イッツコムがケーブルTV事業者向け「総合クラウドサービス」!業界標準を目指す | RBB TODAY
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イッツコムがケーブルTV事業者向け「総合クラウドサービス」!業界標準を目指す

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
イッツ・コミュニケーションズ、日本デジタル配信、シグマ システムズがタッグを組む。ケーブルTV業界の業務システムの標準化を目指し、クラウドサービスの提供を開始
  • イッツ・コミュニケーションズ、日本デジタル配信、シグマ システムズがタッグを組む。ケーブルTV業界の業務システムの標準化を目指し、クラウドサービスの提供を開始
  • 日本デジタル配信 代表取締役 社長 兼イッツ・コミュニケーションズ 会長 河村浩氏
  • イッツ・コミュニケーションズ  代表取締役社長 市来 利之氏
  • イッツ・コミュニケーションズ 取締役 常務執行役員 村井健二氏
  • ケーブルTV各社の現状と課題。複雑な業務フローとシステムにより、柔軟性がなく、サービス変化への対応に時間とコストが掛っていた
  • 世界の潮流と同様に、ケーブルTV業界のITシステムも「持たずに利用・共有する」というクラウドサービスで提供
  • 統合クラウドサービスの特徴。次期サービス・デバイスへの迅速な対応や、上位の各サブシステムとのシームレスな連動も特徴
  • ケーブルテレビ事業者が既に導入済みのSMSに、DPMを連結して導入できる
 イッツ・コミュニケーションズは5月31日、二子玉川の本社において、業務効率の向上、運用負荷の軽減、コスト削減などを目的とした「総合クラウドサービス」をケーブルTV事業者向けに提供すると発表した。

 この総合クラウドサービスは、イッツ・コミュニケーションズが日本デジタル配信(以下、JDS)と共同で展開するもので、販売はJDSが行う。現時点で料金などは未定だ。イッツ・コミュニケーションズは、横浜市青葉区市ヶ尾の同社データセンターにてシステムを構築し、保守・運用を行う。実はケーブル事業者であるイッツ・コミュニケーションズが、今回のようなクラウドサービスを事業展開するのは極めて珍しいケースだ。では、なぜ同社がこのようなサービスをスタートさせたのであろうか?

 イッツ・コミュニケーションズ会長の河村浩氏(兼JDS 代表取締役 社長)は、「現在、我々はテレビ、インターネット接続、電話、モバイルデータ通信など、さまざまなサービスを急拡大しているところだ。サービスを支える業務システムの高度化、高機能化、効率化といった問題に直面しているが、それは我々以外のケーブル事業者も同様のこと。そこでケーブル業界の業務システムの標準化を目指し、本サービスを展開する運びとなった」と説明する。

 イッツ・コミュニケーションズが本サービスを開発するに当たり、大きな契機があった。同社は2年前より社内にITビジネス事業部をつくり、古い自社システム基盤のリプレイス作業に着手していた。その中で前述のような業務システムの問題が挙がり、これらを解決するための開発を進めてきたという。同社では、自らのニーズからCRM、課金システム、メールサーバ・Webサーバの高度化、DRP(IPアドレスの付与など)、営業支援システムの高度化を図り、統合システム基盤として収斂させてきた経緯がある。

 同社の市来利之氏(代表取締役社長)は、「これら一連のシステムは、ケーブル事業者として自分たちが業務の中で最も欲しいと思っていた部分だ。自社で開発・運用したソリューションを、他のケーブル事業者に向けてもサービスとして提供したいと思った。このサービスによって、ケーブルTV局でのコストが半減するぐらい効率化されるだろう」と自信を見せる。

 具体的な総合クラウドサービスの内容や特徴については、同社の村井健二氏(取締役常務執行役員)が説明した。村井氏は「これまでのケーブルTV局のITシステムは柔軟性がなく、サービス変化への対応に時間とコストがかかっていた。また自社システムを保有する中で、障害・仕様変更などの追加コストも断続的に発生している。1回につき100万円から500万円ぐらいもコストが掛っており、総合的に見ると無視できない額になる。さらにITシステムの依存度が高まっているものの、肝心の人材が不足しており、その確保が難しい」と、3つの大きな課題を指摘した。

 国内のケーブルTV事業者が、このような問題を抱える一方で、世界のケーブルTV業界に目を転じてみると、TV局の規模に関わらず、システムをブロックとして分割し、クラウド化することで問題を解決しているという。イッツ・コミュニケーションズも、この流れに沿った形で「システムを持たずに利用・共有する」というクラウドサービスでの展開を目指したそうだ。

 この総合クラウドサービスでは、サービス進化への対応、運用コストの可視化、自社設備の軽減、エンジニアの負担軽減が効果として期待できるという。ケーブルTV局のサービスの増加にともなって、次々に登場するであろうデバイスに対応させていくことが大きなウリの1つだ。村井氏は、「かつてケーブルTV局が提供するデバイスといえばSTBだけだった。それがインターネットサービスが始まってケーブルモデムが必要となり、さらに電話をするためにeMTAも追加された。今後もAndroidやiPadなどマネジメントすべきデバイスが増えてくるだろう」と説明する。さらに各サブシステムが独立かつシームレスに連動する仕組みになっており、サービス変更にともなうシステム維持コストの効率も高められる。

 同社では、この統合クラウドサービスの第一弾として「DPM」(Device Provisioning management)サービスを7月よりスタートする。IPアドレスの付与するDHCP設備をアウトソーシングすることに加え、各種デバイス(モデム、双方向STB、ホームゲートウェイなど家庭用デバイス)のプロビジョニング機能(設定・変更・管理)、顧客管理システムと連動などの機能も有する。またケーブルテレビ事業者が既に導入済みのSMSに、DPMを連結して導入できる。

 IPv6対応についても、このDPMサービスのウリの1つだ。「IPv4の配布は今年4月で終了しており、2012年中、あるいはもっと早く枯渇する見通し。IPv6対応問題を深刻に考えているケーブル事業者も多い。このDPMを利用すれば、ケーブル事業者がIPv6に簡単に対応できるようなる」(村井氏)という。こうしたDPMサービスは狭義の意味ではシスコなどが競合として挙げられるが、ケーブルテレビ局の顧客管理や課金システムなどとのシームレスな連動を考えると、いまのところ他社との競合はないという。

 同社では今後、このDPMサービスを皮切りに、監視、Web/Mail、Billing(課金システム)、CRM(顧客管理システム)、マッピング、ユーザーWebなどのサービスについても順次投入していく予定だ。

 なお今回の会見に合わせ、カナダ・シグマシステムズのティム・スペンサー氏(代表取締役社長 兼 最高執行責任者)も来日した。同社はアジア地域への販売強化を行っており、本サービスの中核を担うソリューションとして、「統合プロビジョニングプラットフォーム」(SMP:Service Management Portfolio)や「デバイス・プロビジョニングマネージャ」(DPM:Device Provisioning Manager)を提供している。
《井上猛雄》
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