
冬の風物詩として世界中で愛されるピーター・ライト版『くるみ割り人形』
ウクライナ出身の新星、マリアンナ・ツェンベンホイが日本の観客にメッセージ!
冬の風物詩として子どもから大人まで最も愛されているバレエ作品『くるみ割り人形』。E.T.A.ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」をもとに1892年に誕生した本作は、チャイコフスキーの切なく美しい旋律と幻想的な雪の場面、華麗な各国の踊り、そしてクリスマスを舞台にした少女のファンタジックな成長物語が人気を呼び、さまざまな振付作品が生まれてきた。
ピーター・ライト版の『くるみ割り人形』は、ロイヤル・バレエで1984年に初演されて以来、600回以上も上演され、長年にわたって愛されてきた名作。
映画館で公開中の『くるみ割り人形』でクララを演じたのは、ウクライナ出身の新星、マリアンナ・ツェンベンホイ。インタビューの前日に25歳になったばかりというフレッシュなバレリーナ。今月末には『ジゼル』で主演デビューを飾るなど、まだファースト・アーティストながら未来のスターとして期待されている可憐で美しいダンサー。『ウルフ・ワークス』と『ジゼル』のリハーサルで多忙な中、日本の観客のためにインタビューに答えてくれた。

―クララ役を演じるときに大事にしていることは何でしょうか。
クララは大人と子供の微妙な境界線の上にいると思っています。彼女は新しい感情を発見している思春期の少女なのです。くるみ割り人形の姿をしているドロッセルマイヤーの甥ハンス・ピーターに出会った時、初恋かもしれない、という感情を彼女は初めて知ります。そして人間の姿になった彼に出会い、恋に落ちて、それは彼女にとっては本当に初めての経験です。私が舞台上で表現するキャラクターの非常に美しい瞬間ですね。
―クララは物語の中で成長していきます。踊りを通じて、大人に近づいていくことを表現する上で気を付けていることは何でしょうか。
この作品の振付は非常によくできていて、最初のパーティシーンで彼女は人形と遊んでいますが、クリスマスツリーが大きくなって、戦いがおこり、ネズミの王様をやっつけてハンス・ピーターに出会いますよね。この一一連の流れこそが、彼女が人形遊びをする子供から恋に落ちた思春期の少女へと変化していくことを見せているのだと思います。振付と音楽とセットの転換が、私がダンサーとして、成長の様子を演じることを助けてくれています。
―クララ役をあなた自身の解釈で演じている部分はありますか?
私はいつも役を自分のものにしようとしています。クララ役を演じるのは2回目(2年前に役デビュー)なので、もうデビューしたてではなくて、役に親しんできました。だからペース配分もわかっていて、ここは重点的に演じて、ここはちょっと抑え目にしなければというのがわかってきました。この役を初めて演じた時は22歳でしたが今は25歳(インタビューの前日が誕生日)になったので、ごく自然に少し解釈を変えるようになってきました。私はジャンプが得意で空中に浮かんでいることがとても好きなので、もっと跳躍できる方法を探求しています。それから他のキャラクターとやり取りをすることも好きで、特に2幕のディヴェルティスマンでの、ほかのダンサーたちと一緒に踊るところが好きなのですが、いつも新鮮な気持ちで同じことを2回繰り返さないようにしています。ローズ・フェアリーと踊るときもそうで、生き生きと演じて、何か違ったことをしたいと思った時にはそうしているので、この役柄がいつも楽しくて自分自身のものにすることができています。
―クララはあなた自身に似たところがありますか?
さすがに私はもうお人形遊びはしていませんが(笑)でもまだ私は若くて、ポジティブな性格で、よく笑います。この劇場ではクレイジーなスケジュールで物事が動いていることがありますが、そんな時でも奇跡的なことが起きてくれるし、前向きな気持ちでいられるようにしています。そういった意味では、私とクララは似ているところはあります。彼女はとても好奇心旺盛で、周りで何が起きているのか興味を持っていて、勇敢で何が起きているのか探求したい人なのです。そういったところは私にも似ていますね。母国ウクライナを離れて新しい言葉を学んで、周りの様々な国から来た人たちと交わっています。これは仕事のみならず、私の人生の中で起きた大きな変化ですね。そういったところもクララに似ているのではないでしょうか。
―ハンス・ピーター役の中尾太亮さんと踊るのはどんな感じでしたか?
素晴らしい経験でした。彼はとても良いパートナーであるだけでなく、人間としてもとても素敵な人です。私たちは感情を持った人間ですから、リハーサルをしていると疲れてしまう時もありますが、スタジオ内の雰囲気はいつでもとても良かったです。実は(怪我で当初のパートナーが降板したため)彼と組むことになったのは直前に決まったので、一緒にリハーサルをする時間は十分に取れなかったのですが、プロのダンサーとしてだけでなく、人間として、短期間でもお互いに最善を尽くしたいと思っていました。そして一緒に練習することでよい舞台を作ることができて、それは素敵な経験でしたね。
―ダンサーとしてのあなたにとって最も大きな影響を与えたのは誰でしょうか?
