●ヒューマノイドロボットに適用可能なロータリーアクチュエータおよびリニアアクチュエータを開発
●NSKの軸受・直動製品技術とメカトロ技術を融合。小型化・軽量化・高バックドライバビリティを実現し、ロボットのしなやかな動きに貢献
●電源ソリューションに強みを持つデルタグループ(以下デルタ電子)との協業、コンパクトな内蔵モータおよびドライバを搭載。またソフトウェア制御によりロボット全体のスマート化にも貢献
●2025国際ロボット展に出展、2028年の市場投入を予定
日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、拡大の見込まれるヒューマノイドロボットなどの発展に貢献するアクチュエータとして、ロータリーアクチュエータとリニアアクチュエータを開発しました。いずれも小型・軽量・高バックドライバビリティ※1という特長を持ち、ロボットのしなやかな動きの実現に貢献します。NSKは本開発品を2025国際ロボット展に参考出展し、顧客ニーズとのマッチングを図りながら2028年の市場投入を計画しています。またNSKは、ロボティクス領域においてグローバルに事業を展開し、2036年には主要事業としての柱に成長するよう事業拡大を図ってまいります。
※1 ロボットの関節やアクチュエータの出力軸に外力を加えた際の駆動系の動作性の高さ
1. 開発の背景
近年、ヒューマノイドロボットは、労働力不足や高齢化などの社会課題解決に向けて、製造・物流・介護・サービスなど多様な分野での活用が期待されており、世界的に市場の拡大が見込まれています。NSKはこれまでも、産業用ロボット分野において軸受や直動製品を中心に多くの実績を積み重ねてきました。これらの技術をベースに、今後の成長が期待されるヒューマノイドロボット領域においても、さらなる技術開発に取り組んでいます。ヒューマノイドロボットには、人間と同様の体格・動作が求められており、産業用ロボットに要求される高精度、高信頼性といった性能要件に加えて「小型・軽量・高バックドライバビリティ」なアクチュエータが必要とされています。
2. 開発品の特長
ヒューマノイドロボットの関節部に向けたロータリーアクチュエータ、腕部・脚部に向けてはリニアアクチュエータを今後ラインアップ化していきます。いずれのアクチュエータもデルタ電子との協業により、ドライバを内蔵した機電一体構造による小型化を実現しています。■ロータリーアクチュエータ
・小型軽量タイプのアクチュエータ(トルク重量比約110N・m/kg※2)
・配線や配管の自由度を高める中空穴を確保
・負荷トルクを推定することでバックドライバビリティを改善
※2 繰り返しピークトルクでの値。なお、繰り返しピークトルクとはアクチュエータが一定の条件下で繰り返し発揮可能な最大トルクを指す。
■リニアアクチュエータ
・高バックドライバビリティを実現するボールねじの採用
・高密度高放熱レイアウトによる小型軽量化の実現(最大推力重量比 約4300N/kg)

開発品(左:ロータリーアクチュエータ、右:リニアアクチュエータ)
3. 開発品の効果
本開発品は、以下を通じてヒューマノイドロボットに求められる「しなやかな動き」の実現に貢献します。- 設計自由度の向上:小型・軽量化により、ロボットの関節や構造設計の柔軟性が向上。より人間に近い形状・動作の再現に貢献します。
- 省電力・長時間稼働:NSKの軸受・ボールねじの適用により高効率を実現。また、軽量化によりロボット全体の重量を抑制することでバッテリー駆動時間の延長にも貢献。製造時の材料使用量の削減に加えて、ロボット全体の消費電力を低減することで、ライフサイクル全体でのCO2排出量削減に貢献します。
- 高い安全性と柔軟性:高バックドライバビリティを実現したことにより、外力に対するしなやかな応答に貢献。人との協働や接触を伴う動作における安全性向上に貢献します。
- スマート化への対応:デルタ電子との協業により、高速通信(EtherCAT(R)※3)やソフトウェア制御に対応。ロボット全体のスマート化・遠隔制御など、次世代ロボティクスにも対応します。
※3 EtherCAT(R)(Ethernet for Control Automation Technology):ドイツBeckhoff Automation GmbHの登録商標・特許技術
4. 今後の予定
本開発品は、2025年12月に開催される「2025国際ロボット展」への出展を予定しており、実機展示を通じて顧客ニーズとのマッチングを図り、2028年の市場投入を計画しています。市場投入に先立って、顧客との共同検証や試作評価を目的としたサンプル提供も順次進めていく予定です。また、アクチュエータに使われる軸受・ボールねじについてのラインアップ拡充を進めていきます。NSKは、ロボティクス領域においてグローバルに事業を展開し、2036年には主要事業としての柱に成長するよう事業拡大を図ってまいります。■NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、またボールねじ、電動パワーステアリングなどにおいても世界をリードしています。企業理念として、MOTION & CONTROL(TM)を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。
NSKについては、こちらのページをご覧ください。
■デルタグループについて
デルタグループは世界有数のスイッチング電源、冷却ファンメーカーであり、またパワーマネジメント、電子部品、ディスプレイ、FA、ネットワークから再生可能エネルギーソリューションまで広範に渡る機器とサービスを提供しております。1971年に台湾で創業し、現在では世界各地に営業拠点と製造拠点を擁しております。 ホームページ:http://www.delta-japan.jp/企業プレスリリース詳細へ
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