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【FINETECH JAPAN/Display 2007 Vol.5(後編)】スーパーハイビジョンは2025年の実用化を目指す!

IT・デジタル テレビ
2005年には非圧縮で伝送実験
  • 2005年には非圧縮で伝送実験
  • 16波長多重で非圧縮伝送
  • 紅白歌合戦は圧縮されて伝送実験を行った
  • NHK技研所長の谷岡氏
  • 21GHz帯の衛星を使って放送するということを考えている
  • 高臨場感音響システム
  • スーパーハイビジョン用ストレージ
  • 垂直磁気ディスク
 NHK技研では2005年11月にスーパーハイビジョンの映像を鴨川シーワールドから260km離れたNHK技研をファイバーでつなぎ、24Gbpsの画像・音声データを16波長多重で非圧縮伝送する実験を行った。また昨年末にはNTTおよびNTTコミュニケーションズと共同で、紅白歌合戦の映像を600km離れた大阪放送局にIP光伝送する実験を行っている。このときは、非圧縮だと情報量が多すぎるということで640Mbpsに圧縮されている。

 NHK技研所長の谷岡氏はこの時のようすを振り返りながら次のように話した。
 「スーパーハイビジョンの映し方というのは、今放送されているように歌手の顔が超アップになるということは決してなかった。見てるお客さんはステージの上に歌手が立って歌っている、しかもそのまわりにダンサーが踊っているのも全部観ることができた。観客はNHKホールで観ているのとほとんど同じ感じを受けていた。その臨場感を高めているのは音声システムでもあった。22.2チャンネルでやると、見てる人が自分以外にもお客さんがいると錯覚してしまう。拍手したり手拍子をしたり……普通テレビを観ているとそんなことはしない。私もも思わず拍手していた。臨場感っていうのはこういうものかなと感じた」

 ハイビジョンの音声システムはアッパーレイヤーで9チャンネル、ミドルレイヤーに10チャンネル、ローレイヤーに3チャンネル、ウーファとして2チャンネル、合計22.2チャンネルが用意されている。このシステムでは縦方向にも音の立体感があり、例えばロケットが打ち上げられているのを見る場合には非常に臨場感を得ることがでいるという。

 これらの映像の伝送については、21GHz帯の衛星を使って放送することを考えているという。ただし問題もある。「21GHz帯ですと雨が降ると減衰が大きいわけです。日本は雨が多いので、雨の影響をのがれる研究をしている」とのこと。また、22.2チャンネルの音声システムを家庭に置くことは現実的ではないため、そこも課題だ。さらにスーパーハイビジョン用のストレージも必要だ。現状、3.5インチHDD48台で記録時間が18分(19インチ-14Uラック2本、消費電力2kw)。1平方インチあたり500Gbit、1Tなどを達成する垂直磁気ディスク(グラニュラー垂直磁気ディスク)の研究を進めている。カメラも800万画素のずらしから3200万画素のフルスペックのものが必要だろう。

 さらに谷岡氏は続けた。
「(スーパーハイビジョンを)家庭で観ることができる100インチディスプレイが必要だ。私どもは600インチなどの製品を展示してきましたので、あれは映画システムじゃないかとか言われる。もちろんそういうことにも使えるが、放送局の狙いは各家庭。そのためには直視型で100インチくらい、走査線4000本、フレームレート60ですけれども(60以上かもしれない)、それらの研究が必要だ」

 スーパーハイビジョンを実現するには、各技術にブレークスルーがなければいけないため、国が支援すべきだと谷岡氏は主張する。さらに「何故、走査線が2000本ではなく4000本なのか?と聞かれるが、2000本だったら今の技術で比較的容易にできるし、外国の技術で可能だ。しかし、4000本だと今の技術ではできない。4000本システムでは従来のシステムにはない感動が得られる、つまりつまり究極だということで、外国でできないことをやらなければいけない。科学技術立国を言うのであれば、今はできない難しいことに挑戦しなければいけない」とした。

 実現のスケジュールについては「NHKはオフィシャルには言っていないが、研究所の立場では2025年までには実用化放送までもっていきたい」。基調講演の会場となった東京ビッグサイトには2015年東京でオリンピックを!など書かれた幕が下がっていたが、氏はそれを思い出しながら「2015年に試験放送でもできれば」「また、そのためには衛星を使って実験をはじめなければいけない」と語った。
《小板謙次》
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