板東氏はまた、マルチネットワーク／マルチデバイスへの対応も課題に挙げる。ひかりTVのスタート当時はNTT東西のフレッツ光回線につないだテレビ向けのサービスとしてスタートしたが、いまではスマートフォンやタブレットに利用可能なデバイスが広がった。今後はネットワークのオープン化を図りながら、キャリアフリー化を推進する。またマルチデバイス対応も広げていく考えを板東氏は示した。14年度以内にはフレッツ光以外の光・ADSL回線でのVOD/テレビ放送サービス視聴の利用を可能にするほか、今年度第2四半期にはテレビ放送サービスを外出先でタブレットやスマートフォンを使って視聴できるサービスも拡充していく予定だという。 放送サービスについては現在、IPV6マルチキャスト配信で提供されているが、オープンネットワーク向けの放送サービスについてはIP放送ユニキャスト配信を使って、インターネット網によりマルチデバイスで受信可能な仕組みをつくる。全国に配信ノードを配置することで、同時利用時のネットワーク負荷軽減を図っていく予定だ。 VODサービスのユニークな試みとして、国内初のペット専門チャンネル「DOGTV」を6月1日からプレミアムチャンネルでスタートさせる。こちらはペットの犬が楽しむためのチャンネルとなり、飼い主の留守中にも犬がストレスを感じないで過ごせるよう製作された映像が放送される。すでにアメリカ、韓国、イスラエルで先行導入されているプログラムで、犬のリラグぜーションやストレス緩和のためのサービスとして人気を集めているという。利用料金は月額1,944円（税込）。 他にもオンラインゲーム配信の新作タイトル追加も発表された。オンラインゲームとしては日本初上陸となる「メリダとおそろしの森」「トイ・ストーリー3」「プレーンズ」など3つのディズニー製作によるゲームタイトルを含む6作品が新しく6月以降に順次配信される。板東氏はNTTぷららとして、今後もディズニーとの間でゲームとVODを中心に協業関係を強めていく考えを表明。「映画とゲームはシナジー効果を上手く出しながらアピールしていきたい。“ディズニーを楽しむならひかりTV”というイメージを定着させていく」とした。 ひかりTV独自の音楽配信サービスについても、2014年度末には配信作品を1,000万タイトルに増やしながら強化を促進する。 板東氏は「スマートTVによって今後テレビがどのように変化していくのか、一つ参考になるのはモバイル端末が辿ってきた進化の姿だと思う。携帯電話がインターネットにつながってから、10年もしない間にスマートフォンが誕生した。テレビもブロードバンドにつながることで大きく変わるだろう。そこにこそ我々のビジネスチャンスがあると考えているし、乗り遅れないようにしっかりやっていきたい。いつでもどこでも、ひかりTVが楽しめる環境を作っていく。本日発表した施策を実現しながら2015年3月末までに320万会員を目指したい」と意気込みを述べた。 説明会にはひかりTVのコンテンツプロバイダーとして、NHKエンタープライズの代表取締役社長 今井環氏が出席した。今井氏は同社の4K映像製作のこれまでの取り組みを紹介。「当社では独自に映像の企画製作も行っている。4Kコンテンツについては、6年前にアメリカで発売された4Kカメラを購入してから取り組みはじめた。当初はピントが合わせにくかったり、膨大なデータ量を把握しながら映像を編集する技術を手探りで体得してきた。徐々に蓄積されてきたノウハウをベースに、4Kコンテンツもストックができてきた。ひかりTVの4Kトライアルにコンテンツを提供できることを嬉しく思う」とした。 ウォルト・ディズニー・ジャパンからもテレビジョン バイスプレジデント＆ゼネラルマネージャーの児玉隆志氏が参加。児玉氏は「常に新たなサービスを提供しているひかりTVに対して、私たちのコンテンツも常に進化していきたいと考えている。今回は進化したオンラインゲームを提供していく。今夏から配信が始まるゲームの中には日本初登場の3作品もある。またリアルなキャラクターのフィギュアと、ゲームの世界が連動する新感覚のゲーム『インフィニティ』にもぜひ期待して欲しい」とコメントした。
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