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【ニールセン博士のAlertbox】Twitterの投稿:反復デザイン(Vol.1)

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Jacob Nielsen博士
  • Jacob Nielsen博士
 我々は5回のデザイン変更を経て、タイムラインのメッセージをより印象に残り、説得力があってバイラル(伝染的)なものにした。

 数日前、Nielsen Norman GroupのTwitterのタイムライン(@NNgroup)に次のユーザビリティカンファレンスについての告知を投稿した。

 今のところ、私はストリームベースの投稿に対する全てのガイドラインを持っているわけではない。なぜならば、現在、我々は(特に私の読者のようなB2Bユーザーに関する)ユーザビリティ調査を実施中だからだ。しかし、既に観察の終わったユーザーセッションをベースに、 5回の反復デザインを行い、この記事を書いた。

■1回目のデザイン
「Announcing LAS VEGAS and BERLIN as the venues for our biggest usability conference of the year (我々の今年最大のユーザビリティカンファレンスの開催地としてラスベガスとベルリンを発表) http://bit.ly/UsabilityWeek」

・良い点:開催都市名が強調されていて、目を引く。
・悪い点:情報を含まない単語「announcing(発表)」で始まっている。これが発表であることはわかりきっている。そうでなければ投稿をしたりはしない・・・。

 ユーザーがリストを流し読みするとき、最初の数文字しか読まないことが多いのを思い出そう。文字数を無駄にしないこと。

■2回目のデザイン
「LAS VEGAS and BERLIN are the venues for our biggest usability conference of the year (ラスベガスとベルリンは我々の今年最大のユーザビリティカンファレンスの開催地である) http://bit.ly/UsabilityWeek」

・良い点:気を引くキーワードが文頭に出されたことで、このバージョンはより流し読みしやすくなっている。
・悪い点:前のバージョンの「announcing(発表)」という語が持っていたニュース感は失われた。

 企業の中には同じイベントについて何回も投稿することで、彼らの乏しいフォロワーを悩ましているところも多く、そのため、ユーザーはイベントプロモーションに対しては若干鈍感になりつつある。

■3回目のデザイン
「LAS VEGAS (October) and BERLIN (November) are the venues for our biggest usability conference of the year (ラスベガス(10月)とベルリン(11月)は我々の今年最大のユーザビリティカンファレンスの開催地である) http://bit.ly/UsabilityWeek」

・良い点:開催月を追加したことで、カンファレンスが間近に迫っていることが強調され、幾分ニュース感を取り戻した。また、特定するというのは常に良いことだ。多くの 、B2Bウェブサイトに特徴的な長ったらしい役に立たない話の代わりに、具体的で訳に立つ情報を手に入れているような気にユーザーがなる。
・悪い点:このTweet(:つぶやき)の原稿は133文字あり、誰かがretweet(:他の人のつぶやきを引用すること)したくても、7文字分しか残っていない。これでは我々がいつも使っている11文字の帰属先(RT @NNgroup)を追加するにも足りない。この帰属先は我々のフォロワーのフォロワーに我々のフィードに気づいてもらうというバイラルな効果から利益を得ようとするにはなくてはならないものである。

 (つぶやきを130文字未満に保つというガイドラインは長期的に意味があるというわけではないだろう。なぜならば、Twitterは再投稿に対して、メインメッセージの内容からソースの属性を削除するデザインの見直しを行っているからだ。しかしながら、このデザイン見直しが終わるまでは、フォロワーとつぶやきをシェアしたいかぎり、あなたのオリジナルの投稿にはゆとりを残しておくのが一番だろう)。

■4回目のデザイン
「LAS VEGAS (October) and BERLIN (November): venues for our biggest usability conference of the year (ラスベガス(10月)とベルリン(11月):我々の今年最大のユーザビリティカンファレンスの開催地) http://bit.ly/UsabilityWeek 」

・良い点:「are the」をコロンに置き換えることで、6文字を節約した。このような簡潔なコンテンツは完全な文で書く必要はない。いずれにしろ、ユーザーは流し読みするだろう。我々はつぶやきにおける第2のヘミングウェイになろうとしているわけではない。
・さらに:今回の表現はフラグメント(:断片)が細かい。MS Wordの波線(:英文校閲時、フラグメントが細かすぎる等、疑問のある箇所に下線として引かれる)がうるさい?それは無視すればよい。

 (もう一つの方法として、もっと短いURLショートカットを使うこともできたかもしれない。しかし、そうしないことで、リンクからどこに飛ぶことになるのかが読者にわかるというメリットがある)。

■5回目のデザイン
「LAS VEGAS (October) and BERLIN (November): venues for our biggest usability conference ever (ラスベガス(10月)とベルリン(11月):我々の過去最大のユーザビリティカンファレンスの開催地) http://bit.ly/UsabilityWeek」

・良い点:ぎこちない「biggest of the year(今年最大の)」という表現を、より印象的な「biggest ever(過去最大の)」に変更した。短くなった上に「biggest ever」によって、以下の2つのメリットが追加された:

1. なぜ読者がこの発表に関心を持って、プログラム全体を見るためにリンク先のページにジャンプするべきかについて、より説得力が出る。
2. 不況の中での成長は我々の力強さを証明し、参加者が有意義な体験ができることを約束する。こうしたことは暗い見通しに飽き飽きしている読者の興味をひくだろう。

 ラスベガスでは、2008年の31個に対して、今年は33個の1日セミナーをプロデュースしている。したがって、「去年から6.5%成長した」ということに関連した内容を無理矢理つぶやきに押し込もうとすることもできたかもしれない。しかし、正確な数字の方が広い意味を持つ主張よりもずっと説得力があるとはいえ、つぶやきの内容は焦点を絞り込んだ方が良く、複数の論点を主張するべきではない。

 景気が後退する中での6.5%の拡大は、進化論の学者が言うところの「コストリーシグナル」である。すなわち、ユーザビリティ業界が概して健全な状態にあり、我々のカンファレンスが高い関心を集めていることを伝える手段になっているというわけだ。こうしたことでは嘘はつけない。なぜならば、より多くの講義室を予約し、多くの講演者を送り込むにはたいへんな費用がかかるからだ。健康なクジャクだけが大きな尾羽を育てることができるというわけである。

 あなたが気を引きたい相手が、雌のクジャクにしろ、ウェブユーザーにしろ、コストリーシグナルは根拠のない自慢話よりは信頼できる。

Twitterの投稿:反復デザイン(Vol.2)へ続く

※この記事はユーザビリティ研究者ヤコブ・ニールセン博士が運営するサイトuseit.comで連載中のコラム『Alertbox』の転載・翻訳記事です。
株式会社イードが運営する「U-site」では、博士からの正式な許可を得て同コラムの全編を日本語訳し公開しています。
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