So-netがSNSサービスを提供開始。そのコンセプトは? 自分がオーナーになってSNSを開設可能 | RBB TODAY
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So-netがSNSサービスを提供開始。そのコンセプトは? 自分がオーナーになってSNSを開設可能

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ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)ポータル事業部門 編成部 編成1課の水谷祐司氏(右)と千輝仁氏(左)
  • ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)ポータル事業部門 編成部 編成1課の水谷祐司氏(右)と千輝仁氏(左)
  • www.so-net.ne.jp/sns/のトップ画面。ここからSNSの開設が可能
  • オーナーページ。ここから自分のSNSに対して、さまざまな設定を行うことができる
  • ユーザのページ。スタンダードなSNSの画面レイアウトとなっている
  • ログイン時にはこの画面が表示される。設計図のようなユニークなデザインだ
 ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)は6月6日に、「So-net SNS」(β版)をオープンした。いままでのSNSサービス同様に、SNSにユーザとして参加できるほか、自分自身がオーナーとなってSNSを新たに作り運営できるのが最大の特徴だ。オーナーだから、サイト名、ユーザの招き方(登録制/招待制)、利用規約、デザインなどを、自由にカスタマイズできることが大きな売りとなっている。

 今回のオープン直前に、「So-net SNS」の担当である、ポータル事業部門 編成部 編成1課の水谷祐司氏と千輝仁氏から、直接お話を伺うことができたので、コンセプトまで含めてさまざまな情報をお伝えしたい。

 まず、SNSを開設するには、So-net IDが必要となる。IDを登録→サブドメイン指定→SNSの名称決定、という3ステップで簡単に、オーナーとしてSNSを開設できる。ただしSo-net ID1つに対して、SNSは1つしか開設できない。これは「安易にたくさんのSNSを作るのではなく、責任感と意志をもって、SNSを開設・運用してほしいから」とのことだ。また、ディレクトリ名方式(www.so-net.ne.jp/sns/○○)ではなくサブドメイン名方式(○○.so-netsns.jp)としたのも同じような理由で、「オーナーには、自分のSNSにより深い愛着を持っていただきたいから」とのことであった。

 開設されたSNSは、既存のSNSとなんら変わらない。ベースとなるのは「OpenPNE」(So-net Edition)で、プロフィール公開、日記作成、コミュニティ、友人招待、あしあと、カレンダー、おすすめレビューといった基本機能はすべて揃っている。携帯電話からの投稿・閲覧が可能となっているメリットも大きい。

 So-netとしては、「SNSそのもの」を提供するというよりも「SNSを作る仕組みと場所」を提供する、というスタンスである。そういった点から、オーナーは自己のSNSについて、細やかに設定が行えるようになっている。まず、SNSの基本である参加方式についても、招待制(招待状が必要)と登録制(自分で登録して参加)をオーナーが選択できる(途中変更も可能)。その他にも、「プロフィール項目の設定」(ユーザ登録の項目の選択)、「コミュニティカテゴリ設定」、「SNSデザイン変更」「ユーザへの告知」(メールニュース、利用規約の編集など)、「ユーザ管理」(メンバーや投稿記事に対する管理)、「招待メール送信」、そして「画像・記事書き込みチェック」といった管理機能が、オーナーにのみ提供されている。

 オーナーはSNSそのものにログインして直接編集するのではなく、オーナー専用の管理画面にアクセスしてそこから上記の作業を行う形になっているのも、かなり本格的な仕様だ。

 ここでユニークなのが、「オーナー向けSNS」というSNSを、So-net側で用意しここへの参加を呼びかける、という取り組みだ。各オーナーは任意の参加となる(必須ではない)が、「オーナー向けに独自情報を提供したり、オーナー同士の交流が可能となったりするので、ぜひ参加して欲しい」とのことだ。

