【インタビュー】ワークスタイルの変革がモバイル市場を加速させる……インテル「Ultrabook」が目指す世界(後編) | RBB TODAY
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【インタビュー】ワークスタイルの変革がモバイル市場を加速させる……インテル「Ultrabook」が目指す世界(後編)

エンタープライズ ハードウェア
インテル モバイル事業開発部 廣田洋一氏
  • インテル モバイル事業開発部 廣田洋一氏
  • Ultrabookでのセキュリティ対策
  • Windows 8 スタート画面
  • ビジネス向けUltrabook
  • ビジネス向けUltrabook
  • サムスン「Series 5 Hybrid PC」
■安心して業務を行うために

 前編に引き続き、インテルでモバイル事業を手掛ける廣田洋一氏に、Ultrabookを活用したオフィスワークの変革や今後の展開などについて話を聞いた。前編の最後にクラウドサービスについて触れたが、クライアントPCにデータを残さないという観点から、これらはセキュリティ対策にも通ずるものがある。後編ではUltrabookのセキュリティ対策からスタートしたい。

 当然のことながら、セキュリティを強固にするためのウイルス対策やマルウェア対策は基本中の基本だ。これらに加えて、廣田氏は「PCやソフトウェアの管理も重要です。どこに何があるのか、どこで何が動いているのか。それが分からなければ、どのようなセキュリティ対策を講じても、あまり意味がありません」と指摘する。その上で同社では、ビジネスクライアントの中で「インテル vProテクノロジー」という技術を推進している。これは遠隔による資産管理をアシストしてくれるようなハードウェア上の機能だ。この上にソリューションを載せることで、Ultrabookの管理や運用効率が大幅に向上するという。たとえばリモートで電源を制御したり、キーボード・マウスをリモートで操作して診断・修復などが行える。またセキュリティパッチを当てたり、社員がどのようなソフトウェアをダウンロードしたのかも把握することが可能だ。

 物理的なセキュリティ対策として、Ultrabook自体を盗まれたり、紛失したりというケースも考えておかなければならない。そういうケースに対処するために「インテルAnti-Theftテクノロジー」(Anti-Theft:盗難防止)という機能が用意されている。これもソフトウェアを載せる必要があるが、紛失時にPCを遠隔地からロックし、情報を漏洩しないようにデータを消去したり、PCを動作させなくするための技術だ。もう1つはPCが壊れたときに可能な限り迅速に元の状態に復旧させる技術がある。これは平たく言えばデータをバックアップしておくということだが、廣田氏によれば「復旧もセキュリティ対策の一部に入る」とのこと。

■Windows 8の登場で、Ultrabookの未来はどうなる?

 では、Ultrabookの今後はどうなっていくのだろうか? 廣田氏は「最終的に世に残るデバイスは、ハイエンドタイプのWS、Ultrabook、タブレット、スマートフォンに収束していくと思います。エンジニアリングなどで要求されるハイスペックのWSを除いて、一般的に使われるデスクトップPCやノートPCについては、機能面ではUltrabookで十分に事足りるでしょう。スマートフォンは電話というコミュニケーションツールてして別に必要になると思います」と予測する。

 インテルのロードマップによれば、今年は第3世代のインテルCoreプロセッサー・ファミリーに加え、Windows 8を搭載したUltrabookのビジネス機が数社から登場する予定だ。たとえば今年初頭に開催されたCESのオープニングセレモニーでは、米インテルがUltrabookとタブレットのハイブリッドモデルのプロトタイプを披露している。また6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2012では、サムスンも液晶画面が360度回転してタブレットのように使える「Series 5 Ultra Convertible」や、11インチ液晶部分がキーボード搭載の本体と分離する「Series 5 Hybrid PC」を展示した。

 「業務上、それほどキーボードで入力しないケースならば、タブレットでも十分かもしれません。とはいえ一般的にキーボード・マウスに慣れているユーザーも多いので、ソフトキーとの併用のほうが、やはり生産性が高くなると思いますね」。インテルでは当面、タブレットの使い易さとキーボード・マウスの生産性の高さを両立させる方向でUltrabookの進化を考えているようだ。

 直近で気になるところと言えば、やはりWindows 8の発売にともなうモバイルシーンへの影響だろう。Windows 8では、従来のデスクトップUIと新インターフェイス「Modern UI」の両方を使えるようになっている。これらもオフィスではノートPCのように使えて、出先ではタブレット端末として使えるキーボード着脱式のデバイスを想定したものと言える。「Windows 8の登場について触れると、実は我々インテルとしても大きな期待感を持って受け止めています。Windows 8ではタッチ操作をすごく意識したユーザーインターフェイスになっていますので、新しいUltrabookへの相乗効果があると思っています」と、インテルとしても期待を寄せているという。

 最後に廣田氏は「Windows 8によって国内のクライアント市場が変わるというよりも、働き方が変わることでPC市場をドライブできるようになると思っています。やはりPCはまだ共有して使うことが前提になっている装置です。一人ひとりのPCとして“真の意味でのパーソナルコンピュータ”を実現できるようになれば、さらに市場も拡大していくでしょう。UltrabookやWindows 8がモバイル市場を加速させる“燃料”になってくれれば嬉しいですね」と今後の抱負を話した。
《井上猛雄》
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