【富士通フォーラム2010(Vol.11)】クラウドが農業を変える――農業経営をトータル支援 | RBB TODAY
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【富士通フォーラム2010(Vol.11)】クラウドが農業を変える――農業経営をトータル支援

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
農業ナレッジマネジメント・プラットフォームサービスの展示ブース
  • 農業ナレッジマネジメント・プラットフォームサービスの展示ブース
  • クラウドサービスインフラ開発室 センシングプラットフォーム企画部 木村義和氏
  • 圃場センサー。温度、水分、土壌の状態、ソーラーパネルで必要な電力確保と日照時間の計測を行う
  • センサーに取り付けられたCCDカメラで作物の様子がリモートで確認できる
  • バーコードリーダーの付いた業務用の携帯電話。これによって農薬、肥料、農機具などの資材、資産管理を行う
  • 作業内容の確認などは携帯電話からも確認できる。ソフトウェアはAndroid向けに開発されたものだが、それに限定されるわけではない
  • GPS内蔵の専用端末。携帯電話を利用する場合、とくにGPS機能を使うと電池が長時間もたないので、専用の端末も試作した
  • 管理画面のうち販売計画を立てる画面
 農業とITでは、これまでもいろいろな取組みや実験が行われてきたが、富士通フォーラム2010では、クラウドサービスを利用した興味深いシステムの展示が行われていた。特徴は、作物の水や温度管理、収穫物のタグ管理やトレーサビリティといったこれまでの個別プロセスのIT化や部分最適といったソリューションではなく、農業の生産計画から作付、日々の作業管理、工数・原価管理までをトータルにカバーしていることだ。鍵になる技術はクラウドとナレッジベースという。クラウドサービスインフラ開発室 センシングプラットフォーム企画部の木村義和氏に話を聞いた。

 「農業ナレッジマネジメント・プラットフォームサービス」(参考出品)と名付けられたシステムは、簡単にいえば、農業の販売計画から最終的な出荷までの作業を支援するものだという。販売計画は、どの作物をどれくらいの分量で収穫して販売したいのかを、所有する田畑などの圃場情報をベースにして立てていく。画面に作物や収穫時期、販売量などを入力すると、作付シミュレーションとして、どの圃場で何をいつ頃作っていくのかといった情報や、播種、収穫時期などをチャート化してくれる。

 販売計画や作付のためのプランができたら実際の農作業となるが、どのような作業をいつ行えばよいのか、今日は何の作業をすべきか、あるいは、怠っている作業はないか、害虫発生や生育状況などはどんなポイントに注意すべきかなどの作業支援も行う。

 たとえば、日付や作物ごとに、うね立て、見回り、散水、追肥、除草など必要な作業(候補)がリストされるのだが、これらの情報はデータベースに登録され、またナレッジとして自分で蓄積させていきながら活用していく。現在、このナレッジを蓄積させるためのシステムの完成度を高めることを目的に、農家の協力を得て実証実験を行っているという。

 このサービスでは、センサーネットワークによる圃場の監視、管理機能もサポートされており、圃場に設置されたセンサーによる、土壌の養分、水分、温度などの情報の監視や、監視カメラによる確認が可能である。また、定点センサーだけでなく、携帯電話(GPS機能付き)や専用端末を使って、実際に出向いた畑の状況やカメラ画像を管理サーバに送ることもできる。展示では、データの送信は携帯電話のパケット網を利用しているが、キャリアや通信方法は問わず様々な通信の活用も視野に入れているそうだ。

 原価管理機能も搭載され、タグやバーコードを利用して、農薬や肥料の使用量から費用を算出することもできる。人件費については、前述の携帯電話や専用端末のGPS情報のログから、どの圃場でだれが何時間作業したかを計算することにより算出することも可能だ。このようにして集めたデータから、面積あたりの原価、作物ごとの原価などが算出でき、農業を経営の視点から可視化することができる。

 またこの出展の大きな特長として、クラウドサービスとして提供されることで、サーバやソフトウェアの購入といった高額な初期投資の必要がなく、システム構築の必要もないため、農家が手軽に導入できる点があげられる。木村氏は「目標のひとつには、経験の浅い農家や新規に農業を始めようという人を支援できるシステムというものがある」と説明した。
《中尾真二》
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