あのCMがアニメになった〜Web限定「TEPCOひかりに決めた唄」CM、完成までの道のりは? | RBB TODAY
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あのCMがアニメになった〜Web限定「TEPCOひかりに決めた唄」CM、完成までの道のりは?

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キャラクター完成に至るまでの道のりが大変だった、と語るディレクターの山田高之氏
  • キャラクター完成に至るまでの道のりが大変だった、と語るディレクターの山田高之氏
  • 左より、アサツー ディ・ケイ CMプランナーの山田高之氏、葵プロモーションの佐々木渉氏
  • キャラクター、コンテ、絵作りなど、かなり入念にイメージを構築することで、CMのゆったりした空気ができ上がっている
  • キャラクターパターンの一部。奥華子本人も、目の位置・メガネの形などにこだわりがあり、活溌な意見交換をしたとのこと
  • 貴重な絵コンテを公開。電柱に登る工事担当者がよい味を出している
  • ファーストアルバムのジャケット写真とキャラクターイラストを一緒に。やっぱり似ている!
  • 編集スタジオにて作品を公開。画面はWeb用に撮影された、特別インタビューのようす。ここでもジャージ姿の奥華子
 コミカルな歌詞とリズミカルな曲調で、すっかり世間に浸透してしまった、TEPCOひかりのCMソング。「♪テプコひかりに、決めたのは〜♪」と、文字にしただけで、可愛いメロディが頭に浮かんでくるはずだ。

 このCMソングを歌っているのは、シンガーソングライターの奥華子。この夏に公開されて絶賛された劇場アニメーション「時をかける少女」の主題歌“ガーネット”でも、人気急上昇のシンガーソングライターだ。楽曲も可愛いのだが、トレードマークの赤いメガネにジャージ、Tシャツでキーボード弾き語り、という彼女自身のビジュアルも、じつに魅力的なキャラクターだ。

 TEPCOひかりのCMソングは、もともとはサビの部分だけのものだった。しかし、Aメロディ・Bメロディも付いたフルサイズの楽曲が、今年9月に九段会館で開催された奥華子の初ホールコンサートで、「この時だけ歌うつもりで」と披露された。これが大好評であったため、TEPCOひかりは「どうにかして皆さまにお目にかけたい」と、彼女自身をアニメのキャラクターにし、60秒フルサイズのCMを制作するに至ったのだ。TEPCOひかりPR担当者は「この曲を愛してくださっているファンの皆様への恩返し」と語る。

 完成したCMは11月20日より、ホームページでの限定ということで「TEPCOひかり内の特設ページ」で配信されているが、12月24日のクリスマスイヴのBS朝日特番「CMソングものがたり」の中でオンエアされる予定だという。これも「ファンの皆さまへのクリスマスプレゼントになれば」ということだそうだ。

 今回はCM制作の現場にお伺いして、ディレクターであるアサツー ディ・ケイ CMプランナーの山田高之氏と、今回の制作プロデューサーである葵プロモーションの佐々木渉氏に、いろいろとお話を伺ってきた。

 まずCMの内容については、「歌詞そのものに沿ったストーリー仕立てのアニメ作品になっています。“パソコンの世の中についていけないけど、自分に似ているパソコンが出てきてちょっと安心”というもので(笑)、ストレートな内容です。CMとしては奥華子さんのライブ風景を使う案などもあったのですが、楽曲のかわいらしさを生かすために、手作り風のアニメとしました。コンテはすべて自分で起こしました」と、山田氏は語る。

 キャラクターについては、「CMとしての完成パターンは1種類だけですが、奥華子さん自身をキャラクターにするにあたっては、かなり試行錯誤を繰り返しました。何パターンもキャラクターデザインを描いていただいたのですが、メガネの位置だけで表情が変わってしまう。ご本人にもお見せして、思う存分ご意見をいただき、関係者とも数え切れないほどのミーティングを繰り返して、何度もメールのやり取りをして、絵柄を決定しました。前髪、目の大きさや位置、メガネの確度……、そういった微調整を細かく入れて、徐々にでき上がっていった感じです」(山田氏)とのことで、密に奥華子本人そして関係者とやりとりして作り上げたようすが伺える。「すでにご本人にも、ほぼ最終型をお見せしている」とのことだったので、このインタビュー時には奥華子本人からお墨付きは出ていたわけだ。

 ちなみにキャラクターデザインおよびアニメ制作は、CGクリエイターのスエナガリョウケン氏。氏のコメントによれば「素朴な可愛らしさを出したかった。そのための手法として、フィルムでコマ撮りしたように制作しました」とのことで、その意図はしっかりと出ている。

 ちょっとレトロな色調とアナログっぽいシンプルなCMだが、実際にはCGを駆使しており、こだわりの映像となっている。色数を抑えた分、赤色がピンポイントカラーとなっているようだ。そういえば、TEPCOひかりのブランド名にも赤色が使われているし、奥華子のトレードマークのメガネも赤色だ。

 CM制作において苦労した点としては「音源」があげられた。もともとこの曲はCD化されておらず、フルサイズの楽曲も、彼女の初コンサートで披露された1回のみ。CM制作企画にGOサインは出たのに、曲そのものがなかったのだ。しかし「たまたま関係者がリハーサルで歌われたときにこの歌を記録しており、それが唯一の音源だった」と、佐々木氏はいう。制作陣は「決して録音状態がいいとはいえないその音源を唯一のよりどころとして、アニメーション制作の作業をすすめていった」(佐々木氏)そうだ。

 ところで、コアなファンなら知ってのとおり、奥華子はジャージ愛用者。秋冬の路上ライブではおなじみの姿で、ある意味トレードマークとも言われているのだが、今回のアニメCMではTシャツ着用となっている。その理由を聞いてみると「ジャージ姿も検討しました。ただ、アニメとしては、ちょっと絵が複雑になってしまう。CMのテイスト全体を考えて、最終的にはTシャツにしました」とその理由を説明いただいた。機会があれば、いつかジャージ版の奥華子キャラクターも見てみたいものだ。

 さて、奥華子自身「私の曲はバラードが多いので、皆で歌える歌がないんですよ。でも、あそこ(初ホールコンサート)でTEPCOの歌で一体感がもてたことで私も乗れたし、お客さんも和んでくれた。その空気感は凄いと思います。路上ライブで歌うときもそうなので、皆が知っている、ってことは凄いことなんだなあ、と思いました」(RBB TODAYインタビューより)と、語っている。あくまで彼女自身からのアイデアがもとになってこの楽曲は完成し、さらにはそれが今回のアニメCMに結び付いたのだ。企業のCMとしてブランド名がズバリ入っているにもかかわらず、これだけファンからもアーティスト自身からも愛されているCMソングも珍しいだろう。

 TEPCOひかりのPR担当者も「CM曲の利用については、販売の現場からの要請も強い。ブランドの認知向上だけでなく、街行くお客さまが、この曲を聴いて販売ブースまでおいでくださる、という力があるのを目の当たりにして感動した」と語る。担当者たちも心からこの曲を愛し、シンガーソングライター奥華子をも応援しているようだ。

 いろんな人たちの“愛”の結晶が、1秒のCMソングを60秒のロングバージョンアニメCMにした。ユーザが“TEPCOひかりに決めたのは…それは、愛があったから!”と思う次第だ。

 アニメCMは「TEPCOひかり内の特設ページ」にて、500kbps、1Mbps、3Mbpsで12月末までの予定で配信。奥華子本人からのビデオメッセージも公開されているので、こちらもお見逃しなく。
《冨岡晶》
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