
─かつての浜通りのシンボルを題材にした青春SF動画『サマー・サークル ~夏の終わりに描く声~』 ─
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経済産業省は、「福島県浜通りで撮りたい映画」をテーマに、ジャンル不問で映画の企画を公募する「FFF Award 2025(FFF=Fukushima Film Frontier) 」の最終プレゼンテーション審査会「FFF Award 2025 ─ FINALIST PRESENTATIONS ─」を、2025年11月2日(日)に東京国際映画祭の場で開催いたしました。
主催・実行委員会が語る、今の福島県浜通りを映像で撮る意義
経済産業省 福島芸術文化推進室 鎌形美吹(かまがた みぶき)
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本アワードの開会にあたり、はじめに主催の経済産業省 福島芸術文化推進室・鎌形が挨拶。福島県浜通りにおける「映像芸術を通じて地域の誇りと交流を育み、関係人口を広げる」ことを目的として掲げ、2022年に始動した「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」の歩みを紹介しました。東日本大震災から10年以上、浜通りはロボットや再生可能エネルギーといった新しい産業、アートが共鳴する“再生と創造の最前線”として復興を続けており、前進する現在の浜通りを映像として記録することが、10年後、20年後の文化継承に繋がることを提唱しました。
また、本アワードを、「競争ではなく表現者同士が互いに刺激し合う場」と位置づけ、今回選ばれた5組のファイナリストの企画発表から新たな物語が生まれる期待を述べました。
FFFアワード実行員会実行委員長/一般社団法人 相双フィルムコミッション 代表 根本李安奈(ねもと りあな)
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続いて、本アワードの実行委員長である、一般社団法人 相双フィルムコミッション・根本氏が登壇。本アワードには、10代~70代、そして国内外からのエントリー総数が約350人、企画応募157件と予想を大きく上回る参加があったことを公表。最終審査会である本日は、日本映画界を代表する6名の精鋭が審査に臨むことを紹介しました。
2011年以降“悲劇の地”と記憶された浜通りを映画の力で“未来”に変え、これからこの地で生まれる作品には、暮らしの原点に触れる静かな力が宿ると強調。10年以上、この地について語られていない物語はまだ多く、ファイナリストの企画は、前進にあたり新しい視点を提示するものだと語りました。「被災地を撮る」のではなく、この地から世界へ羽ばたく映画が生まれることを願い、グランプリ企画の映画制作には実行委員会が伴走し、支援していくことを述べました。
山田洋次監督のメッセージ 「撮りたいと思う人も、国も自治体も本気で取り組んでほしい」
さらに、本アワードに向け、日本映画を牽引する映画監督・山田洋次氏よりメッセージをいただきました。山田監督は、第38回東京国際映画祭において、特別功労賞を受賞しています。
映画人として「福島と聞いたら“何かやるよ”と言えるようにしたい」と常々思っており、福島県の皆さんと、経済産業省の若手メンバーが一緒に取り組んでいるこのプロジェクトを応援しています。
今回、「福島県浜通りで撮りたい映画」をコンセプトにした企画アワードの話を聞き、大変面白く意義深いものだと思いました。浜通りに足を運ぶと、撮りたいアイデアが沸いてくる。そんな企画ならぼくも出してみたいくらいです。しかしながら、企画するだけではなく、実際に制作して完成させる、映画作りにはお金がかかります。撮りたいと思う人も、それを応援する国や自治体も本気で取り組んでほしい、そう切に願います。
かつて、日本の映画界には黒澤明監督・溝口健二監督・小津安二郎監督の作品など、世界の映画史に残る傑作がたくさんありました。そんな、日本の映画が再び世界に輝くようになってほしいし、国もそれを一生懸 命、後押ししてほしい。そして、「震災や事故の背景を踏まえた作品もあれば、それとは関係なく、広大な福島の地に大きなセットを建てて撮るような作品があってもいい」、そんな自由なアワードから生まれた映画が、日本の映画界が輝きを取り戻す動きをけん引する作品になることを願ってやみません。
5名のファイナリストによるプレゼンテーションと審査員からの講評
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今回の157件の企画の中から見事ファイナリストに選ばれた5組が、審査員に向けてそれぞれの企画、そして制作に向けた思いをプレゼンテーション。企画に乗せて、ファイナリストそれぞれの目に映る、“過去・現在・未来の浜通り”が熱く語られました。
最終審査員には、映画監督・犬童一心氏、映画プロデューサー・小川真司氏、山本晃久氏、脚本家・田中幸子氏、クリエイティブディレクター/小説家・高崎卓馬氏、ジャパン・フィルムコミッション顧問・田中まこ氏の6名が登壇。日本の映画界を牽引する豪華クリエイター陣により、審査とグランプリの選出が行われました。
▼ファイナリスト企画作品一覧 ※発表順・敬称略
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浜通りのかつてのシンボルを舞台に描いた“青春SF映画”がグランプリ受賞
