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【特集・Netflix】第5回 「いま明らかにできる日本展開の詳細」……日本法人代表ピーターズ氏

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インタビューに答えるグレゴリー・K・ピーターズ氏
  • インタビューに答えるグレゴリー・K・ピーターズ氏
  • Netflix日本法人 代表取締役社長のピーターズ氏
  • テレビリモコンに搭載されるNetflixボタンの特徴を説明
  • 日本法人の東京オフィス
■HuluやdTVとの差別化のポイントは「コンテンツ力そのもの」

--- 日本では同じ動画配信サービスのライバルにHuluやdTVがあるが、Netflixとして差別化していく上で重要なポイントはどこにあると思いますか。

ピーターズ氏:いろいろなかたちで差別化できると思います。一番分かりやすい例では、4KコンテンツがNetflixでは豊富です。視聴体験の面では、ユーザーが興味のある動画を検索する手間も要らず、次々と見つけて視聴ができるNetflix独自のアルゴリズムによる「パーソナライゼーション(レコメンド)機能」があります。でも最大の差別化の要因は「コンテンツそのもの」ではないでしょうか。Netflixでしか見られないような、オリジナル作品も含めたたくさんのライブラリが自慢です。

--- 4K映像コンテンツのスムーズな視聴環境が提供できるよう、例えば光回線事業者とのパートナーシップなどは検討されていますか。

ピーターズ氏:世界中のインターネット・サービス・プロバイダと組んで「オープン・コネクテッド・ネットワーク」を構築しています。Netflix独自のコンテンツ配信ネットワークになります。これがあることで、エンドユーザーの最も近くにあるサーバーからコンテンツが配信可能になります。

 これが画質の向上につながり、ネットワークオペレーターのコスト削減にもつながります。日本でも同じかたちでネットワーク網をつくって提供していく考えです。単に安定視聴というよりも、もっと高品質な視聴環境をお届けするというコンセプトです。特定の事業者と組むというスタイルではなく、世界の国と同じように、ネットワークを効率よく利用するためのものです。

■ライブ配信コンテンツは考えていない。レコメンドエンジンは全世界共通のものを使う

--- dTVは音楽ライブの生配信を始めたが、Netflixはライブ配信はやらないのでしょうか。

ピーターズ氏:はい、やりません。なぜなら、ライブはテレビ放送局のビジネスモデルに、よりふさわしいからです。Netflixがライブコンテンツを揃えても、それらのテレビ放送以上の視聴体験をユーザーに提供できることはないと思います。

--- dTVでは、無料で楽しめるテレビをリビングなどで気楽にみるスタイルに近づけた「ザッピングUI」というインターフェースを開発・提供していますが、Netflixのレコメンド機能は日本ローカルの使いやすさを考えていますか。

ピーターズ氏:レコメンドエンジンのアルゴリズムはグローバルで共通のものを使います。ただ、そこで使われるデータはそれぞれローカライズされたものになることもあります。例えば、日本のユーザーが増えてくれば、各地域との視聴傾向が変わってくるでしょう。

 それによって、レコメンド機能の精度がさらに向上するはずです。でも、全世界共通で提供するエンジンを使ってデータを収集して、共通のアーカイブから作品をレコメンドするかたちが基本になります。この方法はどこのマーケットでも共通に提供しています。

--- 日本で発売されるNetflix対応テレビには専用のNetflixボタンが付いていますが、他国の製品でも普及していますか。

ピーターズ氏:これだけNetflix対応のテレビが、サービスのローンチ前から数多く発売・発表される国はほかにないかもしれません。サービスが始まったらすぐに、テレビをインターネットにつないでボタンを押すだけで楽しめるので、とてもワクワクしますよね。

--- 専用ボタンは非常に画期的なアイデアだと思いますが、テレビメーカーとの交渉にはいろいろな苦労があったのでしょうか。

ピーターズ氏:最初は賛否両論ありましたが、テレビメーカーは非常に長い時間をかけてNetflixの視聴機能をテレビに付けてくれました。だからNetflixとしては、ユーザーがもっと簡単にサービスを楽しんでいただける方法を模索してきました。

 リモコンにボタンが付けば、メーカーの方々がいろいろな努力を重ねてNetflix対応に力を注いでいただいたということを、ユーザーにもわかってもらえるだろうと考えました。ボタンを押せばすぐに動画が見られるので、実際にとても便利です。

 日本のテレビメーカーの皆様とも10年を超えるお付き合いですので、その10年間でのNetflixの成長ぶりも評価いただいているから、日本市場に投入するテレビについてもスムーズにボタンを付けていただくことができました。

--- 日本では東京MXが無料のテレビ番組視聴アプリ「エムキャス」を提供していたり、10月にはテレビ民放5社が無料見逃し配信サービス「TVer」を立ち上げます。こうしたテレビ放送事業者がモバイル端末を使ったテレビ視聴サービスを活性化させようとしている試みをどう感じていますか。

ピーターズ氏:すごくワクワクさせられます。今までの主流であるテレビ番組の楽しみ方以外にも、新しい楽しみ方があるということを多くのユーザーが知るチャンスになると期待しています。

 引いては、Netflixのような動画配信のスタイルがあるということを、ユーザーが知るきっかけにもなるのではないでしょうか。これらのテレビ放送事業者のサービスは、Netflixのサービスといろいろ異なる部分があります。お互いに競合せず、むしろ「共存」するかたちで日本国内の映像文化を育てていけるパートナーになれるのではないでしょうか。
《山本 敦》
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