【インタビュー】2009年度は100万契約突破を目指す その先は新規事業も——ケイ・オプティコム | RBB TODAY
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【インタビュー】2009年度は100万契約突破を目指す その先は新規事業も——ケイ・オプティコム

エンタープライズ その他
代表取締役社長 田邉忠夫氏
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  • 代表取締役社長 田邉忠夫氏
 RBB TODAY編集部が主催した「ブロードバンドアワード2008」において、関西地区で圧倒的に強かったのはケイ・オプティコムだ。関西地区ベストキャリア、同キャリア・スピード部門1位、同キャリア・サポート部門1位のほか、今年から新設したTV部門賞では、西日本地域で地デジ対策部門、トリプルプレイ部門の各部門で1位を受賞している。また、全国ISP部門でもベストISPで「eo」が3位を獲得している。

 「ブロードバンドアワード」はRBB TODAY読者や、通信事業者・ISPのユーザーを対象に、アンケート形式で各事業者に投票してもらい、その結果のランキングで受賞が決まるシステムになっている。純粋に読者の声によって支えられているアワードであり、ユーザーの率直な評価を反映しているわけだ。

 ケイ・オプティコムは、この経済情勢の中でも契約者数を昨年度並みに確保しているという。ブロードバンドアワードの複数部門での受賞と契約数純増基調の秘訣はどこにあるのか、どんな戦略で事業を行っているのか、代表取締役社長 田邉忠夫氏に聞いてみた。

——まず、最近の景気動向と通信業界についてお話を聞かせてください。

田邉氏:一般論として、通信事業者は景気の変動に左右されにくいといわれています。おかげさまで弊社も2008年度の業績は年間を通じて比較的好調に推移しており、いまのところはそれほど大きな影響を感じてはいない状況です。しかし、そうはいってもこれだけの経済状況ですから、まったく影響がないわけではありません。コンシューマー向けの市場では、今後、家計節約の観点からFTTHの申し込みをひかえる動きが出てくる可能性もあります。また、法人向けの市場では、経費削減のため、より安いサービスに移行したり、価格交渉やコストダウンの要求を受けるなどの動きが実際に出ています。したがって今年度は大きな影響はないと予測していますが、来年度以降、不景気の影響が出てくるかもしれません。

中部地方や中国地方では、日本を代表する自動車メーカーが減産発表をしており、大口電力需要が減っているとの報道を聞きますと、その影響が今後通信業界にもおよぶ可能性があります。しかし、関西地方は大手電機メーカーによる工場建設など厳しいながらも明るい話題があり、必要な設備投資が健全に行われているといえます。

——そのような状況で、御社の役割やとるべき戦略はどのようなものになりますか。

田邉氏:関西の産業界という視点では、やはり法人向けのソリューションを含めたサービス提案が重要だと思っています。通信回線は企業にとって不可欠なインフラとなっており、通信が途切れるようなことはあってはなりません。それだけでなく、企業に通信回線やIT化によるメリットを提供しなければなりません。アクセス回線を単に提供するだけでなく、IT化による業務の効率化やコストダウンを提示することが、回線インフラを提供する事業者の現在の使命だと思っています。

——具体的には、ホスティングサービスやSI事業などが含まれるということですか。

田邉氏:そのとおりです。データセンターについては9か所ほど拠点を持っています。ホスティング、ハウジングを含めて企業のサーバー管理やセキュリティー環境の提供を積極的に行っています。法人向けのソリューション営業やSI事業は以前から手掛けていましたが、この経済状況や産業界の状況をみるに、その重要性がさらに増していると感じます。ただし、SI事業についてはケイ・オプティコム単独というより、グループ内のSIerと協力したり、国内の主要ベンダー、SIerといっしょにやらせていただいています。

法人向け通信回線の提供は、開始当初はなかなか大手の市場に入りにくく苦戦しましたが、関西の有力金融機関での採用が決まってからは、他社との話もスムースに進むようになりました。最近ではキャリアダイバシティ方式といって、企業側からも、回線やシステムの二重化や分散の提案を求められるケースもでてきています。

——それはBtoBに事業をシフトするということでしょうか。

田邉氏:いえ、そうではありません。あくまで企業活動になくてはならない情報インフラを弊社がサポートすることで、産業界や経済の活性化に貢献するというレベルのものです。経済に貢献すれば個人も潤うという構図です。

——そのあたりの数値目標などお聞かせ願えますか。

田邉氏:細かい売上や利益などは公表していないのですが、例えばわかりやすい目安として、FTTHの契約数があります。今年度末には、戸建てやマンションを含めて84万世帯の契約を見込んでおり、2009年度には100万契約突破を目指します。一部のアナリスト、コンサルタントによると、ここ数年でFTTHの伸びがゆるやかになるのではないかという分析がありますが、当社の2008年度の業績は好調に推移しており、今のところ影響を感じていません。また、しばらくの間はこのまま堅調であるだろうと考えています。したがって、2009年度の100万契約は十分に可能性があると思っています。

——100万契約突破後はどうなりますか?

2009年度はそれでよいとして、将来、市場の伸びがゆるやかになった時にどうすればいいかも考えなければなりません。市場が飽和した状態で、同業者や競合相手と単純にユーザーの奪い合いをしていてはだめだと思います。これは、消耗戦になるだけで、事業継続性という面でも好ましくありません。やはり新規事業やビジネスモデルの開拓が不可欠だと思っています。そのためのプロジェクトチームを昨年発足させ、将来に向けた新規事業の開発や準備を始めています。最近では、2月25日にeoIDの提供を開始しました。eoIDはこれまで回線用やコンテンツ用など、サービスごとに提供していたIDを、お客様固有のIDとして統合したもので、今後も、さらに機能を充実させ、さまざまなサービスを提供していく予定です。このように新規事業の開拓は弊社が右肩上がりの成長を続ける上で最も重要な課題と考えて取り組んでいます。

——新規事業としてのVODやテレビなどの映像関係のサービスやビジネスはどうでしょうか。

田邉氏:弊社では、これまでにPC向けのVODサービスやCATV事業も行ってきているので、新しいビジネスモデルとしてというよりサービスの充実という意味合いが強いかもしれませんが、映像サービス、CATVサービスは重要だと思います。例えば、3月2日に業界初となるアクトビラビデオに対応した新型 録画機能付eo光テレビチューナー(STB)をリリースしました。これは、静止画ではなく動画のアクトビラが視聴でき、500GBのハードディスクやDVDドライブも搭載しているなど、VODニーズの高まりが予想される今後の市場にマッチした、非常に高機能なSTBです。

——その傾向は地デジ対策というメニューでも同様ですか。

田邉氏:地デジ対策としてのCATVやサービス契約の事情は少し異なります。全部ではありませんが、自治体の協力を受けた、難視聴地域での導入や契約もあります。また、弊社のFTTHの世帯カバー率は9割を超えており、非常に高いものになっています。難視聴地域では、光ファイバーならではの画質や音のきれいさへの驚きや喜びの声が多いです。市区町村の合併ブームのときは、合併債を利用した地域イントラの構築など追い風もありました。

——FMCなど今後の新サービスの展開についてなにか戦略や予定などはありますか。

田邉氏:現在法人向けでは「光電話オフィス」とau、NTTドコモ、WILLCOMの端末を組み合わせたモバイルIP電話サービスを、コンシューマー向けではイー・モバイルのMVNOとして「eoモバイル」というデータ通信サービスを提供しています。今後、FMCサービスのニーズ、動向などにも注視しながらお客様に本当に喜ばれるサービスの開発を進めていきたいと考えています。
《中尾真二》
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