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157件の企画、そしてファイナリストの5つの企画の中からグランプリに輝いたのは、『サマー・サークル~夏の終わりに描く声~』でした。この企画は、福島県南相馬市にかつてそびえ、町のシンボルとなっていた「原町無線塔」を舞台に繰り広げられる青春SF映画です。1982年に老朽化により取り壊しとなった「原町無線塔」を、今改めてモチーフにしたことで、視聴者に“見たい”と思わせる力や、青春SFという少年少女の夏の様子を作品の核に据えた点などが、審査員からも高く評価されました。作品内における、登場人物の心理状況の描写や、重要な存在となるミステリーサークルの意味づけ、さらに実際の撮影における制作計画のディテールの再設計など、映画化に向けた本格的な指南も見られました。
審査員長を務めた犬童氏は、わかりやすく“浜通り”を描くのか、または作品内の時代の捉え方には多様な解があり得るが、いずれの方向でも作り手が選んだ道を徹底して深化させた企画を評価することを述べ、フィードバックの中で出た意見を、これからの改稿に活用してほしいと呼びかけました。
審査員長 犬童氏からの総評 「この賞が長く続くことを僕はものすごく望んでる」
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本アワードの総評として犬童氏は、最終選考の結果に関わらず、会場で交わされた提案や意見が、ファイナリストたちの次の改稿と制作に直結することを語りました。そして、土地と時間、そこに生きる人の思考など、浜通りの“今”を映像に刻む価値についても改めて言及。これまでの「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」の取り組みの積み重ねが今回のグランプリの土台となったとし、震災直後から現在までの風景の変化にも触れ、本アワードをこれからも継続し、地域の変遷を映像に残す重要性をお話しいただきました。また、“浜通りで撮る”というテーマから逆算され、脚本と映像に“時代”が刻まれる枠組みとして本アワードを評価いただき、将来的に浜通り地域の記録資産となる可能性も示唆し、本アワードの継続と発展に期待を寄せていただきました。
※本アワードの様子は、東京国際映画祭 公式YouTubeチャンネルにて、アーカイブ配信を行っております。
「FFF Award 2025 – FINALIST PRESENTATIONS -」アーカイブ映像:
https://www.youtube.com/live/ieKSf_P6wlQ
応募者すべての想いが「映画という形で実を結ぶように。」 経済産業省としてできること
経済産業省 福島芸術文化推進室 宇野和葉(うの かずは)
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本アワードの閉会にあたり、経済産業省 福島芸術文化推進室・宇野が挨拶。参加者、審査員、ファイナリスに感謝を申し上げるとともに、経産省として何ができるのか考えながら活動していくこと、今回のアワードに応募した方の想いが映画という形で実を結ぶこと、そしてこれからも続いていく「FFF Award」で、まだ見ぬ素晴らしい企画に出会うことを期待して、締めくくりました。
福島浜通り映像・芸術文化プロジェクトについて
経済産業省では、浜通り地域等の復興に向けた取組の一環として、芸術や文化を通じた地域の新たな魅力の発見・創出・発信などを目的とし、若手の有志職員を中心に「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」を 2022年7月に立ち上げ、魅力あるまちづくりに向けた取組を推進してきました。
今年度においては、芸術家や学生の滞在制作の支援、地元事業者等の芸術を活用した関係人口拡大に資する取組支援(イベントの開催支援など)や、東京国際映画祭との連携、フィルムコミッションの活動支援、浜通りでの本事業のPRにつながる広報映像制作・発信等を実施しております。
<ハマカルアートプロジェクト> https://hamacul-project.com/
<ハマコネ(HAMA CONNECTED)> https://hamado-ri.com/
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太平洋に面した福島・浜通り。ここは、震災と原発事故からの再生と創造の最前線。長い歴史、豊かな自然、新しい挑戦、すべてが重なり合いながら、新たな文化が芽吹いています。
「FFF Award 2025」は、いま、映画づくりの新しい可能性が広がり、映画制作関係者たちからも熱い注目を集めているこの地域を舞台に、【福島県浜通りで撮りたい映画】をテーマにしてどなたでも応募できる、ジャンル不問の映画の企画コンペティションです。
すべての応募に対して日本映画界のトップランナーが審査をおこない、グランプリ受賞作に対しては賞金100万円(使途は本企画の制作費)が授与されるほか、実行委員会が中心となり制作をサポートします。映画の完成後は大手動画配信サービスでの配信や地上波放送(福島県エリア)を実施し、また、東京国際映画祭をはじめとした映画祭での上映も狙います。
・「FFF Award 2025」公式サイト:https://fffaward.com/

