味を持ってくれたこと」を挙げている。

 飲食店の現場で働く人間が本格的に日本酒に興味を持つことは、欧米各国における日本酒の普及に大きく与する可能性がある。酒蔵にとってもソムリエとのコネクションは、欧米への進出において活きてくるに違いない。

 日本酒伝道師が語った、欧米でSAKEビジネスを行う際の要点。アジアとは商習慣が大きく異なる欧米で商機をつかむためには、不測の事態を回避する綿密なリサーチが必須である。

~Sakeの海外戦略:5~アメリカ人日本酒伝道師の教えとは?

《本折浩之/HANJO HANJO編集部》
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