「従来のストレージアプローチでは仮想化による柔軟性を実現できない」——NetApp、プライベートイベントで | RBB TODAY
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「従来のストレージアプローチでは仮想化による柔軟性を実現できない」——NetApp、プライベートイベントで

エンタープライズ その他
満席の会場
  • 満席の会場
  • マーケティング部部長の阿部恵史氏
  • RAID-5、RAID-10、そしてRAID-DPの比較
  • 迅速で信頼性の高いシンプルなDR
  • テスト環境、開発環境を高速化
  • 重複管理機能
  • FlexCloneの応用例
■サーバ仮想化はストレージ仮想化も含めて考えることが重要

「仮想化を検討している、あるいは実行している人はどれだけいますか?」
同社マーケティング部部長の阿部恵史氏が来場者に向かって問いかけると3分の1の人が手をあげた。しかし「設計の段階でストレージを含めて仮想化を考えている方は?」との質問には6〜7人が挙手しただけだった。

 17日に都内のホテルで開催されたNetAppのプライベートイベント「NetApp Focus 2008」。約20のセッションのうち複数に“仮想化”の文字が見られ、そのほとんどが満席だった。

 阿部氏は「サーバの仮想化は、実はサーバだけを仮想化したいのでは目的は半分、あるいはそれ以下しか達成されていない。アプリケーションをまたいだ共通ITインフラを設計することが本来の目的で、その上で柔軟かつ高信頼性、利用効率の高い共通ITインフラをつくり上げることだ重要。ストレージを含めて考えることが大切だ」と講演をはじめた。

 阿部氏は、従来のストレージのアプローチでは、柔軟なボリュームの貸し借りができない無駄な状態が発生すると話した。例えば、アプリケーションの容量はそれほど必要なくてもパフォーマンスに対する要求は厳しく、RAIDボリュームを構築するケース。あるいは、多くのディスクを使ってボリュームを作るが、パフォーマンスが遊んでしまっているケース。氏はこれらの状態を「サーバ仮想化によって得られる共有リソースの柔軟性が提供されていない状況」という。「VMwareのソリューションを使ってサーバ側で仮想化を実行するのであれば、ストレージ側も同じようなことができなければいけない。アプリケーションによってリソースを配置した後、対応するバーチャルマシン上のゲストOSが増えたときには、それにひもづくボリュームを瞬時にプロビジョニングし、ストレージリソースの貸し借りができなくてはならない」とした。

■共有ストレージプールの重要性

 また、VMotionを使ってアプリ・OSを稼動したまま違う物理サーバに移行する場合、VMware HAを使う場合にも、前提としてネットワークストレージが必要になってくる。サイトリカバリーマネージャーを使ったサイト障害時のフェイルオーバーをやる場合にもネットワークストレージが必要だ。VMwareの高度な機能を使用するにはネットワークストレージが必要不可欠で、ストレージの需要は今後ますます増加してくると話した。その際に大切なのは、DASに比べてイニシャルコストが高くなるため、利用効率を上げて費用対効果をしっかり出していくことだ。さらにサーバ仮想化によって集約されたアプリケーションをひとつのネットワークストレージ上で面倒を見ることになると、ストレージが壊れたときに影響を受けるアプリケーションやゲストOSの数も増えるため、対障害性が従来以上に必要になる。氏は「今後のストレージの要件としては、共有ストレージのプールがきちっと実装される必要がある。利用効率を上げて少ない容量で運用するには、データの重複排除というものも必要になってくる」と付け加えた。



 ストレージプールは物理環境と仮想環境の両方に共有のものを構築する必要がある。物理的なサーバで業務システムごとに割り当てていたものを仮想的に統合していく過程では、物理環境と仮想環境が混在することになる。パフォーマンスが厳しいものは、仮想化しないというアプローチも発生するだろう。これらの環境をひとつのネットワークストレージでカバーしながら、データを保護する機能を同時に提供していく必要がある。氏は、「ストレージプールに求められる要件」としては、シン・プロビジョニング、迅速なクローニングやプロビジョニング、プライマリーからセカンダリーまで含めて使える重複排除機能などを挙げた。

