ライブ2.0!? 撮影&配信OKのTapes 'n Tapes来日公演&インタビュー | RBB TODAY
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ライブ2.0!? 撮影&配信OKのTapes 'n Tapes来日公演&インタビュー

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ライブの模様。左からギター兼メインヴォーカルのJosh Grier、キーボードなどを担当するMatt Kretzman、ドラムスのJeremy Hanson、ベース兼ヴォーカルのErik Appelwickだ。ちなみに、Matt Kretzmanはパフォーマンスが面白い人で、自分の楽器の演奏がないときはよく動き回る。このときはドラムのシンバルのひとつを叩きまくっていた(写真はオフィシャル提供)
  • ライブの模様。左からギター兼メインヴォーカルのJosh Grier、キーボードなどを担当するMatt Kretzman、ドラムスのJeremy Hanson、ベース兼ヴォーカルのErik Appelwickだ。ちなみに、Matt Kretzmanはパフォーマンスが面白い人で、自分の楽器の演奏がないときはよく動き回る。このときはドラムのシンバルのひとつを叩きまくっていた(写真はオフィシャル提供)
  • ブートタイムのようす。撮影内容は全員、同じライブの同じ曲だが、その撮影位置は唯一だし、撮影に使用したカメラもおそらく各自異なるだろう。つまり、アングルや映像・サウンドのクォリティーなどで、世界で唯一のライブビデオというわけなのだ(写真はオフィシャル提供)
  • ブートタイムのようすの別角度。ビデオカメラを持ち込んでいる人も多かったが、携帯電話で撮っている人も。観客の5人から4人にひとりは撮影したのではないだろうか
  • キーボード担当のMatt Kretzmanは、ブートタイム時の演奏の合間にほかのメンバーや客席の様子を自分でも撮影していた。もしかしたらFLUXにアップされるかも(写真はオフィシャル提供)
  • FLUXのトップ画面。運営するバイアコム インターナショナル ジャパンは、米MTV Networks傘下の企業なので、ミュージックシーンに大変強い。一般ユーザが登録した映像の配信だけでなく、MTVのようにミュージシャンのビデオクリップや、同じく系列会社の子供向けアニメCS局ニコロデオンの映像なども見られる。今、子供から大人まで人気の「スポンジ・ボブ」も
  • FLUXの映像を見るための画面。まず登録する必要がある。トップページから「CHANNELS」の「すべて」「FLUX SELECT」[MTV」どれでもいいのでクリック。続いて「検索」で「Tapes 'n Tapes」と入れれば、検索結果のこの画面になる。映像を見る場合は、右側の各映像のアイコンをダブルクリックするだけでプレイリストに加わり、自動的に再生される仕組みだ
 Beggars Japanに所属するTapes 'n Tapes(テープス・エン・テープス)が、4日に日本で初のライブを実施した。そのライブにおいて、Web2.0的な実に面白いイベントが実現したのである。それは、一部の曲を観客が自由に録画でき、SNS型動画共有サイト「FLUX(フラックス)」にて自由に公開できるというもの。ここでは、ライブとその観客が撮影していた模様、そしてFLUXでの公開状況などをお伝えする。

 まず、今回の主役であるTapes 'n Tapesから紹介しよう。同バンドはアメリカ・ミネアポリス出身で、大学で出会ったという4人、Josh Grier(ギター/メイン・ヴォーカル)、Jeremy Hanson(ドラム)、Matt Kretzman(キーボード、タンバリン、ユーフォニウム)、Erik Appelwick(ベース、ヴォーカル)で構成されている。サウンドは実に骨太でエッジが効いており、アートロック、オルタナ、民族音楽パンク、ブルースなどを包含しているのが特徴のロックだ。2006年の欧米最大の新人発掘コンベンション&イベントのSXSWにおいて、話題となった新人ナンバー1バンドである(4日間で9ライブを敢行したという、SXSW記録を達成)。自費でプレスしたファーストアルバム「ザ・ルーン」は1万枚を即売、アメリカ最大のブログサイト「MySpace」でインディーズバンドの人気投票1位に輝いている。また、XLレコーディングスと契約し、「ザ・ルーン」を世界的にリリースした。そして、U2やフー・ファイターズも来日して首都圏で公演しているこの4日に、日本初公演となったのである。

