【クチコミ分析最前線】企業ツイッターにおける、効果測定の重要性……BIGLOBEインタビュー | RBB TODAY
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【クチコミ分析最前線】企業ツイッターにおける、効果測定の重要性……BIGLOBEインタビュー

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NECビッグローブ メディアサービス事業部 シニアエキスパート(サービスクリエイトグループ) 渡辺純子氏
  • NECビッグローブ メディアサービス事業部 シニアエキスパート(サービスクリエイトグループ) 渡辺純子氏
  • データを使った効果測定の一番の目的は、ユーザーのリアルな声を聞き現状を知ること、と語る渡辺氏
  • NECビッグローブ メディアサービス事業部 マネージャー(サービスクリエイトグループ) 森川康一氏
  • 「感°Reportツイッターデータ分析サービス」では、キーワードの出現量や時間、ネガ/ポジ評価といった、ブログでも計測可能なデータのほか、つぶやきが伝播していく様子を計測できる
  • 時間帯ごとのツイート数
  • ツイッター上で盛り上がる話題ランキング
 クチコミ分析サービス「感°Report ツイッターデータ分析サービス」を提供するNECビッグローブは、調査マーケティング会社のイードと協力し、ツイッター(ツイッター)を業務で活用したことがあるとした545名のビジネスマンを対象に「企業のツイッター活用に関する意識調査」を実施、10月にその結果を発表した。

 それによると、ツイッターを業務で活用したことのある企業の中で効果測定ツールを使用したことがあるのはわずか0.9%、しかし使用した企業の4割が結果に満足しており、8割以上がまた利用したいと回答しているという興味深い結果が得られた。ツイッターの企業利用の現状、そして効果測定ツールの重要性について、NECビッグローブ メディアサービス事業部 シニアエキスパート(サービスクリエイトグループ)の渡辺純子氏に詳しく話を聞いた。

■8割以上が「また利用したい」。高い満足度の理由

 同調査でのツイッターに対する企業の満足度の高さについて、渡辺氏は「従来型のPRやウェブサイトのように、企業側から発信して認知してもらおうという一方向のコミュニケーションだけでは飽きたらず、顧客との深度を深めたい、顧客を理解し巻き込んでいきたいと考えている企業は多いです。そこにぴったりはまったツールがツイッターなのだと思います」と分析する。

 また「ソーシャルマーケティングという難しい言葉も出てきていますが、それよりも顧客の声を直接吸い上げたいというシンプルな動機だと思います」と渡辺氏が言うように、顧客の声をダイレクトに受け止め、双方向的なコミュニケーションを図ることができるところが魅力とのことだ。

 さらに、従来のコンタクトセンターのように深く1対1でサポートし、直接的に囲い込むCRM的な戦略とは異なり、「たまたま顧客が困っている様子を見つけたら手を差し伸べる」といったように、できる範囲で運用していくことができる。さらにそれが認められれば「やってくれたんだ」という高評価を得ることができ、それが伝搬していく可能性すらある。このように積極的にアピールするのではなく「たまにはうちのものを思い出してくださいね」といった、より“ゆるい”スタンスで「顧客といい関係を築くことができる」ツールであることが人気の理由であるという。
 
■法人ユーザーが最も見習いたいTwitterユーザーは?

 もっとも顧客との双方向的な関係性を求める傾向は、ツイッター以前から潜在的に存在していたという。一時期ブログマーケティングへの期待が大きく高まったのもそのためだが、ある時期からアフィリエイト目当てでSEO対策のみに心血を注いだり、企業がお金を出して記事を書かせるPayPerPostと呼ばれる手法が流行するなど、CGMに対する期待は失望に変わっていった。そこに新たな希望として登場したのがツイッターというわけだ。

 「最初に“これはキタな”と思ったのは2010年の1月ですね。鳩山(由起夫)さん、孫(正義)さんといった、普段はテレビでしか見ることができない著名人が参入し、大河ドラマ『龍馬伝』のような身近なトピックについてつぶやき始めました。それをみんながフォローすることによってツイッターの楽しさを知り、ブームが始まったのだと思います。特に孫さんの“やりましょう”はダイレクトサポートのお手本だと思います。困っている人を見つけたらトップが率先して社内を動かす。あれは他の人にはできません。つぶやき一つで大企業が動くことがあるという可能性を知らしめ、そのことでソフトバンクという会社のイメージアップを成功させた手腕は、誰でもマネしてできるものではありませんが、うまいですね」と渡辺氏は言う。実際前述の調査でも見習いたいツイッター企業活用例No.1としてソフトバンク(孫正義氏)を挙げる人が圧倒的に多かった。

■企業アカウントの運用実態

 しかし孫氏のように個人としてアカウントを作るのか、それとも会社として公式アカウントを作りそこに統合するのかなど、運用方法について悩んでいる企業も多い。

 渡辺氏は「確かに悩まれている企業は多いですが、どちらかと言えば実名を出して個人としてアカウントを運用されている場合の方が多いでしょうか。そのほうが自由ですし、企業内にも多様な人がいるのがわかりマイナスになることはあまりありません」と語る。企業のツイッター運営に関して、ビッグローブではパートナー企業と協力し、アカウントの運営ポリシーの作成・検証などのコンサルティング業を多く手がけるが、「発信できる人を教育しながら走り出している」といった状況のようだ。

