主なポイント
・自動車サプライヤーは、仮想ハードウェアを活用してソフトウェア開発期間とソフトウェア更新期間を短縮するクラウドベースのツールを提供しています。
・これらのツールは、ソフトウェア・イン・ザ・ループ(SIL)開発の効率を高め、プロセスを迅速化するように設計されています。
・自動車メーカーは、中国のOEMの車両開発サイクルが18か月以下であることから、新たなプロセスを導入しています。
【市場動向】
ここ数年、自動車メーカーと業界サプライヤーは、ソフトウェア開発の取り組みをクラウドベースのソリューションに移行してきました。業界では、自動車システムの車載ソフトウェアは最大1億行のコードで実行されていると推定されています。従来、ソフトウェアの種類ごとに開発期間が異なり、多くの場合、開発作業は開発ハードウェアへのアクセスに依存していました。これが開発サイクルの長期化と市場投入までの期間延長につながっていました。
業界企業は、ハードウェア・イン・ザ・ループ(HIL)ベースの開発からソフトウェア・イン・ザ・ループ(SIL)ベースの開発、そしてHILテストと統合可能なテストへと移行し、「シフトレフト」の取り組みを進めてきました。これにより、開発プロセス全体が迅速化されます。その理由は2つあります。1つ目は、車両および関連ソフトウェアを迅速に開発する新興企業や中国の自動車メーカーとの競争です。2つ目は、ソフトウェア定義車両(SDV)開発への関心の高まりです。

自動車ハードウェアのデジタルモデルを開発・テストに用いることは、長年にわたり一般的な手法でした。現在、業界は、クラウドベースの環境で量産ハードウェアにより近い仮想モデルを使用し、量産ソフトウェアを実行できるようにすることで、開発スピードの向上に注力しています。サプライヤーが開発ハードウェアにアクセスできるまでに時間がかかる場合が多いため、クラウドベースの開発に移行することで、サプライヤーと自動車メーカーがソフトウェア開発を開始するためにハードウェアを保有する必要性を軽減できます。その他のメリットとしては、仮想電子制御ユニット(ECU)を実行するインスタンス数をスケールアップしてテストを迅速化できることなどが挙げられます。これにより、OEMやサプライヤーは開発プロセスにおいて必要に応じてクラウドリソースを割り当てることができます。さらに、クラウドベースの開発環境は、世界中に分散したチームが、場所やタイムゾーンに関わらず、より容易にプロジェクトに共同で取り組むことを可能にします。
こうした取り組みが行われている自動車市場セグメントの一つが、デジタルコックピット分野です。Canonical、Elektrobit、Harman、Marelli、QNX、Panasonicなど、多くの企業がこのセグメント向けにクラウドベースの開発ソリューションを発表しています。このセグメント向けのツールに加えて、成長を続ける「仮想開発スタック」の一部となるソリューションを提供する企業によるエコシステム全体も存在します。これには、Qualcomm、NXP、Renesasなどの仮想プロセッサ、Synopsysなどの仮想ECUおよび仮想プロセッサ開発ツール、Amazon Web Services、Google、Microsoftなどの大手クラウドサービスプロバイダーが含まれます。自動車業界は徐々にこの移行を進めていますが、サイロ化された組織構造と従来型の開発手法は、依然として自動車業界が克服すべき課題となっています。
当社サイトもぜひご覧ください。
https://japan.counterpointresearch.com/insights/pr/cloudbased-solutions-and-new-tools-accelerate-softwaredefined-vehicle-development/
【カウンターポイントリサーチについて】
カウンターポイントリサーチは、テクノロジーエコシステム全体を対象とした製品を専門とするグローバルな市場調査会社です。
当社は、世界中の主要なイノベーション・ハブ、製造クラスター、商業都市に拠点を構え、スマートフォンOEMからチップメーカー、チャネル企業、大手テクノロジー企業に至るまで、幅広いクライアントにサービスを提供しています。
経験豊富な専門家が率いるアナリストチームは、企業の経営幹部、戦略担当者、アナリストリレーション(AR)、市場情報(MI)、ビジネスインテリジェンス(BI)、製品およびマーケティングの各部門のステークホルダーと連携しながら、市場データ、インサイト、コンサルティングなど幅広いサービスを提供しています。
当社の注力分野には、AI、自動車、コンシューマーエレクトロニクス、ディスプレイ、eSIM、IoT、位置情報プラットフォーム、マクロ経済、製造、ネットワークインフラ、半導体、スマートフォン、ウェアラブルなどが含まれます。
公開中の市場データ、インサイト、ソートリーダーシップについては、当社ウェブサイトの「Insights」ページをご覧ください。重点分野についてより深くご理解いただくためにも、ぜひアナリストに直接ご相談ください。
https://japan.counterpointresearch.com/insights/
配信元企業:カウンターポイントリサーチ株式会社
プレスリリース詳細へ
ドリームニューストップへ