【ニールセン博士のAlertbox】イギリス総選挙のEメールニュースレターの評価(Vol.1) | RBB TODAY

【ニールセン博士のAlertbox】イギリス総選挙のEメールニュースレターの評価(Vol.1)

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Jacob Nielsen博士
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 イギリスの主要政党のEメールニュースレターは、我々が前回評価したときのアメリカの政治系ニュースレターよりもユーザビリティスコアが高い。

 8年前のEメールニュースレターについての最初のユーザー調査以来、ニュースレターというのが顧客との関係を育てる優れたメカニズムであることはわかっていた。なぜ特定のウェブサイトを訪問しているのかを最近、実際にユーザーに尋ねてみたのだが、最も多かった答も、「そのサイトからEメールニュースレターを受け取ったので、そうしようと思った」というものだった。

 ニュースレターというのは、ビジネスに有益である以上に、選挙キャンペーン期間中、政治家の候補者が支持者との連絡を絶やさないようにする手段として効果が高い。(マスコミではTwitterやFacebookを使った選挙運動の方が多く取りあげられているかもしれないが、3政党の代表全員が昔からあるニュースレターの方が実際には効果の高い選挙ツールであるということをThe Economistで述べていた)。

 そこで、私は今回のイギリス総選挙でニュースレターのデザインがどのようになっているかをチェックすることにした。それにむけて、主要な3政党全て、つまり、保守党、労働党、自由民主党のニュースレターの評価を行った。 配信登録のプロセスの評価は2010年の4月8日に、配信解除のプロセスの評価は2010年の4月21日に行い、ニュースレターのコンテンツについてはその間の2週間(4月8日~21日)で評価した。

 私が評価を行ったのはウェブサイト自体についてではなく、ウェブから離れたところで政党がどういうふうにインターネット上のコミュニケーションを利用しているかだけである。とはいえ、自由民主党のサイトがタブらしく見えないタブを使うことで、ナビゲーションデザインの重要なガイドラインに違反していることは指摘せざるをえないだろう。

 このデザイン(写真1)では「Media Centre(メディアセンター)」というラベルはそれ自身がクリックできるGUIアイテムであるというのではなく、かなりのところ、副題、あるいは「Latest news(最新ニュース)」の説明のように見えてしまっている。

■スコアカード

 写真2はガイドライン上の4カテゴリーにおけるニュースレターの適合度を平均したものである。(ユーザビリティ全体の評点はニュースレターのユーザビリティのためのガイドライン149項目を全て平均したものによって決定される。したがって、それは単に4つのカテゴリーの各スコアを平均したものとはならない。各々のカテゴリーに含まれるガイドラインの数は同じではないからである)。

■登録プロセス

 労働党の登録ページはユーザビリティガイドラインに対していろいろと違反している(写真3)。

 メーリングリスト構築時の間違いとして最悪なのは、登録ページからは気を散らせるものを取り除こうというガイドラインに違反することである。あなたがたが後一歩でユーザーのEメールアドレスを確保できそうなところで、彼らはこのページを離れることを決意して、Facebook上のあなたがたのファンのページをぼーっと見に行ってしまうというわけだ。

 また、一貫性があるというのはいいことである場合も多いが、「Sign Up(登録する)」ボタンをクリックしてユーザーが行きつくページに、標準ナビゲーションのニュースレター登録用要素があるというのは実際のところ、まずい。それによって、ユーザーを彼らが既にいると同じ状況に単に移す、「ノーオペレーション」命令を避ける、という標準的なアプリケーションデザインのガイドラインを破ることになってしまうからである。

 (同様に、ウェブサイト上の他の全てのページがホームページにリンクを張るべきであっても、ホームページ自身は自分に対してリンクすべきではない。自分自身へリンクを張ったホームページというのは がホームページが犯す間違いの10位に挙がっていた。哀しいことに、労働党も自由民主党もこの昔からある間違いを犯している。私が警告してからは7年も経っているのというのに。しかし、少なくとも保守党はこの点については正しく理解している)。