 ライブが行われたのは、東京渋谷区の代官山UNIT。地下1階から3階までで比較的小規模な施設だ(演奏が行われたスペースは、客席が167.8平方メートル、ステージ41.8平方メートル)。ライブスペースのすぐ後方にアルコール類も頼めるカウンターがあるので飲みながらライブを観られ、“大人の”空間である。演奏は19時から開始となり、今回は300人の観客が訪れ、立ち見の客席スペースはすし詰め。しかし、最後方から見てもステージまで10数メートルほどなので、迫力は満点である。重低音が響きまくり、バスドラやベースなど特に低いサウンドは、音というよりも空気の波という感じで、服がビリビリ震えるほどだ。そして今回は、骨太なロックが全16曲演奏された(曲順はリストの通り)。

 ラスト2曲がブート(撮影)タイムというわけだ。ブートタイムの宣言がされると、いっせいに観客が動画撮影機能付き携帯電話やビデオカメラを持ち上げ、ステージに向ける。かなりの人が撮影していたようだ。なお、5日正午現在で、FLUXには5本の投稿映像がアップされている状況だ。こうした、本物のミュージシャンのライブの模様を公式に撮影させてもらうことができ、自分の映像を世界に向けて配信できるというイベントは、実にWeb2.0的で面白い試みといえよう。

 それでは最後に、メンバーでギター兼メインヴォーカルのJosh Grierに行ったミニインタビューをお届けする。

--今回の試みについて、どういった経緯で行うことにしたのかを教えてください。

Josh Grier:今回の試みは、レーベルさんに勧められて行うことにしました。もともと、YouTubeやMySpaceなど、インターネットが始まりのバンドでした。日本では10月にアルバムをリリースできたのですが、今回、それにうまく合わせて、またインターネットを活用した試みができたなと思っています。

-- アメリカでもこうしたWeb2.0的な試みをやっていらっしゃるのでしょうか?

Josh Grier:観客にライブを撮影してもらって、それを無料の動画配信サイトにアップしてもらうというようなことは今回が初めてですね。今回、日本で行ったことが初めてです。

-- こうした試みは面白いですよね。今までと異なり、演奏する側と見る側というはっきりした区切りではない、見る側も発信できるという仕組みについてどう思われますか?

Josh Grier:来られなかった人たちがアップされた映像を見ることで、自分たちの音楽を好きになってくれる可能性が広がると思いますね。

-- 今後もこうしたイベントは行っていく予定ですか?

Josh Grier:具体的な予定はありませんが、もし状況が許すのであれば、本国のアメリカなどでもこうしたことはぜひやってみたいですね。オーディエンスが参加してくれるということは、自分たちとしてもとても楽しい経験でした。
-- ありがとうございました。

Josh Grier:Thank you very much!

 現代においては、すでに個人のサイトやブログなどを容易にもてることで、従来の「発信する側→受け取る側」という一方的な図式はもうなくなってしまっているのはご承知のとおり。それでも公式な許可のもと、観客がライブの模様を撮影し、それを自由に配信できるというのは、Web2.0的な考えをより推し進めるイベントといえよう。今後は、ますます発信する側と受け取る側が融合していくと思われるが、今回のイベントはそれを垣間見せてくれたものだった。今後も、ミュージックシーンに強いバイアコム インターナショナル ジャパンによる、FLUXを活用したWeb2.0イベントに注目していきたいと思う。

◆セットリスト
 1.JUST DRUMS
 2.THE ILIAD
 3.BEACH GIRLS
 4.CRAZY 8's
 5.IN HOUSTON
 6.10 GALLON ASCOTS
 7.ICEDBERGS
 8.MANITOBA
 9.MOLDY BREAD
 10.COW BELL
 11.FRANKFURT
 12.BUCKLE
 13.50's PARKING
 14.OMAHA
 15.INSITOR
 16.JKOV's SUITE
《デイビー日高》
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