 「So-net SNS」の仕組みでは、SNS同士が別個に存在してしまうため、大きな“分母”となる集団は存在しない。そのため、各SNSの独立性は保たれるというメリットがある。あまりに参加者が多くて、自分のコミュニティや交流範囲に、まったく予想しなかった参加者が現れる、ということがないのだ。「会社の上司には日記を見られたくない」「別れた彼氏・彼女が同じコミュにいる」といったトラブルは、SNSではある意味日常茶飯事だが、「So-net SNS」を使って、自身がオーナーとなって「コミュニティの作り直し」を行えば、こういったトラブルから無縁となれる。このへんの事例は、既存のSNSでは最大の不満としてよくあげられている点だから、So-net SNSがmixiの流入者受け皿となる可能性は十分にある。もちろんmixiと併用しつつ、自分のSNSを開設する、というユーザも多数出そうだ。

 ただ一方で、各SNSが完全に独立してしまって、情報交流などが行えない、というマイナス面も考えられる。各ユーザは複数SNSに参加できるが、オーナー同士が交流したり、運用ノウハウを共有したりする仕組みがないのだ。それを解消するのが「オーナー向けSNS」という位置づけになる。So-netでは、「オーナー向けSNSを通じて、さまざまな意見交換や啓蒙、注意喚起も行う」とのことなので、「オーナーになったら参加するのがベター」だろう。

 以上のコンセプトから、「So-net SNS」は、“大きな分母の中で未知の人たちと交流し合う”という従来スタイルではなく、“小さな分母のSNSが多数集まって、大きなうねりを作る”といったイメージだ。SNSそのものの具体例としては、結婚する本人たちが作る「ブライダルSNS」、同じマンションに住む住人が作る町内会的な「コーポSNS」といった例が提示された。イベント限定のSNS、町の小さなショップや飲食店の顧客SNS、ローカルアイドルのファンSNSといった使い道も非常にフィットしているだろう(ただし商業利用については、いちおう規約上禁止となっているので、そのへんは開設時に注意が必要だ)。

 また、あまり強調された点ではなかったが、年齢制限がない、というのも「So-net SNS」の大きなアドバンテージになる可能性を秘めている。子どもも含めた親戚一同SNS、小学校のクラスで作るSNS、夏休みSNSなど、しっかりしたオーナーが作れば、ちょっとしたブームになるかもしれない。

 とにかく「出来上がったものを押しつけるのではなく、皆さんでいろんなSNSを作って欲しい」との方向性なので、サイトの初期デザインについても、まるで作成中の下描きのようなユニークなものとなっている。“このSNSを完成させるのは、アナタの手が加わってからですよ”という思いを明確に表した秀逸なデザインといえるだろう。これはこれで親しみやすく、いいデザインだと思うが、So-netとしては「ぜひ独自のデザインに変えて欲しい」とのことだ。インターフェイスについては、使いやすさ優先で従来SNSが踏襲されている。

 デザインは画像で提供され、画像を書き変えてアップロードすることで、柔軟に変更できる。またカラー設定を数値指定で変更することも可能。今後は、さまざまなテンプレートやデザインセットが用意される予定だ。

 会員数という側面だけで考えれば、現在のSNS界はmixiが圧倒的であり、後発サービスは“成功している”とは言い難い。ただ“何をもって成功とするか”については様々な捉え方がある。ニーズがあるなら人もいる、人もいるならビジネスチャンスもある、そう考えてSo-netもSNSサービスに参入した。参入にあたり、So-netは昨年末から議論に入り、今年春に実行へのゴーサインが出た、とのことなので、かなりの議論が重ねられたようだ。様々な角度からの記者の質問にもよどみなく答えていただいた。その一方で「まだまだβ版、まだまだ実験。とにかくやってみて、実際の反響を見たい」とのことなので、実際に使っている人たちから意見が出れば、今後どんどん変化・進化していく余地も多分にある。

 「自分ならどんなSNSを作りたいか?」を考えてみると、なかなか楽しい。「So-net SNS」の今後については逐次お知らせしていきたい。要注目だ。
《冨岡晶》
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