 労働党の名誉のためにいっておこう。彼らは登録ページの個人情報保護方針の説明について及び腰ではある。彼らの方針が個人情報保護について、歴史上、もっとも効力の弱いものの一つであることは間違いない。「あなたの提供したデータは利用される可能性があります」と言っているだけなのだから。しかし、他の2政党は個人のデータをどう利用するかについて触れようともしていない。(そしてもちろん、サイト上のどこかに個人情報保護の方針がすべて提示されているだけでは十分ではない。ユーザーは慎重に扱うべき情報の提供を依頼されたときには、その場で個人情報保護の方針について説明を受ける必要がある)。

 登録直後に体験するものについていうと、自由民主党が提供している確認ページは私が見たことのあるものの中で最悪のものの一つである(写真4)。

 ヘッダーには「Sign up for Email News (Eメールニュースに登録しよう)」とある。しかし、私はたった今、それをしたばかりだ! ヘッダーの後にはスローガンやなんだかんだテキストが続いている。一番下までいかないかぎり、確認について書かれた目立たない1行、「your details have been submitted.(あなたの詳細情報は受領されました)」は見られない。この時点においても、登録が終わっているかどうか教えてくれるわけでもないし、いつ最初のニュースレターが受け取れそうかを言ってくれるわけでもない。たぶん、キャンペーン期間中、そういったEメールを送るのにかかるお金を一銭でも使う前には、新規の登録ユーザーを承認したくないのだろう。

 このページはニュースレターの確認に関するガイドラインに違反しているだけでなく、ウェブにふさわしいライティングのためのガイドラインにもいくつか違反している。そこには一貫性のないパンクチュエーションといった初歩的なミスも含まれる。また、オンライン上のタイポグラフィをよく理解しているものなら誰もしないような、最終行でセリフ体にいきなり変えるということもやっている。そうすることで、サンセリフ体ですべて書かれたサイト上で、多少なりとも目立たせられるとしてもだ。

 確認ページが最悪なのにもかかわらず、自由民主党は確認メールに関するレースでは勝者となった。ウェルカムメッセージを一番先に送ってきたからである(労働党を4分の差で破った)。保守党は私の登録についてわざわざ感謝するようなことをまるでしなかった。日刊のニュースレター以上に彼らのような週刊のニュースレターでは良質なウェルカムメッセージによる恩恵はあるだろうに。結局のところ、人というのは6~7日連絡がなくても気にはしないのかもしれないが、ユーザーの中にはその時点で自分が登録したことを忘れてしまって、ニュースレターをスパムと考える人も出てくることだろう。

 また、自由民主党はウェルカムメッセージのFromフィールド(送信元欄)とSubject行(件名)でも圧倒的に優れている。

・From(送信元): Liberal Democrats(自由民主党) ? Subject(件名): Thank you for signing up for Liberal Democrat email news(自由民主党のEメールニュースにご登録いただきありがとうございます)
・From(送信元): labourparty(労働党)@email-new.labour.org.uk ? Subject(件名):Thank you for signing up(ご登録ありがとうございます)

 ユーザーの周りにスパムがあふれているということを考えると、ユーザーにあなたがたのメッセージを開けることを促すには、件名はできる限り明確で記述的なものであることが重要だ。同じ理由で、コンピューターマニアだけを対象にしたような(理解しにくい)Eメールアドレスよりも、普通の人でも理解しやすい Fromフィールドの方が優れている。Liberal Democratsはlabourpartyに勝る。少なくとも活字の見やすさという点においては。

【ニールセン博士のAlertbox Vol.1】イギリス総選挙のEメールニュースレターの評価、へ続く

※この記事はユーザビリティ研究者ヤコブ・ニールセン博士が運営するサイトuseit.comで連載中のコラム『Alertbox』の転載・翻訳記事です。
株式会社イードが運営する「U-site」では、博士からの正式な許可を得て同コラムの全編を日本語訳し公開しています。
《RBB TODAY》

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