【デジアナ文具最前線】第6回 シャープ「電子ノート」は“電子のシステム手帳”である | RBB TODAY

【デジアナ文具最前線】第6回 シャープ「電子ノート」は“電子のシステム手帳”である

シャープの「電子ノート」は、かつてPDA「ザウルス」を製造販売していた同社の来歴を考えると、ちょっと意外な製品だ。

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「電子ノート」WG-S50
  • 「電子ノート」WG-S50
  • かつて販売されていた「ザウルス」(SL-C3200)
 シャープの「電子ノート」は、かつてPDA「ザウルス」を製造販売していた同社の来歴を考えると、ちょっと意外な製品だ。

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デジタルならではの保存性能と、異例のバッテリー持続を両立


 一言で言えば、ノートや手帳として利用可能な各種フォーマットを内蔵し、モノクロ液晶と付属の専用ペンを使って、液晶上に各種情報を手書きで入力するツールだ。最新型はWG-S50(2017年10月発売)。紙の手帳では、巻末のノートページを増やすことで手帳とノートを一冊でまかなえるようなタイプの製品がある。WG-S50では、手帳は最大合計1000ページ、ノートは最大合計5000ページを記録できる。

 画面のサイズはA6のノートと同程度で、重さは約285g(専用カバー、スタイラスを含む場合)。仕様表によれば、バッテリー持続時間は、約30日(ノートの記入40分、ノートの表示80分で1日2時間使用の場合)となっている。

 「電子ノート」には、理屈の上では2つの競合ツールが考えられる。まず紙のビジネス用ノート。もうひとつはスタイラスを利用するタイプのタブレット(たとえばiPad ProとApplePencil)だ。

 そしてこのバッテリー持続時間だけで見れば、後者(各種タブレット)には充分に勝っていると思える。また、保存できる情報の量は、前者(手帳、ノート)が単体では実現できないものだ。つまり、物理的な質量を必要とせずに情報を保存できるデジタルの特徴を持ちながらも、デジタル機器の弱点たるバッテリー持続時間について、電子ノートでは機能を限定することで異例の長さを実現しているのだ。

 書き味の点では、やはり紙のノートとペンにはかなわないと言わざるを得ない。筆記具が自由に選べる。マルチペンで色分けもできる。しかもせいぜい千数百円の投資でできるのは、紙のノートの大きなメリットだ。こういった点をフォローすべく、「電子ノート」には、モノクロではあるが「マーカー機能」がある。これは書いた文字や図の上にラインマーカー的な透過的な太い線を引く機能だ。また各種スタンプが用意されておりパターンを反復するのに便利だ。さらに記入した情報を日付から検索するなどデジタルならではの機能はある。さらに、記入時に手のひらの一部が液晶の面にあたっても、筆記の奇跡と認識されないような工夫もされている。

 とはいえ、基本的にはデジタル機器ながらかなり割り切った設計だ。

 一例を挙げれば、記入した情報は、単体でクラウド連携するような機能は提供されていない。パソコンと接続してバックアップする機能はあるが、ケーブルを接続して一手間かけるのは、大時代的というより前時代的だ。

電子的な装いでよみがえったシステム手帳


 その一方で、ノート的な工夫もある。Webサイトからは、専用コンテンツをダウンロードし、PC経由で利用できるようになっている。また、自作のフォーマットも作って利用できる。このあたりの運用方法は、まるで’80年代に一世を風靡したシステム手帳のようだ。コンテンツには、ビジネスマナー、地下鉄乗換、郵便料金などもある。つまり、手帳の便覧的な情報だ。

 あくまで提供されるのは記入用や参照用などに限られている。機能拡張・追加を実現するスマートフォンのアプリとは対照的だ。

 つまり、電子ノートとは、電子的な装いで現代によみがえったかつてのシステム手帳なのではなかろうか。このシリーズを支持する層が、’80年代後半のシステム手帳ブームをリアルタイムで経験した、40~60代であることもそれを裏付けているように思えるのだ。

舘神龍彦氏

【著者】舘神龍彦
手帳評論家、ふせん大王。最新刊は『iPhone手帳術』(エイ出版社)。主な著書に『ふせんの技100』(エイ出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)『ポメラ×クラウド活用術: ポメラをクラウドエディターにする方法』(http://amzn.to/2Cm39Bo)など。また「マツコの知らない世界」(TBS)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)などテレビ出演多数。
《舘神 龍彦》

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