【Interop 2014 Vol.6 座談会】「人に優しいファシリティ」(ファシリティ編) | RBB TODAY

【Interop 2014 Vol.6 座談会】「人に優しいファシリティ」(ファシリティ編)

エンタープライズ ハードウェア

ファシリティ系を支えるNOCのメンバー
  • ファシリティ系を支えるNOCのメンバー
  • 日本テレガートナー 経営企画室 技術担当部長伊藤孝一氏
  • トランスコスモス 経営管理本部 経営情報戦略統括部経営情報インフラ部 アシスタントマネージャー大松宏之氏
  • ソネット ネットワーク基盤事業部門 ネットワーク部ネットワーク課 チーフ清水隆宏氏
 ShowNet裏方から支えるファシリティ系は、電気系統から始まり、ラックの設営、ネットワーク装置の配置、ケーブリングなど、実作業も多くて大変な分野だが、ShowNetに必要不可欠な縁の下の力持ち的存在だ。そんなファシリティ系を支えるNOCのメンバーに、今年の課題や見所について語っていただいた。

■ファシリティで重要なエアフローを考慮した製品

関谷:まずShowNetに限らず、ご自身の経験を踏まえて、ファシリティ系で現状の課題や、ここ近年で話題になっていることはありますか?

伊藤:最近は「細径」(さいけい)ケーブルに注目が集まっています。細くて、柔らかくて、かつ高品質な通信を支えられることが重要です。単価は安いですけどね(笑)。

関谷:細径ケーブルに関連して、配線部のラックマネジメントの問題もあると思います。従来のパッチパネル、レール、ケーブルガイドなど、いろいろなモノがありますが、最近は何か新しい課題はありますか?

伊藤:根本的な役割自体は変わらないのですが、ラックの空調という観点ではエアフローを考慮した配線、つまりケーブルが空気の流れを邪魔しないことが重要です。ファシリティでは、ケーブル束の裁き方によって、例えば電源ケーブルがトグロになると、熱源になってしまうこともあります。冷却とエアフローへの配慮は無視できない関係にあると思います。

関谷:ShowNetでは、エアフローは毎年かなり気を遣っていますよね。オンプレミスでの企業内サーバの設置に関して何かコメントはありますか?

大松:企業内に設置されたラックではエアフローをあまり気にしていなかったのですが、大震災以降はデータセンタを活用して、複数の拠点に分散することが多くなりました。そうすると、設置場所毎にエアフローを考える必要が出てきました。従来までのモノをそのまま使おうとすると使えないという問題も起きており、自身の悩みの種でもあります。

関谷:空調・冷却に関してはラックベンダーからも製品が出てきているようですね。

伊藤:外資系を中心に、データセンタのファシリティ、ラック、冷却まで含めたソリューションをサポートしているベンダーも出てきています。データセンタまでいかない規模でもシェルタをつくりあげて、そのスペースを冷却したり、ラックが数本の企業向けに、エアフローを作るラックマウント型のブロア製品もあります。やはり規模によって、できることに違いが出てきますね、ラック1本のケースと、事業者の部屋を全部埋めてしまうケースでは打てる手が違ってきますから。国産の場合、冷やしたり、熱を取り除くところまでやろうとすると、違うベンダーに対応してもらうケースが多く、ワンストップで対応できる会社は少ないようです。コンテナとなれば話は別ですが…。

関谷:なるほど。たしかにShowNet でもコンテナのオファーもあったりしますが、ShowNetでは名前のとおり見せる部分も一つの重要なポイントであるため、コンテナの採用は難しいですね。実際にコンテナが使われているような事例はありますか?

伊藤:データセンタでは、手軽にスペースを設けられるため大きなメリットになるでしょうが、エンタープライズ系でコンテナを買うかというと、敷地と台数の問題で難しいようです(笑)。

関谷:エンタープライズ系ではコンテナは買わないですか? 東京大学の一部では、建物を設置するよりも安いということで、コンテナを買おうかという話も出ています。サーバ室のような建屋を何も持っていない場合は、コンテナを買ったほうが手っ取り早いと思うのですが、やはり部屋を改修したほうが安上りでしょうか?

