WiMAXはどうやってつながるのか?——接続までのプロセスを探る! | RBB TODAY

WiMAXはどうやってつながるのか?——接続までのプロセスを探る!

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アッカネットワークスの小松直人氏
  • アッカネットワークスの小松直人氏
  • 端末がネットワーク上でWiMAX通信を行えるようにするためには、上記のようなネットワーク・エントリ・プロセスを踏む必要がある
  • スキャニング
  • イニシャル・レンジング
  • ベーシックケーパビリティ交換
  • 認証/暗号化
  • レジストレーション
 いよいよ国内でも具体的な実用化への動きが加速されてきた。WiMAXの基本的な原理については、様々なメディアで公開されているが、実際にどうやってWiMAXの通信が確立・接続されるのか、その背後で動いているプロセスまで含めた解説については、まだあまり紹介されていようだ。ここでは、モバイルWiMAXの実証実験を積極的に進め、この分野への新規参入を狙うアッカネットワークスの小松直人氏に、WiMAX通信の接続プロセスを中心に話を聞いた。

 早速、通信が確立されるまでのWiMAXのコネクションセットアップの流れを見てみよう。一般的にワイヤレス通信をする場合には、まず基地局が電波を出し、端末側がそれを受けるという形になるが、WiMAXの場合は特にこの関係性が強いという。基地局側ですべてをコントロールするため、オペレータ側でネットワークを制御しやすいというメリットがある。

 接続までのネットワーク・エントリ・プロセスのステージは図のようになっている。具体的には、1.スキャニング→2.イニシャル・レンジング→3.ベーシックケーパビリティ交換→4.認証/暗号化→5.レジストレーション→6.IP情報の取得→7.ユーザーコネクションの確立、という流れになる。

 まず1.のスキャニングでは、基地局から発する電波を端末が探しだす(定義された周波数の中でチャネルをスキャンする)。無線区間の走査と同期が行われるが、ここで端末がどの基地局側と通信できるのか? ということを確認する。受信した電波(フレーム)には、通信の様々な初期化パラメータを記載したマップ情報(DL-MAP、UL-MAP)が含まれており、端末側で基本的な情報をDL-MAP(ダウンリンク-マップ)から取得することができる。

 次に、2.のイニシャル・レンジングの段階に入り、必要最低限の無線パラメータが調整される。タイミング調整の情報から、出力および周波数の調整などが行われる。最小の送信電力を利用して、端末が決められたインターバルで、要求MAC(Media Access Control)メッセージを基地局側へ送信する。もし、ここで応答がない場合には、端末はさらに送信電力を引き上げて送信を続ける。そして、基地局側からレンジング成功の応答が返ってくると、端末側はUL(アップリンク)でデータを送信できる状態になる。また、WiMAXでは、通信時に仮想的なパイプを張る際に、コネクションを論理的な単位で分けるために、CID(Connection ID)というIDが付与される。CIDには「Basic CID」と「Primary CID」という2種類のCIDがある。

 3.のベーシックケーパビリティ交換では、基地局側と端末側のそれぞれで無線パラメータのネゴシエーションが行われる。実際の通信で必要となる、より踏み込んだ詳しい情報が交換される。たとえば、端末が機能要求メッセージとして、前述のUL-MAP(アップリンク-マップ)で送られてきた内容を認識し、端末側でサポートしている物理レベルの機能(たとえば、周波数幅や変調方式、サブ搬送波のどこにデータをマッピングするか)などのパラメータを基地局側に送る。そして基地局側はこれらの要求メッセージを受けて、それが許可できる機能かどうかを判断する。許可できるパラメータ群を決定し、端末側にレスポンスを返す。

 機能ネゴシエーションが完了した段階まで行くと、いよいよ4.の認証/暗号化のフェーズへ進むことになる。基地局側は端末側の認証を行い、データを暗号化するための鍵を与える。端末側がサポートする暗号化アルゴリズムを記述したX.509証明書を基地局側に送る。基地局側では端末の属性をチェックし、ここで使用する暗号化アルゴリズムとプロトコルが決定され、端末側で使用する鍵が含まれた認証応答を返す。WiMAXの無線区間では、MAC層のセキュリティとして、PKM(Privacy Key Managemnet) v.2という暗号化プロセスが利用される。暗号化ではPKMの情報に基づいて、鍵の交換をやり取りする。

 5.のレジストレーションでは、端末のネットワークへの登録が行われる。端末が基地局に登録要求メッセージを送り、次に基地局が端末に登録応答を返す。このプロセスでは、ネットワークパラメータのネゴシエーションが実施される。サポートされるIPのバージョン情報(IPv4/v6あるいはethernet)、CID数、暗号化フロー数、ユーザーコネクション数、伝送速度(アップ/ダウンおよび総計)など、さまざまなパラメータが基地局側と端末側の間で認識および承認される。

 ここから、いよいよIPでの通信をする準備が始まる。6.の段階に入って、IP情報やその他のパラメータの取得へと移る。IPアドレスの取得、時刻同期(現在の日付と時間の取得)、設定ファイルの取得などが行われる。端末側にIPアドレスを付与する方法は何種類か用意されている。最もポピュラーな方法として、DHCPサーバによるIPアドレス付与が用いられることが多い。ブロードキャストでリクエストを投げて、端末側でそれを受け、その返事をもらってからIPアドレスが付与される。

 最後に、ユーザーコネクション(トランスポート接続)が確立するという流れになる。あとは必要に応じて、実際にトラフィックを流す際に、ユーザートラフィック用のCIDが付与される。このようにWiMAXでは、「Worldwide Interoperability for Microwave Access」という名前のとおり、通信機器の互換性と相互運用性を取るために、厳密なコネクションセットアップが規定されているのである。
《井上猛雄》

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