■NetAppのRAID-DPソリューション

 阿部氏はまず、データ保護の面から同社のストレージをアピールした。仮想環境では、ひとつのサーバ上で複数のOS・アプリが動いているので、何かあったときのダウンタイムの影響は当然大きくなる。そのため、サーバだけでなく、それに接続されているストレージ側もよりいっそうの信頼性が求められる。

 ディスクのボリュームが大きいとリカバリーにかかる時間が長くなり、他の同じ時期に納品された同じロットのディスクが同時に壊れてしまうことも考えられる。すると二重ディスク障害はそんなに珍しいものではなくなってくるが、RAID5では保護は不十分。かといってRAID10を採用すると、倍のディスクが必要になるのでコストがかかる。同社のRAID-DPでは、二重障害のディスクからも保護ができ、しかしパフォーマンス劣化がなく、RAID10と同等の保護機能とパフォーマンスを約半分のコストで実現できるとアピールした。RAID-DPはRAID-Double Partyの略で、RAID-4構成のパリティーを二重化したもの。RAID-6と同等でありながら、RAID-5の延長に作られた他社のRAID-6と異なり、RAID-4と同様に1本単位でディスクを増設しRAIDグループ事態を拡張することが可能だという。

■瞬時のバックアップ

 また、同社の場合、10TBのボリュームでSnapshotをとっても10TBコピーをするのではなく、ある時点でとったSnapshotを何度もひとつのボリュームに対してとることができる。そのボリュームをコピーしている時間も短いので、負荷を与えている時間も短い。また、Snapshotの機能を拡張して実装したSnapMirrorでは、変更のあったデータブロックだけをミラー先に転送する。このためデータ転送量を減らし、ミラーを高速に行うことができる。VMwareのサイトリカナバリーマネージャーとの組み合わせで使うことよって信頼が高い、仮想環境においても実現できるという。VMwareのサイトリカバリーマネージャー自体はレプリケーションの機能をもっているわけではないので、SnapMirrorの機能と連携をしている。スケジューリングも含めてSnapmirrorの機能を使っているという。





 さらに、Snapshotの技術を発展させたFlexCloneという機能では、作成されたクローンは読み書きが可能な点が特徴だ。そのためディザスタリカバリーのステップのプロセステストをクローンを用いて行なうことができる。FlexCloneではボリュームを消費せずにクローニングを行うことも可能だ。

「仮想ストレージをデータストアとして使う場合に、VMDK(仮想マシン ディスク フォーマット)の領域として500GBのものが必要になるとする。従来は4つクローニングすれば2TB必要になる。ところが、FlexCloneではまずテンプレートになるようなマスターデータを作成。重複排除の機能でスペースを削減し、プライマリーのテンプレートを用途に応じてクローニングをしていく。このため4つ違うテンプレートを作ったても2TBになることはない」(阿部氏)。

 管理の容易性という面では「SnapManager for Virtual Infrastruture」を紹介した。これは2月に発表したものだが、ボリュームを管理する上でストレージの知識がなくてもGUIベースの管理ツールを使ってポリシーを設定することでVmwar環境を考慮したバックアップ・リカバリーを行うことができるようになっている。

 阿部氏は「(仮想化は)いきなりプロダクションシステムに使うのではなく、テスト開発環境などあまりインパクトの大きくないものからはじめ、順次実際の基幹システムに展開シテイクアプローチをとっていくのだろうがいいだろう」、また再度「仮想化は複雑性の隠蔽だけが目的ではない。ストレージも含めて設計し柔軟性・効率性を考えることが重要だ」と話し、講演をしめくくった。
《RBB TODAY》
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