【監督インタビュー】ダイアナというアイコンを“部外者”が描く挑戦 | RBB TODAY
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【監督インタビュー】ダイアナというアイコンを“部外者”が描く挑戦

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オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督
  • オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督
  • 『ダイアナ』撮影風景
  • 『ダイアナ』撮影風景
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  • オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督
  • 『ダイアナ』 (c) 2013 Caught in Flight Films Limited. All RIghts Reserved
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 ダイアナ元妃を描いた初の映画『ダイアナ』が本日公開を迎えた。世界で最も有名なプリンセスの映画化となれば、それだけ世の中の関心は高く、賛否両論あることも必至。そのチャレンジを受けて立ったのが、ドイツ人監督のオリヴァー・ヒルシュビーゲルだ。

 同じく歴史的に著名な人物を描いた『ヒトラー ~最期の12日間~』でアカデミー賞にノミネートされているヒルシュビーゲル監督だが、イギリス人ではなく外国人に白羽の矢が立ったのは、製作陣の当初からの考えがあった。それは、イギリス人監督にとっては、ダイアナは国民にどう受け止められるか、とてもナーバスなテーマであるから。事実、“部外者”のヒルシュビーゲル監督は元々ダイアナに全く興味がなかったという。話が届いてから、彼のリサーチが始まった。

 「実在の人物を描く場合は先ず、徹底的にリサーチをする。必ず複数の情報源から収集して、その中から共通する“真実”を判断していく。この作業はまるで歴史学者のようだよ」。その作業の中で監督独自のダイアナ像が確立され、事実がどうか不確かな出来事に関しても、信憑性があると判断できれば、映画の中で描いているという。ここは「アーティストとしての感覚」の域だ。

 映画がスポットを当てている、ダイアナと外科医ハスナット・カーンの恋愛関係に関しては、プライベートなことゆえ、この「アーティストとしての感覚」が大いに働いているという。カーン氏本人から話を聞こうとは思わなかったのか? と尋ねると、それにはきっぱりと「ノー」。

 「製作スタッフがハスナットにコンタクト取ろうとしたのは事実だが、彼は映画に関わることを望んでいなかったようだ。それがなくても、僕は最初から会いたいと思っていなかった。なぜならば、ダイアナには会えないから。ハスナットだけに会ってしまって、客観性を失いたくなかったんだ」。

 当然カーン氏についてもリサーチは重ねられた。とはいえ、「製作者の責任として、本人を傷つけないよう注意している」と補足しながらも、監督が描きたい“ハスナット像”は明確にあった。「リサーチしてわかったのは、彼はどこか古風で紳士的で男らしい人物だということ。ただそのような男性像を映画で描きたい、という気持ちも強かった。最近の映画には、筋肉がついているだけで中身は少年、というような男があまりにも多いから。もしハスナットが映画を観てくれることがあれば、このような男として描いたことを気に入ってくれるといいんだけど…」。

 カーン氏が映画製作を快く思っていないという一部のメディアの報道は、監督の耳にも届いているようだ。「僕がイメージしているハスナットは、そういう(批判的な)ことは言わない人のはずなんだけど…。残念だ」と苦笑いする。

 ダイアナについて知れば知るほど、彼女のことが好きになっていった、と話す監督。
「彼女には、本当に様々な面がある。そして彼女の欠点や失敗、間違った選択を含めて、世界で愛されているということが良くわかった。世の中で“アイコン”と言われるような人物は、必ずダークな部分があったり人間性を感じられる人が多い。だからこそ映画でも、摂食障害や、自傷行為など、実際は映画が舞台としている2年間の前に起きた出来事も、あえて取り入れている」。

 最後に訊いてみた。“部外者”から、彼女のファンになった今、イギリス国民の反応は気になる? 気にならない…?

 「それが一番の心配だよ!(笑)」

 「イギリスのマスコミは、例えどんな監督でも、どんな脚本でも批判すると思うから、(批判的な報道は)想定範囲内。映画が作られること自体、歓迎していないんじゃないかな。まるで『ダイアナは自分たちのもの』と思っているかのよう。イギリスのマスコミこそがダイアナを不幸にしていた大きな原因であり、彼らはそれで多額の金儲けをしているというのも事実なんだが。それより、イギリスの観客がどう反応するかが気になる。彼らが世界中で、最もダイアナを身近に感じているからね」。
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