柔軟なパッドが被印刷物の形状に追従し、平面印刷では難しい形状への印刷を可能にする点が構造上の特異性である。パッドの硬度や耐溶剤性を調整するシリコンゴムの組成、インキの接着性と乾燥特性が印刷品質を左右し、材料技術との関係が深い。
現在、多品種少量生産の普及と精密部品への識別情報印刷ニーズの高まりから注目される。電子機器の小型化や医療機器の高機能化に伴い、微小部品へのバーコードやシリアル番号を高精度で印刷する必要性が増え、従来の平版印刷やスクリーン印刷では対応困難な領域でパッド印刷機の価値が高まっている。
LP Information調査チームの最新レポートである「グローバルパッド印刷機市場の成長2025-2031」によると、2025年から2031年の予測期間中のCAGRが4.2%で、2031年までにグローバルパッド印刷機市場規模は3.2億米ドルに達すると予測されている。
図. パッド印刷機世界総市場規模
図. 世界のパッド印刷機市場におけるトップ17企業のランキングと市場シェア（2024年の調査データに基づく；最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている）
LP Informationのトップ企業研究センターによると、パッド印刷機の世界的な主要製造業者には、TAMPOPRINT GmbH、Guangdong Ever Bright Printing Machine Fty. Ltd、ITW Industrial Decorating Solutions （IDS）、Winon Industrial、Kent Engineering Co Ltd、TOSH Srl、Inkcups、Dongguan Pad Printer Engineering 、Teca-Print AG、Wenling Sanjin Printing Equipmentなどが含まれている。2024年、世界のトップ5企業は売上の観点から約30.0%の市場シェアを持っていた。
パッド印刷機は、電子機器（半導体パッケージ、コネクタ、小型モーター）、自動車（ボタン、スイッチ、小型部品）、医療機器（カテーテル、注射器の識別マーク）、精密機械（時計部品、光学部品）など多岐の分野で利用される。特に電子機器の組立工程では、部品のトレーサビリティ確保のため、個体識別コードの印刷にパッド印刷機が不可欠となっている。
業界構造では、単機能の印刷機から、視覚検査装置やロボットと連携した自動化ラインへの統合が進む。製造現場の省人化ニーズに応え、印刷後の位置ずれやかすれの判定を自動で行うシステムが普及し、生産効率と品質安定性が向上している。クロスインダストリーの視点では、食品包装の密封部への日付印刷や化粧品容器の装飾印刷など消費財分野での応用も広がり、異分野の形状多様性に対応する技術が共通化されている。
技術動向として、デジタル化による印刷データの即時切り替えが進む。従来の金属製の版を使用する方式に加え、紫外線硬化型インキとデジタル版を組み合わせることで、多品種の切り替え時間を短縮する技術が開発され、少量多品種生産への適応性が高まっている。
パッド印刷機の競合優位性を左右する要素は、印刷精度（位置再現性、解像度）、生産速度、メンテナンスの容易性、多品種切り替えの柔軟性にある。特に電子機器や医療機器の高精度印刷市場では、ミクロン単位の位置精度が求められ、駆動系の機械的剛性と制御精度が競合の分かれ目となる。
技術面では、パッドの形状最適化と材料改良が進む。被印刷物の微細化に対応するため、小径パッドの弾性制御技術や、高解像度印刷に適した紫外線硬化型インキの開発が行われている。また、印刷工程のデジタル化が加速し、コンピュータから直接印刷データを送信して版の交換を不要とするデジタルパッド印刷機の実用化が進んでいる。
企業間の差別化戦略として、医療機器向けの無菌対応型、電子機器向けの高精度型といった特定分野に特化した機種開発と、汎用機の低コスト化の二方向が見られる。国内外のメーカーは、自動化システムの統合能力や現地でのサービスネットワークを強化することで、市場シェアを競う。
パッド印刷機の今後の発展は、製造現場のスマート化と被印刷物の多様化に牽引される。産業 4.0 の進展に伴い、工場のネットワークに接続され、印刷データのリアルタイム管理や生産ロットとの連携が可能となるだろう。また、生体認証デバイスやウェアラブル機器など新しい製品の登場で、更なる微細化や異形化した被印刷物に対応する技術開発が活発化する。
持続可能性の観点から、水性インキや低 VOC インキといった環境負荷の低いインキの採用や、装置の省エネルギー化が進み、印刷工程の環境適合性が高まる。モジュール化の進展で、既存機器への検査ユニットの後付けなど機能追加が容易となり、設備投資の効率化が図られる。
産業全体での位置づけとして、パッド印刷機は「複雑形状への高精度印刷を可能にする基盤技術」としての価値を持続する。特に個体識別やトレーサビリティが強く求められる医療・電子分野では需要が安定的に増加し、食品包装の安全情報印刷、再生可能エネルギー機器の部品識別などクロスインダストリーへの応用拡大で、その役割は更に広がり、多種多様な製品の品質保証と情報伝達を支える不可欠な技術としての地位を確立するだろう。
レポート概要
タイプ別セグメント：
Flat Pressing
Rotary Stamp
Fixed Imprinting
用途別セグメント：
Consummer Goods
Electronics
Plastics
Others
会社概要
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