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【台湾Valueを探る〜COMPUTEX TAIPEI 2008(見所チェック!)】キューブPCのShuttle、次の戦略は?

IT・デジタル その他
キューブPC
  • キューブPC
  • Shuttle Computer日本支社責任者の伊藤賢氏
  • 「K45」のバリエーション
  • 「K45」のバリエーション
  • 伊藤氏
 小型でコンパクトな四角いPC。一度くらい目にした人も多いであろう、このキューブPCと呼ばれる小型パソコンの先駆けであり、最大手メーカーと言えるのがShuttle Computerである。「COMPUTEX TAIPEI 2008」における同社の見どころはもちろん、2008年下半期の展開についてShuttle Computer日本支社責任者である伊藤賢氏に話を伺った。

 そもそもマザーボードの生産及び、販売を目的として設立されたShuttle Computerだが、他社との激しい競争で苦戦。そんな中、工業用の端末として開発されていた小型マザーボードを「コンシューマ向けにアレンジしたら売れるのでは?」として生み出されたのがキューブPCだという。今でこそ見慣れたキューブ型のPCだが、国内初登場時のインパクトは大きく、秋葉原を中心としたいわゆる自作パソコン市場を中心に大ブレイク。Shuttle Computerに続き参入メーカーも相次ぎ、瞬く間に一市場を築いていった。時を同じくして、海外では優れたモバイル性が評価され、LAN party(皆が自慢のPCを持ち寄って開くゲーム大会)などに積極的に参加するゲームユーザーを中心にヒット。現在は完成PCとのしての販売シェアも高いという。

■Shuttle Computerブースの目玉はズバリAtom搭載キューブだ!

 さて、まずは目前に迫った「COMPUTEX TAIPEI 2008」においての同社の見どころだが、伊藤氏は「やはりインテルがリリースする超小型・低消費電力CPU“Atom”だ」と語る。正直、ここしばらくは不振だったというベアボーン市場を振り返りつつも、「低消費電力を大きな特徴のひとつとするAtomは、キューブPCのような小型のベアボーンにはうってつけ。大きな追い風となるのは間違いない」と断言する。後述する2008年下半期の展開ともリンクするが、今後Shuttle Computer製キューブPCを語る上で重要な要素のひとつとなるという。

 今回の取材時には「先日までAtom搭載モデルのサンプルがあったのですが、残念ながら台湾(本社)に持っていかれちゃいまして(笑)」ということで、お目にかかれなかった。しかし「COMPUTEX TAIPEI 2008」では目玉の一つとしてShuttle Computerブースに展示されているはずだ。もちろん、チップセットに「X38」を採用しCrossFireも可能な「SX38P2 Pro」の後継となるようなハイエンドキューブPCも控えている様子。これら主軸となるキューブPC群に加え、国内市場でも展開予定の液晶モニターの新モデルなども展示予定となっている。

■今後はマザーボードの換装が可能なキューブを

 続いて「COMPUTEX TAIPEI 2008」が終わり、2008年下半期の展開について話を聞いた。先日「圧倒的なコストパフォーマンスを実現した普及モデル」というのがコンセプトのキューブ型ベアボーン「Shuttle Computere KPC K45」を発売したばかりだが、伊藤氏いわく「KPCブランドは、今後発売予定のAtom搭載モデルでも重要な位置を占める」という。

 元来、名前の由来ともなった、17cm×17cmサイズの小型マザーボード規格であるMini-ITXフォームファクタの製品を搭載していたキューブPC。それが、CPUのクロック上昇による発熱とビデオカードの巨大化に伴い「横幅はあまり変わらないが、縦というか奥行きはどんどん長くなっていた。と思ったら、昨今のCore 2に代表される低発熱化傾向により、以前ほど冷却にスペースを割く必要がなくなってきました。そして今回のAtom登場です」。

