キヤノン、マスコミ向けにデジタルカメラ映像技術「DIGIC」セミナーを開催 | RBB TODAY

キヤノン、マスコミ向けにデジタルカメラ映像技術「DIGIC」セミナーを開催

 キヤノンは27日、マスコミ向けにデジタルカメラ技術セミナー「デジタルカメラの高画質をつくる映像エンジン DIGIC」を都内で開催した。デジカメの仕組みやDIGICの特徴などを解説。

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 キヤノンは27日、マスコミ向けにデジタルカメラ技術セミナー「デジタルカメラの高画質をつくる映像エンジン DIGIC」を都内で開催した。デジカメの仕組みやDIGICの特徴などを解説。
  •  キヤノンは27日、マスコミ向けにデジタルカメラ技術セミナー「デジタルカメラの高画質をつくる映像エンジン DIGIC」を都内で開催した。デジカメの仕組みやDIGICの特徴などを解説。
  • EOS-1D Mark IIに採用されたDIGIC IIの基板
 キヤノンは27日、マスコミ向けにデジタルカメラ技術セミナー「デジタルカメラの高画質をつくる映像エンジン DIGIC」を都内で開催した。

 本セミナーは、キヤノンDCP開発センター 副部長の栄木裕二氏が講師となり、デジタル画像処理技術(LSI)「DIGIC」搭載製品の紹介や、デジタルカメラの仕組み、DIGIC開発の歴史、DIGICの特徴、DIGICのAE(自動露出)/AF(オートフォーカス)/AWB(オートホワイトバランス)技術、DIGICとプリンタ画像処理といった、盛りだくさんの内容だった。ほかにも、他社製品との画質比較や、DIGICに関連する質疑応答などの時間も設けられた。

 栄木裕二氏は、まず、映像エンジンDIGICの歴史を振り返った。最新の映像エンジンである「DIGIC II」は、映像エンジンとして4代目になるという(「DIGIC」と呼ぶようになってからは、名称どおり2代目)。

 DIGIC IIは、スポーツ・報道分野のプロ向けデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D Mark II」(2004年4月発売)で初めて採用された。現在では、デジタル一眼レフカメラの「EOS-1Ds Mark II」「EOS 20D/20Da」「EOS Kiss Digital N」や、コンパクトデジタルカメラの「PowerShot S2 IS」「IXY DIGITAL 600/55/50/40」といった、現行のラインアップにDIGIC IIが搭載されている。

 LSIのパッケージサイズは違うものの、ハイエンドのデジタル一眼レフカメラから、エントリーのコンパクトデジタルカメラまで、映像エンジンは同じもの。ちなみに、DIGIC IIのパッケージサイズは4種類あるが、中身はすべて共通しているという。

 DIGICが現行の全モデルに対応したことで、コンパクトデジタルカメラに要求されたノイズレス処理がデジタル一眼レフカメラの高ISO高画質に、デジタル一眼レフカメラに求められた高速処理がコンパクトデジタルカメラの高速起動・スムーズ連写を実現し、相乗効果が生まれたとしている。

 DIGIC最大の特徴は、キヤノンが独自設計していることだ。独自設計のメリットは、同社が開発したフロッピーカメラやデジタルビデオカメラ時代からの原色処理技術の蓄積や、プリンタおよび複写機のノウハウ、アルゴリズムを惜しみなく投入できることにある。これは、社外のLSIメーカーから調達するようなケースでは、独自のノウハウやアルゴリズムをLSIに盛り込んだとしても、競合他社にもそのLSIが使われてしまうからだ。なお、デジタルカメラに、DDR SDRAMを採用したのは同社が初めてとのこと。

 DIGICは、メカトロ制御、CMOS制御、AE/AF/オートホワイトバランス、現像処理、画像処理、JPEG圧縮・伸張、メモリカード制御、表示、USB通信を担っているという。

 現像・記録処理の基本要素は、γ圧縮、補間、ホワイトバランス、シャープネス、JPEG圧縮、カード記録で構成される。栄木氏は、γ圧縮や補間処理などを以下のように説明した。

 γ圧縮とは、ディスプレイ特性に合わせて明るさを補正すること。元々はテレビをきれいに見るためのもので、規格で大まかな特性が決められている。このγ処理により情報量が失われ、微妙な差が画質に影響を与えるという。RAW記録では、このγ処理をスキップしている。なお、RGB TIFF記録では、γ処理が行われているため、ロスがあるとのこと。

 補間処理は、ベイヤー配列から、すべての画素のRGBを作るものだ。補間処理の良し悪しが、画質へ大きな影響を与えるという。この処理がまずいと、発色が悪くなったり、解像度が低下したり、モアレが出たりする。

 ホワイトバランスは、光源のRGB比を推定する技術。キヤノンのオートホワイトバランスが正確な理由は、「他社製品の多分割測光は256分割程度だが、キヤノンでは数10万に分割し、色情報を収集して外光の光源色を推定しているからだ」とアピールした。さらに、「DIGICの高速演算により、無意識に補正している人間の脳と同じような処理が行われている」と紹介。また、「決して画面全体の平均色を白にするものではない」とコメントした。

 シャープネス処理(アパーチャー補正)は、信号値の変化を強調するもの。これは、本質的にあるべき処理で、絵作りには欠かせない処理だと主張している。同時に、シャープネスをかけすぎると、ノイズが増えて、不自然な画像になるとも述べた。

 アパーチャー補正には、数式のδ関数が用いられている。栄木氏は、「δ関数は、幅が無限に狭くて、高さが無限に高く、かつ両者の掛け算が1になるもの。だが、無限に小さな撮像素子で光を集めることは不可能。したがって、撮像素子は、光を集めるために必ず開口(アパーチャー)を持っている」と紹介した。

 一方、開口を持つことで、ローパス効果(細かい模様のボケ)が出てしまう。このアパーチャー効果(ロス)を補正するのが「アパーチャー補正」で、シャープネス処理と同じ演算になるとレクチャーした。

 JPEG圧縮とは、8×8ドットのブロックごとに、縦・横の波に分解し、波の重み(DCT係数)を加減した後、ハフマン圧縮すること。

 現像・記録処理の順序は、各社さまざま。キヤノンでは、上記の処理以外にも、さまざまな秘密処理が行われているという。

 また、DIGICとPentiumプロセッサ(数GHz)の比較ベンチマークも紹介した。DIGICのRAW現像は、Pentiumより低消費電力で、数10倍高速であるとアピール。DIGICは、Pentiumのような汎用性がない代わりに、カメラ信号処理や画像処理に特化しているためだと説明した。

 最後の質疑応答では、「キヤノンのカメラは、記憶色を重視し、ノイズを消しているためか? 塗り絵っぽいという意見がある」という記者からの発言に対し、栄木氏は「ノイズを(後から)消しているのではなく、ノイズを出さないように作っている。それは誤解だ」とコメント。また、「人間の脳が無意識に色を補正しているのと同様に、キヤノンでは多くのユーザーがきれいだと感じる記憶色を追求している」ことも強調した。なお、記憶色は、年齢、性別、人種によって異なり、緑(葉、芝)、青(海、空)、肌色が特に重要だという。
《高柳政弘》

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