母です。私の母は数学者なのですが、私と兄弟をたった一人で育ててくれました。子育てが大変だとか疲れた顔を見せたことは一度もなかったのです。彼女はいつでも私たちを助けてくれて、持てるすべてを与えてくれました。彼女はとても強い人だと思います。とても忍耐強くて、仕事をする上での勤勉であることの大切さ、目標のために一生懸命働くこと、そして大変な時もあきらめないことを教えてくれました。私にとって一番の目標ですね。
―マリアンナさんは今、2月末の『ジゼル』のジゼル役のデビューに向けてリハーサルをしているところです。この若さでこの大役を踊ることについての想いを教えてください。Instagramでリハーサルの写真を見ましたが、とても感情が伝わってきましたね。
「ジゼル」は間違いなく大きな役で、身体的にも大変なだけでなく、感情面でも本当に難しい役です。特に狂乱の場面を仕上げるときには、感情が涸れ果てるほど胸がいっぱいになりますが、自分自身を見失わないように演じなければなりません。そこを経て、ウィリの世界に入って幽玄な存在になり、ふわふわと透明感を持つようになろうとしています。このプロセスは本当に素晴らしい経験です。この役を学ぶにあたって、リアン・ベンジャミンとエドワード・ワトソン以上の素晴らしい教師はいません。またアルブレヒト役として、プリンシパルのジョセフ・シセンズと組むことができて、彼がこの道のりを導いてくれています。この役をお客様にお見せできるのを楽しみにしています。いつか日本のお客様にも見せたいですね。
―マリアンナさんはウクライナに生まれて、ウクライナのバレエ学校で学ばれてからロイヤル・バレエスクールに移られましたが、メソッドの違いはいかがでしたか?
私はまずは地元のバレエ学校に通い、そのあとキエフ舞踊大学で学びました。それからYAGPでスカラシップを得てロイヤル・バレエスクールのアッパースクールに移りました。やはり全くトレーニング方法は違っていて、まるで新しい言葉を学ぶようでしたありました。ロイヤル・バレエスクールに移ることは大きな変化でした。でも私は幸いにも素晴らしい教師たちに恵まれました。最初の年はニコラ・トラナが私の先生で、今の私を形作ってくれました。英国スタイルの基礎的な動きを学ぶ助けをしてくれたのです。スクールではまた、勉強の一環としてアシュトンやニネット・ド・ヴァロワ、マクミランの作品も学びました。身体的にこれらのスタイルを学ぶだけでなく、理論的にも学んだし、ビデオもたくさん見ました。学生時代にもバレエ団と一緒に舞台に立つことになり、実際にレパートリー作品を体験することでこれらのスタイルを学べたので、素晴らしかったです。
―お休みやオフの時にはどのように過ごされていますか?
シーズン中はとても忙しいので、仕事から気持ちを切り替えるのはちょっと難しいのですが、できるだけ休めるときには休んで、その時はバレエのことを考えないようにしています。読書も好きですし、友達と遊ぶこともしますし、ロンドンの美術館を訪れることもあります。また映画館で映画を観ることも楽しんでいますね。とにかくバレエではないことをすることは気分転換になるので、リラックスした一日を送って、サウナに行ったり、泳いだりすることも楽しんでいます。
―マリアンナさんは日本にはいらっしゃったことがありますか?
