【第20回東京国際映画祭】話題の映画「シルク」がついに日本上陸!! | RBB TODAY
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【第20回東京国際映画祭】話題の映画「シルク」がついに日本上陸!!

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フランソワ・ジラール監督と「シルク」出演者たち
  • フランソワ・ジラール監督と「シルク」出演者たち
  • 芦名星
  • 中谷美紀
  • 役所広司
  • 國村隼
  • 本郷奏多
 10月28日、第20回東京国際映画祭はクロージングを飾るにふさわしい日本、カナダ、イタリア合作の特別招待作品「シルク」の上映で幕を閉じた。
 
 「海の上のピアニスト」で知られるイタリアの作家アレッサンドロ・バリッコのベストセラー小説「絹」を原作に、「レッド・バイオリン」の名匠フランスワ・ジラールがメガホンをとった感動巨編は、9月のトロント国際映画祭でのワールドプレミア、続く10月のローマ映画祭でのヨーロッパプレミアを経て、いよいよストーリーの重要な舞台でもある日本へ上陸となった。

 授賞式の興奮さめやらぬBunkamuraオーチャードホールのステージに、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」「ラスト・デイズ」など個性的な作品で注目を集めるアメリカの若手俳優マイケル・ピット、日本を代表する売れっ子俳優・役所広司、期待の新星・芦名星、國村隼、本郷奏多、中谷美紀のメインキャストと監督のフランスワ・ジラールが顔を揃え、上映前の舞台挨拶を行った。

 主人公エルヴェを演じたマイケル・ピットは開口一番「マイッタナ、ナンダヨ」と日本語を披露したあと、共演した日本のキャスト陣の名前を一人ずつ挙げながら感謝の気持ちを口にし、「シルク」の経験が自分のものの見方を変えたと言い、出来上がった作品については「原作の持っている夢のような質感を感じられる映画に仕上がっていると思う」とコメントした。

 そのエルヴェが世界一美しい絹糸を吐く蚕の卵を求めて遥々フランスからやってくる日本の村の権力者・原十兵衛を演じる役所広司は「フランソワ監督やマイケルをはじめとする素晴らしいキャストと仕事をできたことほんとうに幸せだし、この東京国際映画祭のクロージングに選ばれたことを嬉しく思っています。とても美しい映画に仕上がっているので楽しんでほしい」と挨拶した。また、雪不足のトラブルやどんな苦労があっても「監督のフランソワは常に冷静で落ち着いた演出で、ゆったりした豊かな時間で撮影できた」と山奥でのロケも含めた撮影を振り返った。

 「まず、私が今ここに立てていることを幸せに思います。『シルク』を通して素晴らしい出演者、スタッフ、監督に出会えたことも心から幸せだと思います。そんな出会いから『シルク』はひとつの音楽が流れているような、一曲のきれいな音楽が流れているような素晴らしい作品になっています」とは、十兵衛に仕え、エルヴェを魅了するミステリアスな少女を演じた芦名星。

 在仏日本人マダム・ブランシェを演じた中谷美紀は「フランソワ・ジラールという情熱あふれる監督とご一緒することができ、また、マイケル・ピットさんというご自身の演技のみならず、作品全体のイメージを大事にする俳優さんともご一緒でき、そして、一緒のシーンはなかったんですけども、今日こうしてこちらに立っている素晴らしい俳優さんとご一緒できたこと、ほんとうにありがたく思っています。個人的には、私が出演した映画に坂本龍一さんが音楽をつけてくださるという長年の夢がかなった作品でもありました。行間を味わうことのできる静かな静かな映画です」と笑顔を見せた。

 十兵衛に仕える少年を演じた本郷奏多は「僕は日本の映画しかやったことがなくて、入る前はどうやて撮影するんだろうと不安がいっぱいあったんですが、マイケルさんや他のキャストの皆さんにも仲良くしていただいて、何も困らないで順調に撮影できたかなと思います。すごくゆっくりと時間が流れていて温かい作品だと思うのでゆっくりと楽しんでいってください」。

 「私が今こうしてここに立っていられるのも、隣りに立っている監督と出会ってしまったからです」とは國村隼の弁。実は、村を預かり十兵衛に協力する右門というのはオリジナルの台本にはないキャラクターで、初めて会ったときに、どうしても一緒にやりたいということになり、ジラール監督が君のために何か書くよ、ということで生まれたのが右門。「ほんとうに淡々と詩情豊かで、ストーリーは普遍的な男女の関係、あるいは時間の流れみたいなものをそれにかぶせて、非常に上質なゆったりと時間の流れる映画です。ぜひともゆったりとした気持ちで楽しんでください」と語った。

 最後はメガホンをとったフランソワ・ジラール監督が、「シルク」上映の機会を与えてくれた角川歴彦チェアマンと東京国際映画祭に感謝の気持ちを表し、この映画をここで上映することの意味の大きさを語った。「この作品はとても奇妙な成り立ちをしています。原作はイタリア語、舞台はヨーロッパと日本で、参加してくれた俳優もインターナショナルですし、スタッフもカナダ、イタリア、日本と様々な国の人が参加していますから。けれども、振り返って思うのは、自分たちは日本映画をつくった、日本の物語をつくったということなんです。それだけに、やっと日本の観客の皆さんに観てもらえることがうれしくて仕方ないのです」と。そして、この映画のために尽力した日本側のスタッフや、日本人プロデューサーの酒井園子氏に感謝し、今回の上映で再会が叶ったことを喜んだ。

 音楽、ドラマ、ロマンス、歴史を融合させる手腕はすでに「レッド・バイオリン」で証明済みのフランソワ・ジラール監督の手がけた「シルク」。幕末の日本とヨーロッパを舞台に繰り広げられるドラマティックな物語は、芦名星が言ったようにきっと音楽が流れるように美しいに違いない。(photo by 稲葉九)
《齊田安起子》
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