【CEATEC JAPAN 2010(Vol.5)】遠くの相手とつながりを感じ、心理状態を伝える技術……NTTドコモの「体温ハート」 | RBB TODAY

【CEATEC JAPAN 2010(Vol.5)】遠くの相手とつながりを感じ、心理状態を伝える技術……NTTドコモの「体温ハート」

 「体温ハート」では、従来の携帯電話のように通話の音声やメールの文字などを利用するのではなく、ハート型の専用デバイスを通じてコミュニケーションを行うのが特徴。ハート型のデバイスを手で握ると、携帯電話網を通じてあらかじめ登録された相手が呼び出される。

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NTTドコモ 研究開発センター サービス&ソリューション開発部 サービス戦略担当 朝日裕幾氏
  • NTTドコモ 研究開発センター サービス&ソリューション開発部 サービス戦略担当 朝日裕幾氏
  • NTTドコモ 研究開発センター サービス&ソリューション開発部 サービス戦略担当 黒宮寧氏
  • 「体温ハート」
  • NTTドコモ 研究開発センター サービス&ソリューション開発部 サービス戦略担当の朝日裕幾氏と黒宮寧氏
  • メールで送られてくる文字の羅列は、同じように入力すれば誰が使っても同じように相手に伝わります。コミュニケーションの中に『生きている感覚』を盛り込みたいと考えました」
  • 「その人の鼓動を感じるだけでなく、人の温もりが再現されているので、持っていて安心感というか、人間味の感じられるデバイスになったと思います」
  • ハート型のデバイスを手で握ると、携帯電話網を通じてあらかじめ登録された相手が呼び出される。この呼び出しに対して、相手は電話機ではなく同じくハート型デバイスを握ることによって応答する。
  • 圧力センサーと脈拍センサーを搭載し、ユーザーの心理状態を判定
 NTTドコモは、10月5日から幕張メッセで開催されるITとエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」に多数の新技術・サービスを出展するが、中でもユニークなのが、手のひらで遠くにいる相手とのつながりを感じながら心理状態を伝える「体温ハート」だ。今回は参考出展の扱いだが、近くモニタ向けのトライアルを実施する準備も進めているという。

 「体温ハート」では、従来のコミュニケーションサービスのように通話の音声やメールの文字などの言語情報を利用するのではなく、ハート型の専用デバイスを通じて鼓動や温もりといった非言語情報を利用したコミュニケーションを行うのが特徴。ハート型のデバイスを手で握ると、あらかじめ登録された相手が携帯電話網を通じて呼び出される。この呼び出しに対して、相手は電話機ではなく同じくハート型デバイスを握ることによって応答する。

 通信が確立すると、デバイスに搭載された各種センサーによって得られた情報からユーザーの温もり、鼓動、心理状態がリアルタイムに解析され、相手のデバイスに「光」「振動」「温度」という形で伝達される。例えば、緊張状態であると推定された場合は、相手のデバイスにはオレンジなどの暖色系の光がともり、内蔵の発熱体が高めの温度になる。逆にリラックスした心理状態のときは、デバイスは青く光り、温度は低めになるといった具合だ。加えて、デバイスを握った強さに応じてデバイスの振動の強さが変化する。このデバイスを握れば、互いに遠く離れた場所にいる相手とまるで手を繋いでいるかのような感覚になれるというわけだ。

 このサービスを企画・開発したのは、NTTドコモ研究開発センター サービス&ソリューション開発部の朝日裕幾氏と黒宮寧氏。開発の動機について朝日氏は、「メールで送られてくる文字の羅列は、同じように入力すれば誰が使っても同じように相手に伝わります。それはいいことでもありますが、反面その人らしさというか、その人そのものを感じにくいとも思います。そのため、コミュニケーションの中に人間の素の部分、『生きている感覚』を盛り込みたいと考えました」と説明する。

 ハート型の専用デバイスには、心理状態を判定・表現するために圧力センサーと脈拍センサーが搭載されている。脈拍センサーは、指先の毛細血管に流れる血液の量を検出することでユーザーの心拍数を測定している。人間の体温は心拍が速い場合に高く、逆に心拍が遅いときには低いといい、今回の「体温ハート」ではこの原理を利用してユーザーの体温変化を推定し、相手のデバイスに搭載されている発熱体の温度に反映させている。

 また、心拍のデータからユーザーの心理的な緊張状態を推定している。判定は10段階で、最も緊張したときは相手のデバイスがオレンジに、逆に最もリラックスしているときは青に光るようになっている。デバイスはフルカラーLEDを搭載しており、この間の緊張状態は色のグラデーションで表現されるので、微妙な状態の変化も相手に伝わることになる。

 そのほか、相手を呼び出す際にデバイスを握る強さを圧力センサーで計測している。圧力が大きいほど相手と強くつながりたい状態だと判定され、呼び出し時の振動の強さやLEDの色に反映される。加えて、両方のデバイスが脈拍と圧力を検知しないと通信が確立しない仕組みなので、通信が正しく行われている間は、お互いが確実にデバイスを握っている=相手の手を握っているということの証明にもなっている。

 データの解析と心理状態の判定は、ネットワーク上のサーバーによって行われる。心拍数には個人差があるが、「体温ハート」を使うごとに自分のデータがフィードバックされていくため、判定もより正確になっていく。デバイスに搭載されるセンサーのチューニングに加え、この心理状態を判定するシステムづくりが開発上の大きな課題だったという。

 できあがった試作機を自らテストした感想としては「いろいろな人とつながってみましたが、緊張している状態が相手に伝わると恥ずかしく感じることもありました」(朝日氏)、「その人の鼓動を感じるだけでなく、人の温もりが再現されているので、持っていて安心感というか、人間味の感じられるデバイスになったと思います」(黒宮氏)ということで、言葉に頼らず相手をより直接的に感じられるコミュニケーション手段として確かな成果が得られそうな手応えだ。また「頭で理解する必要がなく、手で感じるだけなので、例えば本を読みながらとか、何かをしながらでも相手とつながっていられるというのも特徴」(朝日氏)だという。

 現時点では参考出展の扱いで、具体的な商用化については未定だが、CEATEC終了後にモニターを対象にしたトライアルを行う予定で、その結果を基にサービス提供の有無を判断するという。今回の試作機では携帯電話に専用のiアプリをインストールし、電話機とハート型デバイスの間はBluetoothで通信を行っている。アプリは特定のアーキテクチャに依存するものではないので、Bluetooth搭載スマートフォンなどにも展開は可能だという。

 「体温ハート」は、CEATECのドコモブースにて、実機を利用したデモンストレーションを試すことができる。朝日氏は「携帯電話の向こうにいる相手の鼓動が手のひらに伝わってくる感覚をぜひ実際に体験してほしい」と話している。
《日高彰》

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