【テクニカルレポート】RDシリーズを継承したブルーレイディスクレコーダー“レグザブルーレイ”(後編)……東芝レビュー | RBB TODAY
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【テクニカルレポート】RDシリーズを継承したブルーレイディスクレコーダー“レグザブルーレイ”(後編)……東芝レビュー

IT・デジタル 周辺機器
図3.HDD及びDVD 内の記録情報とダビングの仕組み̶ 従来,HDDの記録方式はDVDメディアと同じVR 規格であり,管理情報とストリームはそのままコピーできる。
  • 図3.HDD及びDVD 内の記録情報とダビングの仕組み̶ 従来,HDDの記録方式はDVDメディアと同じVR 規格であり,管理情報とストリームはそのままコピーできる。
  • 表3.規格とストリームの関係
  • 図4.TS の記録形式̶ BDAV規格のTSでは,Aligned unit が編集やダビングの単位となる。
  • 図5.HDD及びブルーレイディスク内の記録情報とダビングの仕組み̶ レグザブルーレイでは,HDD 内の管理情報は専用モジュールでBDAV規格に変換し,ストリームはそのままコピーする。
6. レグザブルーレイのコンテンツ管理システム

 レグザブルーレイの前身であるVARDIAは、簡単な操作で録画タイトルをフレーム単位で“チャプター”に分割することが可能で、チャプターをベースにしたプレイリスト作成やダビングなど豊富な編集機能が特長であった。TV放送を録画、編集して、ライブラリ化するユーザーから高く評価されている。レグザブルーレイは、この特長を生かすため、VARDIAのファームウェアをベースにブルーレイに対応させた。その一例として、コンテンツ管理システムについて次に述べる。

6.1.アナログ放送録画のコンテンツ管理

 DVDでは、映画タイトルなどのパッケージメディア用に策定されたDVD-Video規格の他に、記録・編集用のDVD-Video Recording 規格(以下、VR 規格と略記)がある。VR 規格はアナログ放送の映像音声を符号化してデジタル記録するためのもので、映像音声のデータ形式は蓄積系メディアで管理の容易なMPEG-2 PS(Program Stream)方式(以下、PSと呼ぶ)である。

 VARDIAでは、当初から放送をHDDに録画してDVDにダビングすることを推奨してきた。ここでは、HDDの記録方式はDVDメディアと同じVR規格に準じている。VR規格では、記録データはストリームデータ(映像音声)と、管理情報(ストリームデータの属性やタイトル名などのメタデータ)に分けられるが、ダビング元(HDD)とダビング先(DVDメディア)の記録方式を同じにしたことで、管理情報は単純なコピーで済み、高速なダビングが可能になった(図3)。

6.2. デジタル放送録画のコンテンツ管理

 デジタル放送の普及に伴って、録画ニーズも高まり、ブルーレイディスクメディアへの記録・編集用の規格としてBDAV規格が策定された。

 デジタル放送は放送波から映像音声データを直接デジタルデータとして取得し、そのままの形式でメディアに記録することが可能である。わが国のデジタル放送はISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Trrestrial)及びISDB-S(Satellite)方式で規定されており、映像音声のデータ形式は、放送系で管理の容易なMPEG-2 TS方式(以下、TSと呼ぶ)が採用されている。このため、BDAV規格ではTSに対応したコンテンツ管理を可能にしている。VR規格とBDAV規格で対応するストリームの種別を表3に示す。

 VR規格でサポートされたPSはBDAV規格では記録することができないので、アナログデータを記録するために、HDMV(HD Movie Mode)compatible TSとSESF(Self-Encoded Stream Format)の各方式を規定している。

 BDAV規格では、ISDB-T及びISDB-S方式の記録が可能である。また、ISDB-T及びISDB-S方式のストリームのビデオ層をMPEG-2 からH.264形式に圧縮して記録するための、ISDB Transcode modeを用意している。またメーカー間の互換性は保証されないが、任意のTSも記録可能である(図4)。BDAV規格のTSはMPEG-2 規格で定義された188バイトのTransport packetを元にしているが、Transport packetの到着時間情報である30ビットのarrival_time_stampと2ビットのcopy_permission_indicatorと呼ばれるコピー情報をTransport packetの前に付加しsource packetを形成する。またsource packetの192バイトが32個並び、編集やダビングの単位となるAligned unitを形成する。ストリームの暗号化もAligned unit単位で行われる。

6.3. レグザブルーレイのコンテンツ管理

 レグザブルーレイの開発では、BDAV規格に対応するうえで、HDD内のTSをBDAV規格の記録形式とし、HDDでの豊富な編集機能を継承した(図5)。HDDからブルーレイディスクメディアへのダビングでは、HDD内の管理情報をBDAV規格の記録形式の管理情報へ変換するモジュールを開発したことで、TSの記録形式を変更する必要がなくなり、高速なダビングが可能になった。

 レグザブルーレイでサポートするTSはISDB-T及びISDB-S、HDV(HD Video)、スカパー!SD、スカパー!HDとそれらのビデオコーデックをH.264形式に変換したストリーム(スカパー!SD、スカパー!HDを除く)の6 種類である。更に、VR形式のPSも扱うことができる。これらのストリームをブルーレイディスクメディアにダビングする際、ISDB-T及びISDB-SはBDAV規格のISDB Transparent recording with EP_map modeで記録する。一方、BDAV規格に定義がない、HDV、スカパー!SD、スカパー!HDストリームは、メーカー間の互換性が保障されないPrivate streamと呼ばれる形式で記録している。

 ISDB-T及びISDB-SのビデオコーデックをH.264形式に変換したストリームをBDAV規格で記録するためには、ISDB Transcode mode、HDMV compatible TSの二つの選択肢がある。レグザブルーレイでは字幕データの継承を優先してISDBTranscode modeを採用した。HDVのビデオコーデックをH.264形式に変換したストリームは、HD 解像度に対応した再エンコード方式ということから、HDMV compatible TSを採用している。

 VR形式のストリームは、BDAV規格ではそのまま扱うことができないため、ブルーレイディスクメディアへダビングする場合はTS形式に変換する必要があり、変換する形式として、SESFとHDMV compatible TSの二つの選択肢がある。今後のHD 解像度の映像の記録対応と、HDVの変換でHDMV compatible TSを採用したことも考慮し、VR記録もHDMV compatible TSを採用した。これにより、HDD内のコンテンツをブルーレイディスクメディアへダビングすることが可能になった。

7. あとがき

 レグザブルーレイは、従来のRDシリーズが持つ豊富な編集機能を継承し、液晶TVレグザとの連携を強化したブルーレイディスクレコーダである。今後は放送以外の多様なコンテンツに対応する要求が高まり、消費電力やコスト面でもいっそうの飛躍が求められる。これらに対応したレコーダの開発によって、ユーザーの利便性の向上を更に追求していく。

■執筆者(敬省略)

・有吉 昌朗 ARIYOSHI Masaaki
ビジュアルプロダクツ社 映像第一事業部 映像設計第七部グループ長。HDD &ブルーレイディスクレコーダのハードウェア開発に従事。Visual Products Div.1

・渋谷 学 SHIBUTANI Manabu
ビジュアルプロダクツ社 映像第一事業部 映像設計第八部主務。HDD &ブルーレイディスクレコーダのソフトウェア開発に従事。Visual Products Div.1

※同記事は株式会社東芝の発行する「東芝レビュー」の転載記事である。
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