企業にヘルスケアの概念を!空間全体をフィットネス化する内田洋行の試み(後編) | RBB TODAY
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企業にヘルスケアの概念を!空間全体をフィットネス化する内田洋行の試み(後編)

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
パワープレイス 常務取締役 リレーションデザインセンター センター長 村 浩二氏
  • パワープレイス 常務取締役 リレーションデザインセンター センター長 村 浩二氏
  • パワープレイス リレーションデザインセンター 五十嶋さやか氏
  • ヘルスケアオフィスシステムの概要。データを蓄積するために、タニタの健康応援ネット「からだカルテ」を利用。集計データはヘルスケアスポットのサイネージに表示される仕組み
  • 「一坪型ヘルスケアスポット」(仮称)のプロトタイプ。デジタルサイネージがついている。素足で体組成計に乗る
  • タニタの体組成計。業務レベルのかなり高性能なマシン。体重、BMI、体脂肪率などが分かる。オプションで歩数計や血圧計などを付けられる
  • プロトタイプのヘルスケアスポットでは、クラウドサービスと連携していないが、スタンドアローンで測定結果をプリントすることが可能だ
  • 健康に関するさまざまな情報が表示されるサイネージ。クラウドと連動すれば、部署ごとの集計データやランキングなども表示できる
  • デジタルサイネージの画面サンプル。歩数イベントのチーム別ランキングや、累計削減カロリー、健康診断のお知らせなどを表示
■ユニークな一坪型ヘルスケアスポットで、社員の健康管理を実現!

 内田洋行では新オフィス全体で「Change Working」を掲げ、現場中心にボトムアップでワークスタイルの変革に取り組んでいる。しかし「働き方を変える」という提案をビジネスとして展開する場合には、基本的に経営者に向けて行われる。そこで同社では、最近もう1つの新しい取り組みを始めている。それがヘルスケア分野への挑戦だ。

 同社の関連会社であるパワープレイス の村 浩二氏は次のように語る。「社員の健康は大事ですか?と聞けば、“当然”と答える経営者は多いです。では何番目に大事ですか?と問えば、一番だと。しかし、そのために何かしていますか?と訊ねると、どうしてよいか分からないと。やはりヘルスケアを意識する経営者は多くても、具体的な施策が見えないのが実情です。そこで働き方の変革を行なう際に、社員の健康も同時に考えませんか?と提案しています」。

 実際のところ、ヘルスケアや健康増進については、なかなか総務や人事の裁量のみで実現きるものではない。社員が大事であることを、経営者の意識にメッセージとして訴求していかなければ、サービスとしても成り立ない。

 「もともと長い時間を過ごすオフィス内で、もっと健康にも留意しても良いのではないか?という発想がありました。オフィスでも健康という視点からビジネスが成立すると考えたわけです。内田洋行は従来から空間作りを得意としていましたが、健康に関しては未開拓の分野でした。そこで今回、タニタと提携することになりました」(村氏)。

 タニタは、歩数計や体組成計などの計測機器と、その測定データをクラウドで管理する「からだカルテ」という健康応援サービスを提供している。これは主に個人向けのものだ。内田洋行では、オフィスでの健康増進をメインテーマにしているため、「みんなで見守れるヘルスケア」というコンセプトで、個人任せでなく、仲間や組織で健康に注意し合える仕組みづくりを考案した。

 いま内田洋行の新オフィスに設置されているのは「一坪型ヘルスケアスポット」(仮称)と呼ばれるプロトタイプのオフィスシステムである。同社の社員が実験的に使い始めている本スポットには、歩数計、体組成計といった測定機器やPCなどが設置されており、健康を気にする社員がいつでも利用できるようになっている。

 パワープレイスでヘルスケアスポットの開発に携わる五十嶋さやか氏は、「このスポットは、オフィスに違和感のないチューリップの形にデザインしました。スポットで測定するときに、そこに人がいることは分かるけれど、誰がいるのかははっきりとは見えない、そういうギリギリのところを目指しました」と説明する。

 社員だけでなく、訪問者でも気軽に使えるようになっており、測定結果をプリンターで打ち出すことも可能だ。「お客様が来訪した際に、ヘルスケアスポットを試してください! とお願いすると、皆さん喜んで試してくださいます。スポーツジムにあるような高機能な機材で詳しいデータが得られるので、面白がっていただいています。ヘルスケアスポットを“おもてなし”のようなイメージで導入できると思います」(五十嶋氏)。

 計測データは、前述の「からだカルテ」を利用して蓄積することが可能だ。そして、それらの集計データはスポット内のデジタルサイネージに表示される。ここで蓄積されたデータを単に表示するだけでなく、社員全員が楽しく参加して、健康増進を図れるように工夫していることが大きなポイントだ。

 「健康管理については、誰もが意識してやらないと、なかなか続けられるものではありません。そこでエンタテインメント的な要素を盛り込んで、部署ごとに対抗させる仕掛けを考えています。健康に関するデータは、個人の機微情報ですから、それ自体を公に開示できません。しかし部署ごとに個人データを集計し、体脂肪率や歩数の合計値として表現することは可能です」(村氏)。

「たとえば歩数データなら、それらを合計した数値をベースに、この距離でどこまで到達したのか? この距離ならば実際にどんな風景が見えのるか? ということを画像などサイネージで示せます。また空に向かって、どのくらいまで到達したのか? いま成層圏まで届きました。というように、階段をどんどん上っていくイメージで、映像を使って表現するアイデアもあります」(五十嶋氏)。

 これ以外にもオプションとして用意している機能もある。見守りメール配信は、自分が同意している相手に、Facebookのように結果を見てもらうというサービスだ。これはパーソナルな情報共有ということになるが、継続させるための、いわば“尻たたき”のような施策の1つともいえる。

 また最近では自転車で通勤したいという要望もある。このような社員は、高額な自転車に乗っていることもあり、盗難も気になるところだ。そこで盗難防止を万全にした駐輪場や、シャワールーム、ロッカールームの設置などの支援策も合わせて用意しているそうだ。
《井上猛雄》
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