2023年夏のロイヤル・バレエのツアーで初めて日本に来ました。「ロミオとジュリエット」に出演して東京と大阪に行きました。たくさんの素敵な経験をすることができました。とても美しい国だったので、もっと探検したいと思ったのですが何よりしろ誰もがとても親切でした。日本のお客様は、ツアーで来日した時にはアーティストである私たちに大きな愛と敬意を送ってくれて特別な気持ちになります。早くまた行きたいです。このような素晴らしい観客の皆様のために舞台に立つことは、とても名誉なことです。
―「くるみ割り人形」を映画館で観る日本のお客様へのメッセージをお願いします。
日本のお客様のみなさんに、私たちのバレエを応援してくださってありがとうという気持ちを伝えたいです。この夏に日本のお客様の前で踊ることが待ちきれません。「くるみ割り人形」では。作品全体が本当に素晴らしいのでどの場面が一番好き、というのは言えないのですが、素晴らしい体験ができると思います。美しくて、魔法のようで、たくさんのキラキラとした輝きがあり、踊りは美しくてテクニック的にも素晴らしいです。マヤラ・マグリとリース・クラークが金平糖の精と王子を踊る姿を観ればとても幸せな気持ちになれることでしょう。そこが一番の見どころですね。この作品全体を楽しんでください。今一度、いつも応援してくださってありがとうございぃます。


<ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』作品情報>
【STORY】
手品師で発明家のドロッセルマイヤーは、王室でねずみをやっつける罠を発明したが、ねずみの女王は復讐のために彼の甥ハンス・ピーターに呪いをかけ、くるみ割り人形の姿に変えてしまった。呪いを解くためには、くるみ割り人形がねずみの王様を倒し、そして外見に関わらず彼を愛してくれる娘が現れなければならない。
シュタルバウム家のクリスマス・パーティに招かれたドロッセルマイヤーは、この家の娘クララにくるみ割り人形を贈る。夜中に目覚めたクララは、ドロッセルマイヤーによって魔法の世界に招かれ、ねずみの王様とおもちゃの兵隊たちの戦いを目撃する。クララの助けによりねずみの王様が倒され、くるみ割り人形の魔法が解かれてハンス・ピーターの姿に戻る。クララとハンス・ピーターは雪の王国へと旅し、さらにドロッセルマイヤーに導かれてお菓子の国へ行き、金平糖の精や王子に出会う。クララの勇敢さによって救われたとハンス・ピーターは金平糖の精に伝え、ドロッセルマイヤーはお礼として美しく賑やかな祝宴を二人に贈る。夢から醒めたクララは外に出ると、通りがかった見覚えのある若者と一瞬視線を交わす。そしてドロッセルマイヤーの部屋に、ハンス・ピーターが元の姿で帰ってきて二人は喜びに包まれる。
《くるみ割り人形》
振付:レフ・イワーノフに基づき ピーター・ライト
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
原台本:E.T.Aホフマン「くるみ割り人形とねずみの王様」に基づき マリウス・プティパ
プロダクション・台本:ピーター・ライト
美術:ジュリア・トレヴァリン・オーマン
照明デザイン:マーク・ヘンダーソン
ステージング:クリストファー・カー、サマンサ・レイン
アラビアの踊りの振付改訂:ギャリー・エイヴィス
シニア・レペティトゥール:サミラ・サイディ
レペティトゥール:ザーン・アティムタエフ、シアン・マーフィー
主演指導:アレクサンダー・アグジャノフ、ダーシー・バッセル、スチュアート・キャシディ、オルガ・エヴレイノフ、
イザベル・マキーカン、クリストファー・サウンダース、エドワード・ワトソン、ゼナイダ・ヤノウスキー
指揮:シャルロット・ポリティ
アソシエイト・コンサートマスター:メリッサ・カーステアズ
<キャスト>
金平糖の精:マヤラ・マグリ
王子:リース・クラーク
ドロッセルマイヤー:ジェームズ・ヘイ
クララ:マリアンナ・ツェンベンホイ
ハンス・ピーター/くるみ割り人形:中尾太亮
Act I <1幕>
ドロッセルマイヤーの助手:キャスパー・レンチ
シュタルバウム博士:トーマス・ホワイトヘッド
シュタルバウム夫人:クリスティーナ・アレスティス
フリッツ:ミラン・イェップ
クララのパートナー:五十嵐大地
祖母:イザベル・ルーバック
祖父:ジェームズ・ラージ
ダンシング・ミストレス:アネット・ブヴォリ
キャプテン:テオ・デュブレイユ
アルルカン:マルコ・マシャーリ
コロンビーヌ:ミーシャ・ブラッドベリ
兵士:ハリソン・リー
ヴィヴァンディエール:桂千理
ねずみの王様:フランシスコ・セラノ
Act II <2幕>
スペインの踊り:イザベル・ルーバック、オリヴィア・フィンドレイ、マディソン・プリッチャード、ジャコモ・ロヴェロ、ジェームズ・ラージ、ブレイク・スミス
アラビアの踊り:ナディア・ムローヴァ=バーレー、ハリス・ベル
中国の踊り:マーティン・ディアス、ハリソン・リー
ロシアの踊り:フランシスコ・セラノ、ジョシュア・ジュンカー
葦笛の踊り:エラ・ニュートン・セヴェルニーニ、ヴィオラ・パンテューソ、アメリア・タウンゼント、ユー・ハン
ローズ・フェアリー:クレア・カルヴァート
ローズ・フェアリーのおつき:レオ・ディクソン、テオ・デュブレイユ、アイデン・オブライエン、ジュンヒュク・ジュン
花のワルツのリード:ミーシャ・ブラッドベリ、ハンナ・グレンネル、桂千理、シャーロット・トンキンソン
2025年12月10日上演作品/上映時間:2時間36分
#RBOくるみ割り人形
2/20(金)~2/26(木)TOHOシネマズ 日本橋 ほか1週間限定公開中
■公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/
■公式X:https://x.com/rbocinema
■配給:東宝東和

https://www.youtube.com/watch?v=-gpHw-cXgik
『くるみ割り人形』予告
https://www.youtube.com/watch?v=8PMluihKPLw
「英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2025/26」シーズン予告
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