pixivユーザー、10万人突破 PV7,000万/月!——人気の秘密を開発者、馬骨氏に聞く | RBB TODAY

pixivユーザー、10万人突破 PV7,000万/月!——人気の秘密を開発者、馬骨氏に聞く

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pixiv開発者:馬骨氏
  • pixiv開発者:馬骨氏
  • 馬骨氏作のイラスト:萌え系でない洗練されたタッチだ
  • 実はニートだったという馬骨氏。ただ話を聞くと、明確な意思をもってそれを選択している。普通はこれをニートとは呼ばないと思う
  • クルーク 代表取締役社長 片桐孝憲氏
  • 馬骨氏
  • 片桐氏
 イラストを投稿する新しいタイプのSNSであるpixivは、RBB TODAYでも何度か記事に取り上げている。18日、ユーザー数が10万人を突破したことを受け、開発者とサイトの運営者にそもそもpixivを始めた経緯やコンセプトについて聞いてみた。

 現在pixivは、登録ユーザー数が10万を超え、月間のページビューは7,000万を超えるという。サービス開始は2007年9月というから半年でここまで成長したことになる。もちろん、他のウェブサービスやサイトではもっと人数の多いサービスはあるが、イラストを投稿するという趣味性の高いジャンルのサイトでは急成長といえる部類だろう。ちなみに月間7,000万PVという数字は、広告モデルのビジネスが十分に成立するレベルである。

 pixivを開発した人は、同サイトで「馬骨」のアカウントを持つ人だ。本人もイラストを描く趣味があり、そもそも開発の動機は、自分のお気に入りを集めたイラスト関連のリンク集を作りたいということだそうだ。これが2年くらい前のことだ。ブックマーク系のサービスやブログのping機能の利用などいろいろ試してみたが、イラストを描く人でブログを使いこなしている人が少ない、カテゴリ別のサイトの限界などから、次にflickrにたどり着く。分散しているイラストのリンク集を作成、メンテするよりflickrのような形でみんながイラストをアップする場所を提供したほうが効率的だという考え方だ。開発で気を使ったのは、とにかく見たいイラストへの到着パスを少なくすること、だそうだ。

 つまり、pixivは最初からイラストのコミュニティを作ろうという目的ではなく、イラストのリンク、ネットワークを作ろうという発想から生まれている。flickrを参考にしているが、コードはすべてスクラッチで書かれている。現在では、ユーザーの意見などを考慮しながら機能の追加やメンテナンスを行っているが、基本コンセプトは馬骨氏の欲求と発想からになる。人気の秘密は、好きなイラストを見たい、見せたいという絵心のある人共通のプリミティブなニーズが根底にあることではないだろうか。馬骨氏に人気の秘密を聞いてみたが、それはタイミングと、初音ミクのイラストレータKEI氏のような有名人が早くから登録してくれたことを挙げてくれた。意外と冷静な分析かもしれない。

 ユーザーが増えるにつれて、pixivは開発者や運営側が予想しない広がりを見せる。まず、「pixivたん」のようなユーザー主導企画だ。企画というほど組織的なものではなく、自然発生といったほうがいいかもしれない。pixivというサービスやサイトをイメージしたキャラクターを誰ともなく描き始める現象。これは、「OSたん」に見られる「擬人化」という分野・手法のひとつだ。馬骨氏によれば、pixivたんのキャラクターは固定化させるつもりはないという。それぞれのpixivたんを自由に創ってかまわないという方針だ。

 もっと、組織だった企画もある。ユーザーが、架空のRPGを設定し、それのキャラクターや世界観をみんなでイラストを投稿しあうという「pixivファンタジア」という企画だ。今年の1月から始まり、2月にいったんは終了しているが、かなり完成度の高いゲームシナリオ(?)が出来上がっている。

 続いて、サイトのリソースを提供しているクルークの代表取締役 片桐氏にも聞いてみた。片桐氏は、イラストという素材をベースにしたこのプラットフォームを世界に通用するようなものにしたいと語ってくれた。サーバーやネットワークなどのリソースを提供しているが、ビジネスについてはあまり固執していないようだ。もちろん、将来的にはビジネスを含めた展開を考えているのだろうが、そのためにプロジェクトやプランを積極的に進めるのではなく、ユーザーの要望などにあわせた広がりを優先させる戦略かもしれない。プレミアム機能のようなことはあるかもしれないが、全面的な有料化やディスク容量の制限などは考えていないという。

 新機能についても、開発者ブログで馬骨氏が語っているようにモバイル版やトラックバック機能などを考えているそうだ。また、海外からのアクセスや投稿も増えてきているので、中国語対応、英語対応も検討中だ。日本のアニメが早くから浸透している、韓国、中国、東南アジアからのアクセスや投稿が多いらしいが、カナダ、アメリカ、EUなども増えているとのことだ。

 片桐氏は、もうひとつの夢として、イラスト作品について、閲覧したユーザーがポイントや評価を作者に与え、それをなんとか換金できるようなしくみを挙げてくれた。いわゆる「投げ銭」のようなしくみがpixivをベースに実現できれば、作者にとっても収入やビジネスになるのではないか、ということだ。「投げ銭」というとイメージがよくないかもしれないが、古来、芸能というのは河原や大道での演技、披露から始まっている。才能や芸を持っている人がそれを人に見せる、あるいは提供することで対価を得るというのは極めて自然な行為だ。メディアと著作権のあり方が問い直される現在、原点にもどって創作とその対価のしくみを見直すという意味で非常に面白い発想だ。

 最後に、馬骨氏のプログラマとしての経歴も聞いた。すると、馬骨氏もニート経験ありとのことだ。高校のころ数学が得意でテストの成績も良かったのだが、なぜか成績表の評価が低く、それに反抗して大学を受験せず専門学校に進んだという。高校も不本意な評価をされた後、出席日数や単位を計算して、余分な授業には出ないでゲーセンに通っていたらしい。専門学校を卒業後、実家でアルバイトなどしながら「ニート状態」だったそうだが、プログラミングのアルバイトでPHPを覚えたという。23歳のときだ。pixivの開発はその流れで生まれた。

 10万人突破はひとつの節目ではあるが、絵を描くいう古来からの「コミュニケーション」を広げるサイトとして期待したい。
《中尾真二》

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