【監督インタビュー】ハリウッド大作を日本で撮るということ……スターが路上でゲリラ撮影 | RBB TODAY
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【監督インタビュー】ハリウッド大作を日本で撮るということ……スターが路上でゲリラ撮影

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東京でゲリラ撮影も敢行された『ウルヴァリン:SAMURAI』
  • 東京でゲリラ撮影も敢行された『ウルヴァリン:SAMURAI』
  • ジェームズ・マンゴールド監督
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』撮影風景
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』撮影風景
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』撮影風景
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』撮影風景
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』撮影風景
  • ジェームズ・マンゴールド監督
 あのヒュー・ジャックマンが新宿の雑踏を駆け抜け、ラブホテルに身を隠し、新幹線で大立ち回りを演じる姿を見ると、やはり特別な感慨がわき上がってくる。世界的人気を誇り、真田広之も参戦したヒットシリーズ最新作『ウルヴァリン:SAMURAI』が本日公開。来日を果たしたジェームズ・マンゴールド監督が日本ロケをふり返った。

 映画の中での日本の描写は大まかに分けて、東京のシーン、長崎のシーン(※実際には広島県福山市で撮影)、そして両都市を移動する際の新幹線のシーンの3つに分けられる。

 まずは東京ロケ。新宿駅西口の地下道をウルヴァリン(ヒュー)がヒロインのマリコ(TAO)を追って疾走するシーンで撮影は始まり、増上寺での葬儀シーン、秋葉原、高田馬場、上野の街中でのロケが敢行された。雑踏の中での撮影方法はいたってシンプル。「ヒューとTAOとカメラマンはバンに乗り、僕は先回りして撮影に良い場所を見つけたら無線で知らせるんだ」。アメリカならば道路を封鎖して通行人は全てエキストラとなるが東京ではそうもいかない。「いくつかのシーンはゲリラスタイルで実現したよ。実際に人々が歩いている街中にヒューを立たせたんだ」と明かす。

 オタクの聖地・秋葉原が映し出されるのはいかにも現代日本といった風情だが、狙ったものではないらしい。パチンコ屋の喧騒の中で、敵と戦うシーンがあるのだが、それを秋葉原で撮ることになったために偶然実現したとか。「日中のシーンだけど、さすがに夜中に撮ったよ。商売繁盛している店を閉めてくれとは言えないからね(笑)。昔ながらのパチンコ台を撮りたかったんだけど、いまは全て電子制御の台になっていて、その点は残念かな」とは古き良き時代の日本を知る監督の弁。

 新幹線の撮影はなかなか許可が下りない。例えば映画『藁の楯』では新幹線のシーンは全て台湾で行われた。今回も車内のシーンに関しては許可は下りず、オーストラリアでセットを組み立て撮影された。新幹線での格闘シーンの風景は「首都高をハイスピードで疾走して撮った映像を合成して」新幹線が都会を駆け抜けるシーンに仕上げた。ちなみに駅での乗降シーン用に、JRから特別に車両提供の申し出があったそうだが当初、提供されたのは「僕ら西洋人が新幹線と聞いてイメージするクラシックな白い車体ではなくて緑色にピンク色のラインが入った新幹線だった」とか。JR側の配慮で撮影当時の最新鋭車両であるE5系が提供されたようで、その後、作品に合わせたさらなる配慮でE-2系(白い車体にピンクと青のライン)の車両が提供されることになったが、撮影側のスケジュールなども踏まえて実際に使用されることはなかったそうで、監督はやや残念そう。

 それでも日本での撮影を存分に楽しんだよう。「特に強い印象を受けたのは地方の美しさだね。西洋では日本と言えば、東京やせいぜい京都、富士山に集約されがちだけど、遠方に足を延ばすとその美しさに目を奪われる。小津安二郎の『東京物語』の世界がまだ存在してるんだ」。

 西洋人の目を通して切り取られた日本の姿を確かめてみるのもいいかもしれない。
《黒豆直樹》
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