競争力を高めるコラボ、WhatではなくHow……シスコ役員が語る | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

競争力を高めるコラボ、WhatではなくHow……シスコ役員が語る

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
カール・ウィージ氏。シスコシステムズ、シニアバイスプレジデント、グローバルコラボレーション担当
  • カール・ウィージ氏。シスコシステムズ、シニアバイスプレジデント、グローバルコラボレーション担当
  • ロン・リッチ氏。シスコシステムズ、バイスプレジデント、エグゼクティブ&カスタマー エンゲージメント担当
  • 基調講演会場(東京ミッドタウンホール BF1)
  • コラボレーションを促進する方法 1:“カルチャーとプロセスの変化”の統合
  • コラボレーションを促進する方法 2:“部門横断型チームや意志決定者”の連携
  • コラボレーションを促進する方法 3:“強制ではなく必要性”を作る
  • コラボレーションを促進する方法 4:“リモートワーク”に適応する
  • コラボレーションを促進する方法 5:“トップから”推進する
 シスコシステムズ合同会社は、2月13〜14日の2日間、「Cisco Connect Japan 2013|つなげよう、明日を -Bringing Our Tomorrow -」を開催。本イベントは、「働き方の変革」「多様なクラウドがつながる世界」「インターネットですべてをつなぐ」をサブテーマとし、基調講演/セッション/展示で構成されるプライベートイベントで、六本木・東京ミッドタウン ホール&カンファレンスおよびザ・リッツ・カールトン東京を会場として開催された。

 オープニングの基調講演として、2月14日発刊のビジネス書籍『コラボレーション革命〜あなたの組織の力を引き出す10のステップ』(日経BP社)の出版記念講演が行われ、著者である米国シスコシステムズのカール・ウィージ氏(シニア バイス プレジデント、グローバル コラボレーション担当)およびロン・リッチ氏(バイス プレジデント、エグゼクティブ&カスタマー エンゲージメント担当)の両氏が来日し、コラボレーションが組織にもたらす“革命”について語った。両氏は、シスコのワールドワイドのコラボレーション ビジネスのリーダーとして、販売戦略、製品ポートフォリオを含めた事業を統括している。

 現在のビジネスにおけるグローバル環境は、次の4つのテクノロジー「モバイル」「ソーシャル」「ビデオ」「クラウド」によって牽引されている。モバイルがポストPCの時代となり、ソーシャルが“コンシューマライゼーション”を加速させ、ビデオが時間と距離を排除し、クラウド導入が企業で進んでいるのだ。

 こうしたテクノロジーは、人口動態にも影響を及ぼしている。世界人口の半分を占める25歳未満は、テクノロジーなしで生きていけない世代だ。シスコが昨2012年に実施した調査によると、彼らの40%はデバイスの柔軟性を確保できるなら給与が下がってもいいと考え、3人に2人は生産性を考えるとオフィスは必須でないと考えている。そして、64%は車よりインターネットを選択し、半数は財布よりもモバイルをなくすほうが困ると考え、10人に7人は故意にITポリシーに違反したことがあるという。

 彼らを将来のカスタマーとして、あるいは社員、サプライヤー、パートナーとして受け入れる我々は、何をすべきか。答えは、あらゆる産業の改革である。例えば製造プロセス。“マスカスタマイゼーション”に対応すべく、設計者からエンドユーザーをも含めた、かつてない接続性を持つサプライチェーンの構築。例えば公共部門。昨年の太平洋同盟4カ国の首脳会議は、シスコのビデオ会議システム「Cisco TelePresence」を使ってバーチャルに開催され、より迅速かつ低コストに実現した。例えば救急対応。被災地現場の専門家や医師、役人が、テクノロジーによって迅速に意思決定できれば、救命に貢献できる。

 両氏が過去5年間に見てきた、日本を含む世界各国の経営トップ達は、コラボレーションを「市場参入・イノベーション等のスピードアップの機会」と捉えていた。そうした彼らが知りたいのは、「コラボレーションとは」という“What”ではなく、「自社の競争力を高めるコラボレーションをどうやって促進するか」という“How”である。その答えとして、両氏は書籍を出版したのだという。

 “How”の1つは、「“カルチャーとプロセスの変化”の統合」だ。テクノロジーはコラボレーションの基盤に過ぎず、テクノロジーがカルチャーとプロセスの変化と融合して初めて、コラボレーションの価値が得られる。例えば、ビデオ会議システムの導入によってエキスパートの出張をなくすことは部分最適であり、そのエキスパートを収益ソースに投入して初めて、企業の全体最適につながるのだ。

 この他、「“部門横断型チームや意志決定者”の連携」「“強制ではなく必要性”を作る」「“リモートワーク”に適応する」「“トップから”推進する」などの“How”があり、シスコ自身、こうした取り組みによって多くのコラボレーションの価値を得てきたという。

 コラボレーションによって得られる効果は、3つに分類される。まず1点目は、事業運営費のコスト削減による「オペレーションへの効果」。音響映像機器を扱うD&M Holdings社は、組織内のコラボレーション共通基盤を構築したことで、本社の3年間のROIが70%となり、支店のTCOは40%削減した。2点目は、権限の委譲による「生産性への効果」。広島銀行は、各営業店を訪れる顧客と本部をつなぐテレビ会議システムを導入したことで、167店のあらゆる相続相談に本部の10人で対応することに成功した。そして3点目は、競争上の優位性としての「戦略的な効果」。カブドットコム証券は、Web会議システムの導入によってシニア顧客のパソコン操作をサポートし、取引増につなげた。

 さらに、書籍の中では「成果を出せる8領域」として、「モバイルワークの実現による生産性の向上」や、前述の事例に見られる「お客様との対話を増やす」、組織内の部門を横断した、あるいはビジネスパートナーとの「バーチャルチームの活用」など8領域を紹介している。「組織内のコミュニケーションの向上」は、トップ自らが積極的に利用することで従業員の利用を促進するだけでなく、組織のアラインメントを作り、IT部門の評価向上にもつなげられ、講演の中で強調された。

 講演の最後では、ピーター・ドラッカーの2つの言葉「イノベーションを起こすには、“変化を体系的に捉え、可能性を見出す”ことが必要だ」「重要だが非常に難しいことは、過去を“守るのではなく、捨てる”ことである」を紹介。そして聴講者に向け、「本書が皆様のコラボレーション革命のインスピレーションとなり、競争力を高めるためのロードマップを示すことができれば幸いです」と締めくくった。

 書籍「コラボレーション革命〜あなたの組織の力を引き出す10のステップ」は、2011年末に米国で「The Collaboration Imperative」として発売された書籍の日本語版。日本ではシスコシステムズ合同会社の創立20周年記念事業として出版され、同執行役員会が翻訳と監修を担当した。
《柏木由美子》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top