 「K45」の特徴として大きく語られてはいないが、搭載マザーボードがMini-ITX規格のマザーであれば換装できるという点がある。これには、Shuttle Computer製キューブPCを一度でも使ったことのあるユーザーなら誰もが驚くはずだ。同社製キューブPCは、言ってみれば専用のマザーボードを搭載している。故に新型チップセットなどがリリースされた場合、デスクトップPCであればマザーの交換で済むところを、キューブPCでは製品ごと買い換える必要があった。「これでは、次から使わなくなりますよね。また、本体丸ごと買い換えるのかって。事実、最近のPC業界の製品サイクルは特に速いので、世代交代も速い。でもキューブPCでは簡単なアップグレードが望めない。ベアボーン市場の拡大を抑制していまっている大きな理由の一つだと思います」と伊藤氏。今後はマザーボードの換装も可能とするモデルを用意することで、例えば新型のAtom搭載マザーが出てきてもMini-ITXフォームファクタであれば交換が可能となるのはもちろん、既存のVIA製のCPUオンボードマザーを流用するといった少々マニアックな使い方だって可能となるわけである。

 ちなみにインタビュー中に飛び出した「K45」誕生秘話を紹介する。同モデルは本来、Shuttle Computerが法人向けに開発した製品だという。多数のショップを抱える大型量販や飲食産業、会社などの簡単な事務処理として使うクライアントPCなどといった用途向けで、事実、法人向けのモデルとしては異例の出荷台数を記録しているという。「だから5インチ光学ドライブベイも搭載してませんし(注:ノート用の薄型光学ベイは備えるが使用するには加工が必要だ)、USBといったフロントのアクセスポートもありません。というか付けないでくれと言われるんですね、法人さんには。端末として使うだけなので、余計なことができたら逆に困ると。反対に裏面のバックパネルを見てもらうと分かりやすいんですが、パラレル/シリアルポートを搭載しているんですよ、今どき(笑)。でも、これは端末として使うなら必須となるわけです。フロントデザインが換装可能な点も、例えば●●商店といった文字やロゴを入れることができますよね。だからShuttle Computerの文字もフロントのアクリルパネルには印刷されてません。デザインシートを入れると分らなくなるように」。

 一見するとファミリー向けのリビングPCといった趣の「K45」だが「それは、あくまでコンシューマ向けにアレンジしたパッケージやWEBデザインにした」からだという。話はだいぶそれたが、Atom搭載のKPCブランドには、今後要注目と言って差し支えはないだろう。

 もっとも、これはメールやブラウジング、ファイルサーバーやSOHO専用マシンといった比較的ライトユースをターゲットとした話だ。先ほど少し触れたが、FPSやオンラインRPGといったゲームも十分可能なハイエンドモデルに関しては、従来通り「XPC」シリーズがカバーしていくこととなる。「G45チップセット搭載モデルはもちろん、CrossFireも可能でメモリスロットも4本、などといったモンスターキューブなどもちゃんと準備している」とのことなので、ゲームユーザーも安心してよさそうだ。

■Shuttle Computer PCとしてのトータルソリューションに再挑戦

 そして、2008年下半期の展開については、もうひとつ重要な柱がある。最近“復活”したという同社WEBでのオンラインPC販売だ。この場合のPCは完成品PCを指すのだが、「ベアボーン販売の国内実績という点では、ある程度結果は残せたと考えています。もちろん、ベアボーン販売は今後も重要な柱の一つですが、Shuttle Computer PCとしてのトータルソリューションにもう一度挑戦してみる時期と考えている」という。具体的には「COMPUTEX TAIPEI 2008」でも展示されるであろう液晶モニターなどで、「PCはShuttle Computerのキューブなのに液晶は他社製ですというのではやはり寂しい。キューブPCにマッチしたスタイリッシュな液晶モニターなどを提供していく」とのこと。以前やってましたよね?と水を向けると「もちろん、その時の失敗の教訓は生かすつもり。ご存じのように価格競争の激しい市場なので、そこに巻き込まれないようなShuttle Computerならではの魅力を打ち出せるような展開を用意する」という返事が返ってきた。

 その他、日本Shuttle Computerの公式サイトの充実も課題としつつ「日本語の製品情報はもちろん、分かりやすい画像の掲載、ダメだと言われていたCPUサポートリストも本で支持を得ているあらゆるサイトを参考に現在早急に見直している最中だ」とのことだ。

 国内のキューブPC市場では、もはや不動の地位を築いたと言っても過言ではないShuttle Computer。Atom搭載モデルも加わる従来のキューブPCシリーズの充実を図りつつ、さらに幅広いユーザーに使ってもらえるかが大きな課題となる。「COMPUTEX TAIPEI 2008」で注目するのはもちろん、今後の展開についてもじっくり見ていきたいと思う。
《RBB TODAY》
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