グローバルで DXに取り組む経営執行職である CDO(最高デジタル・データ責任者)ならびにCAIO(最高AI責任者)のコミュニティを運営する CDO Club Japan は日本国内でのCAIOの設置状況ならびにDXにおけるAI関連の状況を把握するために、CDO Club Japanの会員ならびに一般の上場企業を対象に「日本企業における最高AI責任者の設置状況とAI導入・活用の実態把握」に関する調査を実施しました。
調査の結果、CAIO(Chief AI Officer)設置率は4%にとどまり、AI推進の41%をCDOが兼務している“日本型AI推進モデル”が浮き彫りになりました。 一方で、AI戦略・モデル運用・ガバナンス・リスク管理まで責任範囲は急速に拡大しており、CEOの理解とコミットメントがAI活用の成否を左右する構造的課題が示されました。

【主な調査結果総括】
- CAIO設置率は4%、AI推進の41%をCDOが兼務--CDO主導の“日本型モデル”が明確化
- AIはDX戦略の中の一要素--66.6%が“DX延長の一部として”AIを捉える
- 最終意思決定者はCEO--“理解とコミットメント”が成否の分岐点に
- CDOが担うCAIO機能は急拡大--戦略からリスク管理まで包括
- AI活用の最大ボトルネックは「データ整備不足」・「AI人材不足」に
1. CAIO設置率は4%、AI推進の41%をCDOが兼務--“日本型モデル”が明確化

AI推進の主責任者として最も多かったのは CDO(41%)で、AI専任のCAIOを設置している企業は4%にとどまりました。
このことから、日本企業では「CDOがAI責任者(CAIO)を兼務する」モデルが実質的スタンダード
になりつつあることが明確となりました。
欧米ではCAIOの設置が拡大している一方、日本ではDX主導組織の延長でAIを扱っている構造がみられました。
2. AIはDX戦略の中の一要素--66.6%が“DX延長線”で捉える

企業がAIをどのように位置づけているかを尋ねたところ、66.6%が「DX戦略の一部としてAIを扱う」と回答しました。これは、AIが実質的にCDOの “変革の中核のドライバー”とされている状況が示されており、責任体制・統制・投資判断がDX体制にゆだねられている現状が明らかになりました。
3. 最終意思決定者はCEO--“理解とコミットメント”が成否の分岐点に
今回の調査結果から、日本企業の経営層がAI活用を極めて重視していることが明らかになりました。「非常に重視している」(約41%)と「ある程度重視している」(約49%)を合計すると、実に約90%もの経営層がAIの重要性を認識している結果となりました。

また、AI責任者の約71%が「経営トップ」に直接レポートする体制となっていました。
これは、AIへの取り組みが単なる一部門の技術マターではなく、全社的な経営マターとして位置づけられていることの表れであり、AI活用を単なるツール導入でなく、経営変革として成功させるかどうかの成否は「経営トップの本気度」 に大きく左右される構図がより鮮明になりました。
4. CDOが担うCAIO機能は急拡大--戦略からリスク管理まで包括

AIの責任者に求められる領域は広範囲に拡大しています。
今回の調査でも以下の項目を挙げる回答が多い結果となりました。
・AI戦略策定
・全社のデータ活用とガバナンス
・部門を横断したAI活用の推進
・AI活用のリスク管理
これらは本来、CAIOが統括する領域であるが、日本ではCDOが実質的に代行している状態となっていることがわかり、日本型DXはAI変革と同時進行で起こっている実態がわかりました。
5.今後のAI利活用の加速には、データ整備と人材が大きなボトルネックに

今後のAI活用を加速させるための最大ボトルネックとして、データ整備(品質・統合・ガバナンス)とAI人材の不足 を挙げる企業が大半を占める結果になりました。
特にデータ基盤の未整備は、生成AI・AIエージェントの効果を限定し、AI投資のROIを押し下げる構造的要因となっていることがわかりました。
【本調査を受けて】
今回の調査で、日本企業では既に “CDO兼CAIO”という独自モデルが広く存在していることがわかりました。また日本の人材市場ではAIに特化した経営レベル人材を雇用することはかなり困難である実態を考えると、CDOがAIも管掌する日本型モデルが今後は主流になることが予想されます。
しかし、AIに関する技術の進化は早く、その影響範囲もかなり広範囲になってきているため、AI推進・統制における“空白”が生じやすいことも懸念されます。
また、経営トップの理解とコミットメントがなければ、AI活用は進まない実態も明らかになっているため、今後は、CDOが正式にCAIO機能を担えるよう、役割・権限・ガバナンスを再設計することとともに、CDOとCEOの連携が鍵となります。CDO Club Japanとしては、今後もCDO(最高デジタル責任者)CAIO(最高AI責任者)のコミュニティとして日本のDXの更なる加速とAI時代に諸外国に遅れをとらないための活動に邁進してまいります。
【調査概要】
調査期間:2025年8月~2025年10月
調査方法:個別インタビューならびに調査票(アンケート)送付による調査
調査対象:
個別インタビューによる調査
CDO Club Japanに参加するCDO経験者ならび現役CDO
調査票による調査
CDO Club Japan 会員ならびに上場企業のDX 担当部署(有効回答数:調査票送付による調査167)
【本調査の詳細について】
~調査結果の詳細の解説の実施について~
今回の調査結果については、2025年12月10日開催される「CAIO Summit Tokyo 2025 Winter」にて概要を紹介するとともに、同イベントに参加登録者限定で「詳細解説会」を実施する予定です。
詳細解説会では、本調査で更に調査した内容に加えて、先行するDX企業のCDO・CAIOにインタビューをした内容を踏まえた考察を解説する予定です。
イベントサイトは以下
https://www.cdoclub-japan-cdosummit.com/
※本編ならびに詳細版は、、一般社団法人CDO Club Japanの会員に限定して公開ならびに内容の解説を提供しております。詳しくはCDO Club Japanの会員プログラムまで
https://www.cdoclubjapan-seminar.com/
【調査監修・協力企業】
(監修・調査実施)
・神岡太郎 一橋大学教授(一般社団法人 CDO Club Japan 顧問)
・一般社団法人 CDO Club Japan 理事一同
(協力・協賛)
・TDSE株式会社
・ドーモ株式会社
・株式会社ジール
【一般社団法人CDO Club Japanについて】
CDO Club はデジタル分野における世界初の経営陣コミュニティです。世界各国のメンバーは10,000人以上にものぼり、様々な領域においてプレゼンスを発揮しています。CDO Club のメンバーになると、デジタルに関連した最新のニュースや研究報告が手に入ったり、キャリア開発支援といったサービスを受けることができます。また、経営陣同士の交流会や CDO サミットをはじめとする先進的なイベントに参加することも可能です。
CDO Club には、デジタル分野における一流の専門家やストラテジストが所属しており、最高デジタル責任者(CDO)以外にも、下記のような様々な役職の方が在籍しています
(ご参考)
当クラブで活動する主なCDO
CDO Club Japanのタレントマップ
https://cdoclub.jp/cdo_japan_talentmap/
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