ISPにとっても、ラックを提供してアカマイのサーバをそこに配置することで、そのISPの会員は快適なコンテンツを利用できるようになる。また、アカマイサーバのキャッシュ機能により、ISPはバックボーンへの投資コストも落とせる。ところが、NTTコムのBroadband CDN powerd by Akamaiの場合は、アカマイのサーバをNTTコムのコストで導入し、サーバのロケーションコストもNTTコムが負担する。つまり、アカマイの技術を使ってNTTコムがCDN網を作り上げたという捉え方の方が正しいといえる。こうしたビジネスはアカマイにとっては初めてではないが、なかなか表面に出てこないビジネスモデルである。
このメリットは、NTTコムにしてみれば、アカマイのキャッシュテクノロジを利用することで、増大するバックボーンコストを抑えながらウェブサービスが提供できるという側面がある。しかし、それよりももっと重要なポイントがある。それは、NTTコムのネットワーク上にホスティングしている顧客にとっては、付加分散のためのサーバやサーバ管理者、さらには新たなラックを契約するコストといったものをBroadband CDN powerd by Akamaiに振り替えることで、サーバの数や管理者を増やさずに同じような効果を得られることだ。
また、POI部分のキャッシュサーバはBroadband CDN powerd by Akamaiならではの部分だが、Broadband CDN powerd by Akamaiは、NTTコム網のPOIのキャッシュサーバを含んだ日本全国、さらには全世界のキャッシュサービスである。実は、ここがNTTコムにとってのキーワードでもある。
今後、e-japan構想に伴い、政府や自治体がどんどんネットワークサービスに力を入れてくることが見込まれる。NTTコムはこの分野のビジネスを得意としており、さらにBroadband CDN powerd by Akamaiを導入することで、全国ほとんどのISPに対して、レスポンスのいいウェブコンテンツサービスを提供できるようになる。これも、NTTコムを動かせた大きな理由なのかもしれない。