原恵一、細田守、樋口真嗣 日本を代表する3監督が映画をテーマにクロストーク | RBB TODAY
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原恵一、細田守、樋口真嗣 日本を代表する3監督が映画をテーマにクロストーク

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左から細田守監督、原恵一監督、樋口真嗣監督
  • 左から細田守監督、原恵一監督、樋口真嗣監督
  • 左)濱野保樹氏、右)3監督
  • 原恵一監督
  • 細田守監督
  • 樋口真嗣監督
  • 『はじまりのみち』(C)2013「はじまりのみち」製作委員会
5月12日、東京・蒲田の東京工科大学蒲田キャンパス・片柳記念ホールに、日本映画界を代表する3人の映画監督が揃って登場した。原恵一監督、細田守監督、樋口真嗣監督である。東京工科大学が主催する公開講座「映像都市蒲田を目指して」のトークイベントだ。
このトークは6月1日に、原監督の初の実写映画『はじまりのみち』が全国公開するのに合わせたものである。本作を軸に3監督が、映画の題材となった巨匠・木下恵介、映画、アニメ映画と実写映画の違いについてなどを語った。

トークはまず今回のコーディネーターである濱野保樹氏が、木下恵介とそのライバルである巨匠・黒沢明の友人関係について紹介するところから始まった。ライバルでありながら実は仲が良かったのは、今回登壇した3人の監督にも共通するのでないかとの指摘だ。
実際に、トークでは『はじまりのみち』の撮影現場に細田、樋口の両監督が応援に訪れた時の写真も披露された。また、トークでも、あちらこちらで話が弾むなど、その信頼関係が垣間見えた一日だった。

『はじまりのみち』を観た細田監督は、「アニメと実写は道筋やリアリティのレベルが違う。今回は原監督のチャレンジが大きかった」と話す。さらに「(にもかかわらず)いままで原監督の映画と同じスピリットが満ち溢れている。心打たれた」と絶賛する。また、自身も母親が倒れた時に、仕事を辞めようと思ったことがあり、自分の体験とそっくりだなと思ったとの感想を披露した。
そして、「(映画を観るにあたっては)木下恵介監督の作品を気にしなくていい。つまずいたり、停滞したりした人が踏みだす映画だから、そうした若い人が見れば有意義では。木下監督の映画はあとあと観てみていただければいいのでは」と話す。

樋口監督は「撮影現場に行って安心した。現場から愛されている。決して贅沢でない環境で、きっちりやっている」と『はじまりのみち』の現場の様子を紹介した。
作品については、こちらは映画監督の立場から「映画を作るってこんなに素晴らしいことだと感じた。普段は映画を俯瞰できない」と、映画を観ることで木下恵介の生き方に感じた様子だ。「初めてこの映画を観てから2か月。思い出すとじわじわ来る。いま観なければいけないが、10年後にも残る映画」とこちらも絶賛だ。

今回実写映画に取り組んだことについて原監督は、「いつか実写をやりたいと思っていたわけではない」と必ずしも意図していなかったと話す。ただし、長年、木下恵介にもっと光をあてたいと考えていたことから「これは断れない」と思ったという。
実際に、絵コンテでまず組み立てるアニメ映画と現場でカット割りを決める実写映画、役者の持つ力など、ふたつの映像表現の作り方の違いに刺激を受けた様子だ。
一方、今後の予定では、現在アニメ作品に取り組んでいることを明かした。こちらも楽しみだ。

また、映画のテーマとなった木下恵介への言及も多かった。原監督によれば木下恵介は「ロックで過激な映画を撮る監督」だ。「失敗を怖れず、冒険をする。普通の人が考えつかないことをする」と表現する。
今回の映画を撮る前から、木下には影響を受けているという。「迷った時は過激なことをやろう」と。そして、今回の『はじまりのみち』も、「似た作品がない。木下流の過激な作品になった」と評する。自信作と言っていいだろう。

トークを通して、こうした普通の映画でないものを撮りたいという気持ちは、実は原監督だけでなく、細田守監督、樋口真嗣監督にも共通するのでないかと感じた。そして、3人の監督を結びつけるのは、こうした挑戦的な映画の取り組みへの共通する気持ちなのではないだろうか。

映画『はじまりのみち』            
2013年6月1日(土)全国公開
http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/hajimarinomichi/

《animeanime》
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