■時間帯別料金サービス利用で消費電力を20%削減も エネットのような新電力会社は、既存の電力会社の送電網を利用して需要家に送電している。新電力会社は、「発電や小売りは可能ですが、送電網は持たない。これはまだ規制対象のため」(五郎丸氏)だという。同社の事業は、自社・他社が発電した電力を、電量会社の送電網を利用して、各顧客に供給するだけではない。需要家にスマートメーターを設置し、節電サービスを提供したり、供給側の発電プランを制御したり、スマートサービスも提供している。これらの制御は、電力消費のバランスを最適化したり、停電などのリスク管理にも活用され、社会的なメリットも生む。 例えば、そのうちのひとつである「デマンドレスポンスサービス」について五郎丸氏は、「ピーク時に必要な電力を、複数の発電リソースや蓄電池などを活用することで最適化し、発電施設や投資の効率化を実現できます。それにより年間のコスト削減効果は500億円以上にも上ると試算されます」と解説している。 また、NTTファシリティーズと提供する「ennevision」というマンション向けのサービスでは、各世帯の消費電力の状況やデータをグラフなどで可視化しスマートフォンでチェックできるようにしている。契約世帯はこの画面をみながら節電したり電気代の管理を行える。「この機能を利用して、需要が減少する時間帯の電気料金を安くし(時間単別料金サービス)、ピーク時や電力が逼迫した場合、利用者にメールを出して外出を促す(対象時間に提携店舗に外出するとポイントやクーポンを付与)など、契約者に節電やピークシフトへのインセンティブを伴ったサービスなどを展開しています」(五郎丸氏)とのことだ。 五郎丸氏によれば、時間帯別料金サービスを利用することで、それまでより20%消費電力を削減できた世帯もあるという。現状では、新電力会社による電力小売りの対象は制限があるが、2016年には一般世帯にも小売りが可能となる。消費者は、地域の大手電力会社の契約に縛られることなく、新電力各社によるさまざまな料金プランやサービスを選ぶことが可能になるかもしれない。