 またブログでは多く報道された、炎上と呼ばれるようなトラブルはツイッターでは少ないという。渡辺氏は「ツイッターには自浄作用といったようなものがあると思います。人の噂も七十五日と言いますが、ツイッターでは正しく訂正するとそれも伝播するため、盛り上がりが早く、沈静するのも早いです」と言う。

 企業側も炎上の心配はあまりしておらず、それよりも時間外勤務など、ツイート担当者のオペレーションについての悩みが多いという。「9時~17時という一般的なビジネスタイムと違い、ツイッター上のツイート数は22時~25時がボリュームゾーンです。今は1人か2人の専任でやられているところが多いですが、ECサイトなどサポート業務に近いことをやられているお客様の場合、数人が24時間張り付いておられるところもあります」とのことだ。

■「感°Report」。キーワード分析や、つぶやきが広がる様子も計測

 このように企業によるツイッターの利用が盛り上がりを見せる中、2010年の4月に、ビッグローブのツイッター効果測定サービス「感°Reportツイッターデータ分析サービス」がスタートした。「感°Report」は元々ブログのクチコミ分析ツールとしてサービスを行っていたが、1、2時間ですぐに反響を得ることができるツイッター分析のニーズが高まってきたことを受け、サービスメニューを追加したという。

 同サービスは、「モニタリングサービス」と「レポーティングサービス(ライトとスタンダードの2種)」の2つが用意されている。「モニタリングサービス」では、商品名、企業名など特定のキーワードから抽出された1日分のつぶやきの原文データが、翌日午後1時までにメールで送付される。「レポーティングサービス」では、ツイート数の時系列分析や、アナリストによる評判・話題分析、代表的なツイートの抽出などのレポートが作成される。

 サービスの大きな特徴としては、「キーワードの出現量や時間、ネガ/ポジ評価といった、ブログでも計測可能なデータだけではなく、つぶやきが伝播していく様子を計測できること」(渡辺氏)だといい、どのつぶやきが多くRT(リツイート)されたか、そのつぶやきが参照しているURLや写真はどれか、どの人にRTされると情報が広がるか、といったツイッターならではの分析が可能となっている。

 ただし、「これだけRTされれば伝播率は○○となりキャンペーン成功と言える」といったような目に見える指標作りはまだされていない。今後はデータを蓄積しながら指標化の確立を目指していきたいという。

■効果測定なしのキャンペーンの時代はもう終わり

 利用した企業からの反響についてはどうだろうか。「まだスタートしたばかりなので、結果の業務への反映効果は正直あまり伺えていないのですが、数日で消えてしまうツイッターのデータを手元に置いておけることに対して、特に好評をいただいています」と渡辺氏は語るが、イードと共同で実施した調査では、効果測定の満足度について「満足している」との回答が全体の38.9%と4割近い。また「ツイッターをこれからも積極的に活用したいと思いますか?」という質問には全体で82.9%が「活用したい」と答えているなど、効果測定サービス利用企業の満足度は全体的に高いと思われる。

 また、同調査からは効果測定サービスを使用した企業の8割は継続的に使用したいという結果が出ている。「お客様の中でも、いずれはツイッターでの反応をKPI(重要業績評価指標)にし、次回施策への資料として役立てたいと思われている方は多いです。以前のようにキャンペーンをやってそれで終わりといった時代にはもう戻ることはないでしょう」と、今後ますます需要が増えるという見解を示した。

 さらに、ツイッターの効果測定が普及するにつれて、キャンペーンなどのフィードバックスパンもどんどん短くなっていくとの予想だ。例えば前日のつぶやきを参考に、PR用ラッピングバスのルートを変更したり、商品の店頭POPの文言を変更したりといったことはすでに行われているという。

■今後の「感°Reportツイッターデータ分析」

 今後のサービス拡張予定としては、現在エクセルデータとして提供されるアウトプットデータのグラフ化機能や、Webアクセス、ECサイトの売上データなどと組み合わせることで、相関関係を分析できるようにするといったことが計画されているという。また、メディアサービス事業部 マネージャー(サービスクリエイトグループ) 森川康一氏は、顧客企業とユーザーのコミュニケーションをより活発にさせる支援として、初心者でも気軽にツイッターの世界に触れることができるクライアントソフト「ついっぷる」の普及も広げていきたいという。「ついっぷる」はPCだけではなく携帯やスマートフォンにも対応しており、特に携帯版では「デコメ」のような絵文字の使用も可能になっていることから、20~30代女性の利用者が多いという。企業からの需要も多い若い女性層のデータ収集を得意としていることは今後大きな強みになっていくだろう。

 最後に今後ツイッターの導入、もしくは効果測定ツールの利用を検討している企業担当者に対し、渡辺氏は以下のようなアドバイスを送ってくれた。

 「ブログはどちらかというと結果を振り返って確認する媒体で、長期的なトレンドを見るのに向いています。それに対してツイッターはその瞬間の盛り上がり、興味の移り変わりをダイナミックに見ることができる媒体です。目的に応じて両方を使い分けることが良いかと思います。データを使って効果測定をするというと、なにやら難しいものと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、市場のお客様のリアルな声を聞いて現状を知ることが1番の目的です」。

 ツイッターはもはや流行ではなく消費者に定着したスタンダードなツールになろうとしてきている。企業担当者もこれまで以上に真剣に考えていくべきだろう。
《田口和裕》
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