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アリババ、シャオネイ、チャイナモバイル、アジアを制しモバイルインターネットを制す

エンタープライズ モバイルBIZ
連結決算のサマリー
  • 連結決算のサマリー
  • セグメント別の営業利益
  • ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏
  • 連結利業利益の推移
  • 携帯電話の純増数の推移
  • 携帯電話各社の純増数
  • “本質的なARPU”とするグラフ
  • 「モバイルインターネットを制する者がインターネットを制する。アジアを制する者が世界を制する」と掲げる孫正義氏
 ソフトバンクは8日、平成20年度3月期(2007年4月〜2008年3月)の連結決算を発表した。売上は2兆7,762億円(前年比9.1%増、以下同じ)、営業利益は3,243億円(19.6%増)、経常利益は2,586億円(68.6%増)、当期純利益は1,086億円(277%増)と大幅な増収増益になった。

 セグメント別の営業利益では、移動通信が1,745億円、ブロードバンド・インフラ(Yahoo! BB)が397億円、固定通信(ソフトバンクテレコム)が33億円、インターネット・カルチャー(Yahoo!JAPAN)が1,152億円となった。特にソフトバンクテレコムは前年度は29億円の赤字だったが、これが黒字に改善している。

 ソフトバンクグループは、Yahoo! BBの販売促進費増加により2002年度から2004年度まで連結決算で赤字が続き、投資家などから厳しく指摘を受けていた。しかし、今回の連結決算は創業以来、過去最高水準となった。発表の席でソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、「すべての事業セグメントで営業利益が改善した。暗雲は去った」と満面の笑みでコメントした。

 移動通信(ソフトバンクモバイル)の純増数は、ボーダフォン時代の2004年度は4万契約にとどまったのに対して、買収した初年度の2006年は70万契約、2008年度は268万契約と大きく伸ばしている。「ドコモさんとKDDIさんは勢いが落ちたが、ボーダフォンがソフトバンクになってから着実に勢いが出てきた」とアピールした。

 またARPUは4,310円となり他社の6,000円前後と比べると低い。同氏はこれを、「財務会計の一面であって木を見て森を見ず」の数字だとする。ソフトバンクは端末を分割払いで販売しており、ユーザは毎月、端末代金と通話料金を一緒に払っている。同氏は、この分割払いの代金も含めた金額が“本質的なARPU”だと力説する。この本質的なARPUだと、ソフトバンクモバイルは5,540円となり「2006年度をボトムとして、本質的なARPUは上がり始めている」としている。

 「モバイルインターネットを制する者がインターネットを制する。アジアを制する者が世界を制する」。今回の決算発表では、ソフトバンクグループの世界戦略について多く語った。Joint Innovation Labの設立と、アジアへの投資だ。

 Joint Innovation Labは、「モバイルインターネットを制する者がインターネットを制する」に基づくもの。ソフトバンク、ボーダフォン、チャイナモバイルが33.3%ずつ出資を行い設立した。

 Joint Innovation Labでは、ハードウェアやサービス、コンテンツの共同開発や調達を行う。ソフトバンク、ボーダフォン、チャイナモバイルの3グループの携帯電話ユーザを合わせると約7億人にも達する。「7億人のユーザ向けに提供するとなれば、ハードウェアやソフトウェアのベンダーは目の色を変える」とスケールメリットを示した。

 具体的なサービスの内容やコンテンツは明らかにしなかったが、「5年以内に10億人のユーザをベースに、ゲームやコンテンツ、ウェジェット、課金ビジネスモデルを考えると新しいビジネスモデルができる。たとえばマイクロペイメント。インターネット上では難しかった。携帯電話では、100%のユーザが課金をしているから、マイクロペイメントで5円とか10円という課金も可能になる」との例を挙げた。

 ソフトバンクは創業以来、多くの会社に出資を行っており、現在は「中国に重心をシフトして行っている」とする。「アジアを制する者が世界を制する」とはこのことだ。

 中国では、B2Bイーコマースで75%のシェアと会員2,900万人を持つ「Alibaba.com」のほか、会員数2,500万人の大学生専用のSNS「Xiaonei」(シェオネイ:校内網)、84%のシェアを持つネットオークション「Taobao.com」、7,400万人が利用するオンライン決済「Alipay」などを傘下におさめている。

 各社への出資は、「戦略的パートナーとして側面から支援するのが基本思想」という。「出資を行うのは、上下関係ではなく同盟関係を築くため。アリババもYahoo! JAPANも同盟関係と考えている。出資した各社は、ソフトバンクが加わる前に成長しているから、それを加速するのにお役に立てるのかもしれない」との理念がある。

 同社はこれまでにも、10年前にはアメリカ、5年前には国内の会社に投資を行ってきた。3,000億円の投資が10年間で9倍の2.8兆円にまで膨れあがった。
《安達崇徳》
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