伊藤:建物をつくるより、全然ハードルは低くなりますね(笑)。コンテナを導入するか否かは、今の設備の耐用年数にもよるかもしれません。床の耐加重が課題になることも多いです。

■運用面におけるラックマネジメントや、消費電力に対する気配りも

大松:最近の企業ユーザは物理的な設備を削減する傾向が強いです。クラウドへの移行が進んでいるのだと思います。ただし、コンプライアンス的に外部のサービス上に置けないものもあるためケースバイケースです。

関谷:やはり外部に置けないと思われるシステムは、自社内という例がまだ多くあるわけですね。そういうケースで新たに設置する場合、導入されやすいファシリティ、トレンドのようなものはありますか?

大松:ここ最近だと、先ほども言いましたが、高密度サーバ、仮想化、プライベートクラウドを活用して物理的な設備数を減らす方向です。電源ケーブルやサーバラックの数も減っています。これは一例ですが、弊社の場合、数年前と比較して、3分の2程度になりました。

清水:弊社はISPですが、数年前にワンフロアーぐらいあった設備群を一新して、数列のラック列になるぐらいに集約しています。ファシリティ系では、先ほど話題になった細径ケーブルを採用し、高密度配線を施しました。あとはトップオブラックにスイッチを置き、配線を下に流しています。電源や監視カメラなどの設備は、データセンタが持っている設備を使っています。

関谷:なるほど。その一方で、もうデータセンタも自社でつくってしまおう、という流れもありますね。そういうところでは電源も直流を持ってきて、サーバに加えてしまう特殊モジュールを使ったりして工夫しているところもありますが、まだ一部でしょうか?

清水:おそらく業種によって全く違うのではないかと思っています。いま僕が担当している設備で使っている機器もほとんどが直流で、交流の機器のほうが数が少ないですね。効率を考えると直流のほうがよいのですが、その設備は効率面で直流を選択したわけでなく、設置場所の制約で直流を選択せざるを得なかったという流れです。

関谷:ISPのように多数のラックがあるところではマネジメントが大変です。ラックの配置、インフラの配線図などは、どうやって管理していますか?

伊藤:StruxureWare などのDCIM を使い、モニターからデータを吸い上げてマッピングするソリューションはありますが、日本ではまだ多くはないようです。

関谷:2、3年前にクラウド系事業者が自社のデータセンタのラック機材や配線を管理するために、CADソフトを開発したケースがありました。クラウド上で動くソフトですが、ラック機材の配置から配線まで全部管理してしまう発想です。そういうソリューションを自社でつくるところまでは行かないのでしょうか?

伊藤:海外ではファシリティ系のセキュリティも重視されています。構成管理ツールは、単に設置状況を管理するだけではなく、本来あるべきもの、つながるべきものの状態変化を検知する必要性もあるわけです。基本的に性悪説というか、間違えることが前提になっていますから。

関谷:海外だと規模が違うので、どうしてもそういう方向にいくわけですね。日本においては、機材がどこにあるか探すのが大変だったり、本当はここにマウントされているはずなのに実際にないとか、そういう事象も起こったりしますが、決定的なソリューションはないですか?

清水:まだないですね。探りながら、というのが正直なところです。弊社では構成管理ツールには内部で開発しました。出来合いのものでは、自社の環境になかなか合わなかったので。

関谷:なるほど。話は変わりますが、国内では一時期より真剣に消費電力を考えるようになりました。実際はきちんと電力を計測しているのでしょうか?

清水:一時期に比べたら測るようになっていますね。常時測るのか、定期的に測るのかという差はあるとは思いますが。最近、データセンタ側は、エコについてかなり気にするようになっているようです。

伊藤:ラック単位で電力を測定する事業者は、それを元にユーザに課金しています。一般事業者の場合は、大元のところで電力を測っていると思いますが、エコにつながる活動をされているところは、やはり末端まで追いかける傾向にあると思いますね。

大松:運用する側としては、ある程度は把握するようにしています。とはいえ、消費電力を減らすことを目的に動いているプロジェクトは、いまのところ少ないですね。ただし、データセンタを積極的に活用し始めてからは、無駄の無い運用をしたいので、高密度・低消費電力のシステムを選択したり、なるべく負荷がかからない運用を気にかけています。
《RBB TODAY》

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