2024年パリ五輪で金メダル3個を獲得した韓国の女性オリンピアンが、SNSで“韓国版2ちゃんねる”こと「日刊ベスト(以下、イルベ)」の用語を使用したとされる自身の騒動に言及した。
アーチェリー女子韓国代表のイム・シヒョンは9月23日、自身のインスタグラムを更新。「2025年光州世界アーチェリー選手権」で獲得した銅メダルの写真を掲載し、大会を振り返るとともに“イルベ騒動”について説明した。
「静かに、すべての悪質コメントを無視しながら世界選手権の準備をすることは本当に難しかった。試合直前、過去にした失言が蒸し返されて色々と言われた」と心境を吐露したイム・シヒョンは、「まずは私の軽率な行動で失望し、心を痛められたファンの皆さんに心からお詫びしたい」と謝罪した。
また、釈明が遅れた理由については「騒動が大きくなった直後にすぐ説明したかったが、韓国アーチェリー協会と相談して“一緒に対応しよう”という意見となり、まずは待つことにした。しかし、これ以上遅らせるのは良くないと思い、こうしてお伝えする」と説明した。

イム・シヒョンは今年5月、インスタグラムの投稿において「イルベ」で用いられる表現「イギヤ」を使用したことで物議を醸した。
「イギヤ」は慶尚道(キョンサンド)の方言でありながら、極右性向のオンラインコミュニティ「イルベ」で主に使用される表現として認識されている。慶尚道出身の故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が2006年の民主平和統一諮問会議の演説において、慶尚道の方言で「韓国の軍隊は今まで何をしていたんだ。イギヤ!」と発言したことをきっかけに、「イルベ」ユーザーが他人を侮辱・戯画化する際に用いられてきた。
そのため、一部のネットユーザーはイム・シヒョンがSNS上で「イギヤ」という表現を用いたことを問題視し、彼女が極右思考を持つ「イルベ」ユーザーなのではないかという疑惑を提起していた。
本人は当時の状況を振り返り、「新しいアーチェリーケースを自慢しようとSNSに投稿した際、何の意味もなく使った“イギヤ”という方言が問題となった。当時、知人が知らせてくれてミスをしたことを認知し、すぐに削除した」と説明。「それから3カ月後、8月15日の光復節に記事が出て、悪質コメントが殺到している」と付け加えた。
また、「私がイルベなのか。“イギヤ”がイルベ用語なのか。いつから、国語辞典に登録されている方言がイルベ用語になったのか。私は今回初めて知った」「イルベではなかったので、イルベ用語だとは知らなかった」「私は慶尚道の方言を真似しただけ。新しいケースが気に入って付け加えた言葉だった」と、意図した表現ではなかったことを強調した。
そして、「因果応報があると信じる者として、誰かを嘲弄する考えも、心も、そうする時間もない」とし、「私は国威宣揚をするために努力してきたし、これからも努力を続ける」と伝えた。
最後にイム・シヒョンは、「韓国の国家代表として、言葉を気を付けることができなかった。すぐに釈明文を投稿できず、私だけでなく多くの方が混乱した。苦しい状況のなかでも信じて待ってくださった方々には申し訳なく、感謝の言葉を伝えたい」として投稿を締めくくった。
イム・シヒョンは2002年6月13日生まれの22歳。2023年杭州アジア大会、2024年パリ五輪においてアーチェリー女子個人・女子団体・混合団体を制し、アジア大会とオリンピックの両方で三冠を達成した史上初の選手として、「世界最強のアーチャー」と評されている。