日本で強烈な印象を残した2人の女性主人公が、相次いで韓国で生まれ変わろうとしている。
一人は、米倉涼子が演じた天才外科医・大門未知子。
そしてもう一人は、石原さとみが演じた法医解剖医・三澄ミコトだ。
韓国版『ドクターX』では、『涙の女王』で日本でも高い知名度を誇るキム・ジウォンが主演。そして韓国版『アンナチュラル』では、少女時代のユナが主人公を務めることが正式に発表された。
米倉涼子からキム・ジウォンへ、石原さとみからユナへ。
日本のドラマファンにとっても気になる“ヒロインの継承”だが、現時点で公開されている情報を見る限り、韓国版はそれぞれ独自の色を加えようとしているように見える。
血に染まったキム・ジウォン版『ドクターX』
まず先に放送されるのが、10月9日に韓国SBSでスタートする『ドクターX:白いマフィアの時代』(原題)だ。

キム・ジウォンが演じるケ・スジョンは、卓越した手術の腕を武器に、権力や利益を追う大学病院の勢力と対峙する天才外科医。日本版の大門未知子と同じく、組織の論理に簡単には屈せず、圧倒的な技術で病院内の理不尽を打ち破っていく人物だ。
ただ、今回公開されたメインポスターから受ける印象は、日本版とはかなり違う。
真っ白な医師のガウンには血の跡が残り、その中心でキム・ジウォンがほとんど表情を作らずに前を見据えている。

制作陣が掲げるのは、“ダークヒーローの天才医師”。さらに作品自体も「メディカル・ノワール」と位置づけられている。
大門未知子といえば、「群れない」「権威に屈しない」「失敗しない」という痛快さが大きな魅力だった。しかし公開されたビジュアルを見る限り、韓国版は、大門未知子の“権威に屈しない天才外科医”という要素を受け継ぎつつ、より冷たく、荒々しいダークヒーローとして再構成しようとしているように見える。
『涙の女王』などで感情の機微を繊細に見せてきたキム・ジウォンにとっても、かなり大胆なイメージチェンジになりそうだ。
今度はユナが“韓国版・石原さとみ”に
そして9月18日、もう一つ大きなキャスティングが正式発表された。
2027年放送予定の韓国版『アンナチュラル』で、少女時代のユナが主人公ソン・ドウンを演じる。

原作は2018年にTBSで放送され、石原さとみ演じる三澄ミコトらが、不自然な死の裏側に隠れた真実を解き明かしていく物語だった。
韓国版のソン・ドウンも、架空の解剖・鑑定機関に所属する法医官だ。一見すると冷静で落ち着いているが、その内側には亡くなった人への深い共感と、死の真相を必ず突き止めようとする執念を持つ人物として描かれるという。
制作陣は、ユナの持つ「温かく明るいエネルギー」と、芯の強さや人間的な魅力を持つ主人公との相乗効果に期待を寄せている。
現時点で明らかになっている人物像を見ると、『ドクターX』とは対照的な方向性だ。
キム・ジウォン版が“強さ”や“危うさ”をより前面に押し出しているのに対し、ユナ版では、原作にもあった「亡くなった人の声を聞く」という主人公の温かさを、より人間的な方向へ伸ばそうとしているように映る。
求められるのは“コピー”ではない
もちろん、日本版を愛してきた視聴者にとって、比較は避けられない。
キム・ジウォンを見れば米倉涼子の大門未知子を思い浮かべ、ユナを見れば石原さとみの三澄ミコトと比べたくなるだろう。


だが、リメイクに求められるのは、原作俳優にどれだけ似せられるかではない。
『ドクターX』には、圧倒的な技術を持つ一人の女性が、権威や組織に飲み込まれずに戦う爽快感がある。また『アンナチュラル』には、死因究明の先にある社会の歪みや、残された人間の感情まで見つめる視線がある。
そうした作品の“芯”を残したまま、韓国のドラマとしてどんな新しい人物像を作れるのかが重要になるだろう。その意味で、2作品は異なる方向性を打ち出しているように見える。
米倉涼子の大門未知子は、キム・ジウォンによってよりダークなヒーローへ。石原さとみの三澄ミコトは、ユナによってどこか温かさを感じさせる法医官へ。
日本で愛されたヒロインをそのまま再現するのではなく、“何を残し、何を変えるのか”。韓国版『ドクターX』と『アンナチュラル』は、その答えがまったく違う2作品になりそうだ。
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