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ソフトバンクがボーダフォンを買収〜買収額は約1兆7,500億円、新ブランドに移行

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左より、ボーダフォンのウィリアム・ティー・モロー社長、ソフトバンクの孫正義社長、ヤフーの井上雅博社長
  • 左より、ボーダフォンのウィリアム・ティー・モロー社長、ソフトバンクの孫正義社長、ヤフーの井上雅博社長
  • ボーダフォン・グループPLCのアルン・サリン最高責任者も国際電話にて挨拶
 ソフトバンクは17日、ボーダフォンの買収について正式決定し、最終契約を締結したことを発表した。買収額は約1兆7,500億円の予定、日本経済界でも過去に類を見ない規模の買収劇の全貌が見えてきた。また同日、ソフトバンクは、ヤフーと携帯電話事業における業務提携も発表、ボーダフォンを通じてヤフーコンテンツを提供していくことで、世界規模のモバイルポータル事業を目指すこととなる。

 同日行われた記者会見には、ソフトバンクの孫正義社長、ヤフーの井上雅博社長、ボーダフォンのW.T.モロー社長が顔を揃え、今回の買収と今後の展開について語った。そのほか、ボーダフォン・グループPLCのアルン・サリン最高責任者も国際電話にて挨拶、今回の買収を歓迎するとのメッセージをイギリスより述べた。

 まず、孫正義社長が今回の買収についてのファイナンスを説明した。ボーダフォン インターナショナル ホールディングスB.V.、ボーダフォン・グループPLCなど、ボーダフォングループ各社が売主となり、ソフトバンク全額出資子会社が発行済普通株式のうち97.7%を取得する。資金調達の方法としては、LBO(レバレッジドバイアウト、買収先資産を担保に資金を借り入れる方式)によるブリッジローンで1兆1,000億〜1兆2,000億円を調達するほか、ソフトバンクが普通株式2,000億円、ヤフーが優先株式1,200億円を出資する。2006年9月頃までに、パーマネントファイナンスを完了する予定としている。

 今回買収を行うにあたり、LBOによるノンリコースローン調達のため、親会社であるソフトバンクに債権取立は及ばず、完全に独立した資金調達であることを強調、ソフトバンクの信用力に依存しない借入となっている。

 孫社長は「今回の買収によって固定電話・携帯電話事業を有する、総合通信会社としての体制がやっと整った」と述べ、NTTグループやKDDIと並び、念願の通信業者となった喜びをにじませた。さらに、ヤフーというコンテンツグループをもっている点が前述の2社に対する強力なアドバンテージであることに触れ、今後は基幹ネットワークの統合によるコスト削減だけでなく、サービス内容に依らない統合インフラでコンテンツを提供するライフスタイルカンパニーを目指すとした。数値規模で見ると、連結売上高2兆5,000億円規模、回線数約2,600万回線規模の総合通信事業者となる。

 ボーダフォンは日本国内1,500万ユーザ(全世界5.1億ユーザ)、人口カバー率99%以上で、そのままこれらのインフラ、さらに人材やノウハウをソフトバンクは入手するが、逆にコンテンツ数でiモードやEZwebに遅れをとるボーダフォンにとって、322億ページビュー/月のヤフーの集客力は魅力的だ。また、家電量販店やネット販売での営業網をもつソフトバンクと、ボーダフォンショップや街頭販売を進めるボーダフォンとで販売拠点拡大・取扱商品の相互拡充といった、新たな販売機会の拡大がお互いに望めるのも大きい。なによりも、携帯事業への早期参入が“悲願”となっていたソフトバンクにとって、ボーダフォンの顧客基盤、ネットワークインフラ、端末調達能力、人材・ノウハウは魅力的だったろう。

 日本国内過去最大ともいえる企業買収にもかかわらず、2時間にわたる記者会見は終始リラックスムード。孫社長からもモロー社長からもときおり笑みがこぼれた。今後のJV設立もにらんだ、きわめて双方の満足度が高いであろう交渉の充実ぶりが伺えた。それだけに各金融機関からの資金オファーもオーバーブッキングとなるほど集まりつつあるとのことで、ドイツ銀行、みずほ證券、ゴールドマンサックスなどのアドバイスを受けながら進めているとの話が、質疑応答時に語られた。

 なお、ブランドについては「できうるだけ早急に新ブランドに切り替えたい」とのことで、ボーダフォンの名称やロゴは変更される見込み。
《冨岡晶》
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