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【コラム】SaaSモデルの原型はケータイにあった?

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 NC(ネットワークコンピュータ)という言葉を覚えている人はいるだろうか。90年代後半に、サーバマシンにハードディスクなどを持たない端末をつなぐというコンピューティングのことだ。当時、この現象に対して、中央管理方式(メインフレームのタイムシェアリングシステム)から分散管理方式(サーバー・クライアントシステム)に移った反動であるという声もあった。

 結局NCは普及しなかったが、ここにきてその流れを汲むような動きとして「シンクライアント」がある。主にセキュリティニーズから、機能はPCそのものだが、データやアプリはローカルに持たないスタイルだ。かようにブームは繰り返される。先端技術の代名詞のようだったコンピュータも車やファッションと同様なトレンドを示すようになったのかもしれない。

 さて、SaaSである。Software as a Serviceの略。ちょっと前ならASP(Application Service Provider)という用語がそれに近いものだった。ソフトウェアをパッケージではなくサービスとしてネットワーク経由で提供しようという概念だ。これも、クライアント側にはアプリケーションソフトのコードは持たず、コマンドや結果をブラウザなどを経由してやりとりする。インストールやバージョンアップ、バックアップの手間がなくなるし、いろいろな面でコストダウンにもなる。

 これも、PCの性能が上がりプラットフォームの共通化(やVitual Machine技術)が進み、ネットワークインフラが整備されたことで実現した、というよりは、ようやくこのスタイルが実用域に達したということかもしれない。もちろんすべてのコンピュータ利用シーンがSaaSで十分になるとは思わない。パッケージソフトやデスクトップ環境もメリットはあるし、スタイルが固定され選択肢や迂回手順をなくす必要はないからだ。

 だが、このSaaSスタイルを製品やサービス発生当初から貫いているものがあった。

 ケータイだ。

 iアプリというスタイルもあるが、公式メニューによるさまざまなケータイサイトやサービスはSaaSの原型といえないだろうか。もともとケータイは電話だった(という表現の面白さに書いていて気づいて、なんともいえない気分)。データ通信端末としてはCPUにしろメモリにしろリソースが圧倒的に不足している。必然的に、そこでのサービスはバックエンド(サーバ側)の負荷やカバー範囲が広くなる。iアプリだって、当時でも考えられないKBオーダの実行ファイルサイズやデータ領域のプログラミングが強いられていた。

 などと思っていたら、あるセミナーの告知を見つけた。「スマートフォンで拡がるSASP・SaaSの巨大新市場」だそうだ。スマートフォンの出現により、モバイルでも高機能なアプリやサービスが可能になり、SaaSモデルがこの市場でも重要になる。ウェブでのサービスやビジネスモデルをモバイルでもどんどん取り入れ(逆も)ようというセミナーのようだ。講師陣も大手モバイルキャリアの商品企画や法人マーケティングやマイクロソフトなどの重役が名を連ねている。

 なるほど。もはや、モバイルとウェブを区別して話をすること自体意味をなさなくなってきているようだ。(今、いいこと言った! と自分で思ったのに)
《中尾真二》
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