【ワイヤレスジャパン2007 Vol.9】セミナー:CDMA2000技術の現状と将来展望(KDDI) | RBB TODAY
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【ワイヤレスジャパン2007 Vol.9】セミナー:CDMA2000技術の現状と将来展望(KDDI)

エンタープライズ モバイルBIZ
KDDI 技術渉外室 企画調査部 標準戦略G 主任 田村 知之 氏
  • KDDI 技術渉外室 企画調査部 標準戦略G 主任 田村 知之 氏
  • CDMA2000の発展:3GPP2ファミリの各規格の標準化の時期と、日本での商用開始時期を示したもの。下段は3GPPファミリのWCDMA方式で、CDMA2000の進化の速さとの対比
  • CDMA200の主要緒元一覧
  • CDMA2000 1Xの主要技術:第2世代方式後方互換
  • EV-DO Rev.0の主要技術:下り多重方式(TDM)
  • BCMCSの主要技術:概念
  • EV-DO Rev.Aの主要技術:フレーム長と短縮とマルチユーザーパケット
  • EV-DO Rev.Aの主要技術:上りハイブリッドARQ
 7月18日〜20日に東京ビッグサイトにて開催の「ワイヤレスジャパン2007」。2日目19日のネットワークコンファレンスにおいて、KDDI技術渉外室の田村氏より「CDMA2000技術の現状と将来展望」と題した講演が行われた。

 講演は、KDDI(au)が採用しているCDMA2000方式の各規格について、標準化とKDDIの商用サービスの両観点から、WCDMA方式とも比較しながら進められ、最後にKDDIが推進している「ウルトラ3G構想」のサービス展開が紹介された。

 1999年に標準化された「CDMA2000 1X」は、2GのcdmaOneサービスを継承しつつ、伝送速度を最大153kbpsに高速化(cdmaOneのIS-95規格は最大14.4/64kbps)、また電力制御高速化やターボ符号、可変長符号による通信品質の向上が図られた。これによりWebブラウジングやeメールなどのデータサービスが快適化されることになった。KDDIでは2002年4月から「CDMA 1X」として商用開始、「パケット割」を登場させたほか、「EZムービーメール」や「EZ着うた」「EZナビ」「EZアプリ」といったサービスを投入した。

 翌年2000年には「EV-DO Rev.0」が標準化され、下りが最大2.4Mbpsと大幅に向上され、TDM多重・適応変調・ハイブリッドARQ(下りのみ)などの使用によりベストエフォート型の高速パケットデータ通信が登場した。これにより大容量コンテンツのダウンロード系サービスが強化されるとともに通信効率が向上、低コスト化が可能になった。KDDIでは2003年11月に「CDMA 1X WIN」として商用開始し、「ダブル定額」などの定額料金を追加、また「LISMO!」や「着うたフル」「EZテレビ」といったサービスを投入した。なお、「EV-DO Rev.0」に相当する3GPPの「HSDPA」は2002年に標準化され、日本での商用開始は2006年であった。

 次に登場したのは、EV-DOの追加機能として同報配信サービスに対応した2004年の「BCMCS」(Broadcast Multicast Service)である。ユニキャストは「コンテンツサイズ×ユーザー数」に応じた無線リソースが必要だが、同一タイムスロットを複数ユーザーで共有するマルチキャスト方式では一定のスループットが確保可能となり、周波数の有効利用が実現した。これにより、ニュース等のリアルタイム性の高いコンテンツの一斉配信が可能となり、KDDIでは2006年9月に商用化、「EZチャンネル プラス」や「EZニュース フラッシュ」を投入した。

 「EV-DO Rev.0」の機能拡張として2004年に標準化されたのが「EV-DO Rev.A」である。上りが最大1.8Mbps(EV-DO Rev.0は最大153kbps)と大幅に向上され、またQoS・マルチユーザーパケット・マルチフローなどによる低遅延化を実現、Web 2.0系サービスや、リアルタイムコミュニケーションが快適化されることになった。KDDIでは2006年12月に商用開始し、「テレビ電話」や「EZ GREE」を投入した。

 「EV-DO Rev.A」の機能拡張により2006年に標準化された「EV-DO Rev.B」では、マルチキャリア概念が導入され、1.25MHz幅のキャリアを20MHz分まで束ねて高速化を図り、さらに下り変調方式に64QAMをオプション採用することで下りを最大4.9Mbpsまで高速化させることが可能となる。KDDIは今後、「EV-DO Rev.B」により、ベストエフォート系またはリアルタイム系サービスのさらなる大容量化・高品質化を実現したい考えだ。

 CDMA2000の最新規格は、今年2007年4月に標準化されたUMB(Ultra Mobile Broadband)である。下り最大288Mbps、上り最大75Mbps、20MHz帯域をサポートするOFDMAを採用、多様なタイプのマルチアンテナ技術など、伝送速度の最大化が図られており、今年中には関連するすべての仕様がそろうと見られている。KDDIではUMBにより、VoIP提供や低遅延サービスが可能になると考えている。

 KDDIは「ウルトラ3G構想」を打ち出しており、上記のRev.BやUMBへ拡張されていく第3世代ケータイをアクセスの核と位置付けながら、さらにはMobile WiMAXやIMT-Advancedといった新しい無線方式、デジタル放送、無線LAN、ADSLやFTTHとの相互的なサービス提供が可能な3Gネットワークの構築を進めている。田村氏は「このKDDIの考え方は、ITU-Tにおけるネットワークの方向性ともマッチしている」としている。また田村氏は、こうしたIPv6ベースの統合IPネットワークとアプリケーションが相互補完し、シームレスなサービスを提供するために、「MMDやIMSの標準化にも準拠したネットワーク構築を進める」と締めくくった。
《柏木由美子》
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