【インタビュー】クラウドソーシングで発注者と受注者の関係は逆転する! 3ページ目 | RBB TODAY
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【インタビュー】クラウドソーシングで発注者と受注者の関係は逆転する!

エンタープライズ 企業
クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO 吉田浩一郎氏
  • クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO 吉田浩一郎氏
  • クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO 吉田浩一郎氏
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■共感が決済につながる
――今後のクラウドソーシング業界について、新しい動きを教えてください

 クラウドワークスに一つ面白い兆候があります。サービス開始当初は完全に企業側、発注側が強く、お金を出す人にみんなが応募して、選んでもらっていました。それが今、少しずつ受注側が強くなってきています。クラウドワークスでは、何件受注して、どんな満足度だったかという、人の共感が実績として可視化されています。そして、評価の高い個人に対して企業がエントリーし、受注するワーカー側が企業を選べる状態が発生しつつある。なので、ここから10年後、20年後を考えると、共感を集めている人が優位になっていく、そんな未来になっていく気がしています。

 共感の可視化という部分ですが、クラウドワークスには「ありがとう」ボタンというものが設けられています。クラウドワークスは自分が社長として2回目の起業なのですが、1度目が上手くいかなくて、2010年の年末に一人で会社にいた時に、取引先からお歳暮が届きました。その孤独な時に、自分の事を覚えてくれていると感じて、お金が届くよりはるかに嬉しかった。働くというのは人とのつながりなんだと思い、それをインターネットの世界にも反映させていきたいと、このボタンを付けました。頼んだ仕事が「思ったより速かった」「思ったより質が高かった」と、感謝の気持ちを伝えたい時に押していただきます。押された側には届いたありがとうが溜まっていき、仮に2000回ありがとうと言われている人がいれば「この人は熱心に仕事をしてくれる人なんだな」と、その人の仕事の過程が可視化されます。今、このボタンは50万回以上押されています。「時間と場所にとらわれず働ける」というのは確かに魅力ではありますが、プラスアルファ、人とのつながりが感じられるようなコミュニケーション設計にしています。

 また、今はスクエアやコイニーといったサービスもあり、決済が簡単になってきています。この先ウエアラブル端末の普及が進めばさらに様々な決済が簡単になるでしょう。そうなってくると、最終的には人の共感=小額の決済、といった経済活動が起こってくるのではないかと考えています。そうすると、共感を集めている情報に対してもう少しカジュアルに貨幣が消費されることが予想できる。たとえば、恵比寿の東三丁目でランチを食べたい時に、ウエアラブル端末にアクセスするとその辺りに詳しい人がピックアップされ、その人にランチ情報を尋ねるなら100円、その友達にまで聞くなら200円というようなことが起きるかもしれない。今後は特定の人に依存した情報でないと価値がなくなると思っていて、代替がきくものはどんどんコストダウンが起きる。逆に言うとその人個人にしかできないことを追求すれば、そこでお金が集まる可能性があります。

■「仕事」「教育」「社会保障」が揃って初めて、個人の新しい働き方のインフラに
――クラウドワークスの今後の展望について聞かせてください

 クラウドワークスは、当初はプロフェッショナルの層に特化してスタートしました。お小遣い稼ぎや、アフィリエイターの延長といった手軽なイメージではなく、プロのエンジニア、デザイナーのクラウドソーシングとしてハイクオリティな仕事に集中してスタートした。現在は多様な職種、仕事のやり取りがなされていますが、今でもエンジニアやデザイナーに関しては一定の評価をいただいています。今後は、こうしたプロとアマチュアの切り分けが早期に起きるだろうと思っていて、ライティングでも、プロと主婦で仕事を分けることによって、市場の価格を安定させることができると思っています。

 個人のワーカーに関しては、仕事だけではなくて教育、社会保障が揃ってこそ、はじめて個人の新しい働き方のインフラと呼べると思っています。教育面では、今マイクロソフトとコラボして、個人に対してライセンスの認定をクラウドワークス上で付与できるようにしていたり、美術やライターの学校と手を組んでスキルアップの口座を定期的に持っていたりします。社会保障については、実際に実現しているのは、ベネフィットワンのサービスだけです。今後は正社員が受けられる福利厚生のサービスについて、在宅の主婦でも自由に使えるようにしたい。さらに、万が一のけがや病気のために、共済・保険のような仕組みも検討している状況です。

 我々は、「『働く』を通して人々に笑顔を」というスローガンで、とにかう笑顔を提供するということに日々集中しています。クラウドソーシングも今後はコモディティ化が進んで、あと2、3年すれば差別化ができなくなると思います。そうなると、笑顔を提供することが唯一の競合優位性と言えるかもしれません。ネットの向こう側にいる人を一所懸命サポートし、そこで毎日ありがとうと言ってもらえるかどうか、笑顔になってもらえるかどうか、これを指標にやっていくつもりです。
《白石 雄太》
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