松下、高速電灯線通信用モジュールとLSIの量産を開始。CEATECでデモを公開 | RBB TODAY
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松下、高速電灯線通信用モジュールとLSIの量産を開始。CEATECでデモを公開

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HD-PLC専用LSI「MN1A92080L」
  • HD-PLC専用LSI「MN1A92080L」
  • HD-PLCモジュールとケース
  • HD-PLCによるホームネットワークのモデル
  • 同社独自の技術「Wavelet OFDM」で170Mbpsの高速伝送を実現
  • HD-PLCによるデモ。ビットレート24Mbpsのハイビジョン映像3本をリアルタイムに伝送する。
 松下電器産業は、有明にある同社施設「パナソニックセンター」において記者発表会を開催し、29日、松下電器産業とパナソニックコミュニケーションズが開発した高速電灯線通信(HD-PLC)用のモジュールとLSIの量産を開始すると発表した。

 同製品は、既存の宅内電灯線をホームネットワークとして利用することを可能とするもの。同モジュールをコンセントに接続するだけでイーサネットとPLCの変換が行えるため、宅内にネットワークケーブルを引き回すことなく高速なホームネットワークが構築できる。

● ほかの機器に影響を与えずに170Mbpsの高速伝送
 発表されたHD-PLC専用LSIは「MN1A92080L」で、同社独自の技術である「Wavelet OFDM」を実装したPHY部と、データ伝送を制御するMAC部、そしてCPUを1枚のチップに内蔵している。

 同LSIを利用したモジュールは、イーサネットコントローラを内蔵し、イーサネット/PLCブリッジ機能を実現。既存の宅内電灯線で最大170Mbps(PHY速度)の高速伝送を実現する。MAC速度でも90Mbps程度の実効速度が出るとのことなので、100BASE-TXと比べてもまったく遜色がない。

 また同モジュールには、宅内で利用される機器への混信を避けるフレキシブルノッチを搭載し、最大35dbまで制御可能な帯域除去フィルタで既存システムへの影響を除去する。電灯線に乗るノイズ耐性も強いのが特長だ。

 さらに、伝送には128ビットAES暗号方式を採用し、高度な情報セキュリティも実現している。

 同モジュールとLSIは2005年度中に量産を開始。モジュールは2005年12月から、LSIは2006年4月から、それぞれサンプル出荷を開始する。

 なお、HD-PLCの評価用ボードとソフトウェアはすでに8月から米国と欧州に出荷しており、現在、各種の検証を行っている。

● 幕張でのデモ自体がHD-PLCの実証実験
 発表会では、10月4日から8日まで幕張メッセにおいて開催される「CEATEC JAPAN 2005」で同社が展示を予定しているデモも公開された。デモでは24Mbpsのハイビジョン映像を3本同時にリアルタイムに再生して見せた。

 幕張では、PLCとしては初めて公の場で、トリプルプレイ・サービス(音声/映像/データの3種を同一のネットワークで提供すること)をデモすることになるという。

 同モジュールは電力線上の周波数帯域2MHz〜30MHz帯を利用する。現在、欧州や米国ではこの周波数帯域の利用が認められているものの、日本では技術開発の目的にしか認められていない(同社は、日本におけるこの周波数帯の規制緩和を来秋頃と予測している)。今回は、CEATECを公開実証実験の場として、総務省に実験許可申請を提出している。

 CEATEC会場では、モジュールの発するノイズ累積効果や、他のノイズ源からの被干渉についての検証や、既存無線局への影響の可否と有効性を確認するという。

 CEATEC会場では、各社の新製品のプロトタイプも数多く展示されるはずである。もしかすると、まだ電源ノイズ対策の施されていない製品も出品され、同じ電源ラインに接続されているかもしれず、検証の場として申し分ないという。

 CEATEC会場のような過酷な環境下でもノイズの被干渉が無く高速性が証明されるかどうかは注目のポイントである。CEATECに出かける人は、ぜひ自分の目で確かめてほしい。
《竹内充彦》
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