【FOE 2007 Vol.13】GE-PONと次世代PONシステムの技術セミナーは満席状態 | RBB TODAY
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【FOE 2007 Vol.13】GE-PONと次世代PONシステムの技術セミナーは満席状態

ブロードバンド その他
満席になった会場
  • 満席になった会場
  • PON型光アクセスシステム
  • ブロードバンドアクセスサービスの契約数の推移
  • FOE 2007では、RBB TODAYがこれまで取り上げてきた会場展示とともに、様々な専門セミナーも開催されていた。
  • GE-PONシステムの構成と特徴
  • GE-PONシステムの機能。コア機能であるPONインターフェース機能とDBA機能がある
  • GE-PONのインターフェース機能。
  • DBA機能。使われていない使用帯域がないように、上りのトラフィック量に応じて効率的に割り当てる。
 FOE 2007では、RBB TODAYがこれまで取り上げてきた会場展示とともに、様々な専門セミナーも開催されていた。ここでは「ギガビット時代に向けたPONシステムの最新状況と主要各社の装置開発動向」と題したセッションから、NTTによる講演を紹介する。最初に登壇したのはアクセスサービスシステム研究所光アクセスシステムプロジェクトマネージャ主幹研究員の雲崎清美氏。氏はFTTHの拡大を支えるGE-PONと次世代PONシステムについて解説した。

 まず、FTTHのアクセスシステムとしてシングルスター型とPON型光アクセスシステムを挙げた。シングルスター型はユーザと通信事業者の伝送設備をそれぞれ1対1(ポイント・ポイント)で接続する構成。シンプルな構成だが、ユーザーと通信事業者間の光ファイバーおよび通信設備をひとりのユーザが占有する構成であるため、設備数がユーザー利用者数に比例して増大する。そのため、コストもかかる。PON型システムは光スプリッターを用いて分岐伝送路を構成。そして通信事業者に設置されるOLT、ユーザー側に設置されるONUの間をポイント・マルチポイントで伝送する。この場合、光スプリッターからOLTの間までの設備をシェアする形となるため経済的なアクセスシステムを構成できるメリットがある。

 これらを踏まえて氏が説明したのが、IEEE 802.3ah準拠で2004年から商用導入がはじまったGE-PONシステムについてだ。GE-PONは、ユーザー宅にGE-PONのONUであるGE-ONUが設置され、通信事業者にはGE-OLTが設置される。ONUとOLTを結ぶ光伝送は最大32分岐の光スプリッターを介した1芯光ファイバーで伝送を行なう(上り1.3μm、下り1.49μm帯を使用)。また、映像配信のために1.5μm帯を使えるように準備されている。ユーザー宅ではGE-ONUとホームルーターを介してインターネットアクセスや光電話サービスの宅内機器が接続され、OLT側はアップリンクとしてコアネットワークに接続され、DCN(データ通信網)を介して保守監視のためのOSS(オペレーションサポートシステム)が接続されている。このシステムでは1芯の光ファイバーで最大1Gbpsの高速データ通信を提供し、アクセス区間をイーサネットフレームで転送するために、GE-ONU、GE-OLTでフレーム変換する必要がなく設置構成がシンプル、イーサネット技術を利用しているためイーサネット系サービスと親和性が高いという特徴がある。

 GE-PONシステムで重要なのがコア機能であるPONインターフェース機能とDBA(Dynamic Bandwith Allocation)機能だ。PONインターフェースで特徴的なのが、GE-PONのアクセス制御を行なうMPCP(Multi-Point Control Protocol)だ。これはONU登録のプラグアンドプレイを実現するディスカバリー、上り送信許可/送信要求により上り信号制御を行なうゲート/リポート機能などがある。下の図はディスカバリーシケンスの概略を示したものだ。また、DBAは最大1Gbpsの伝送容量を複数の複数のGE-ONUで効率的にシェアするため、GE-ONUからGE-OLTへの上り帯域をトラフィック量に応じて動的に割り当てる機能である。各ONUが上りデータを送信している状況では、例えばFBA(固定帯域割当)では、上りのトラフィックが流れていない時にも帯域が割り当てられたままなので、未使用帯域が生じてしまう。また固定的に割り当てるため、例えば32台のONUを接続すると1Gの容量をシェアすると1台あたり30Mbpsくらいに最大帯域が制限されてしまう。これに対して、DBA(動的帯域割当)はトラフィック量に応じて動的に割り当てるため、使われていない帯域がないように上りのトラフィック量に応じて効率的に割り当てることができる。

 光映像配信システムではユーザー宅に映像配信システムのV-ONU、通信事業者にV-OLT、放送事業者に光映像配信装置が設置されており、光送信装置からの周波数多重された信号がV-OLTを介してGE-PONシステムにオーバーレイされる形になるという。これによって1芯の光ファイバーで1.55μmの波長を使用した光映像配信とGE-PONによる高速データ通信を同時に提供することが可能になる。光映像配信システムでは1波長(1.55μm帯)で最大SDTV500ch(HDTVでは最大100ch)の多チャンネル映像信号を伝送可能だ。この信号を伝送する方式には強度変調方式とFM一括変換方式といった代表的な2つの伝送方式がある。具体的には下記の表に説明されたが、強度変調方式が光送受信機の構成が単純だが、雑音の影響を受けやすく、一方のFM一括変換方式はやや複雑だが雑音の影響を受けにくいという特徴がある。

 次世代のPONシステムついては、ベストエフォートサービスの高速化と帯域占有サービスの高速化の2種類の方向性が考えられる。例えば、10Gbpsの帯域を複数ユーザーで共有する10G TDM-PON。もうひとつはユーザーごとに別の波長を割り当てて通信帯域を占有できるようにするWDM-PONだ。10Gbps TDM−PONを採用するとベストエフォートを今の10倍まで提供可能になり、そのときの帯域専有の最大値は300Mbpsになる。これ以上の帯域占有サービスを提供しようとすると、WDM-PONを適用するのが一つの候補となる。1G WDM-PONだと1Gbpsの帯域占有サービス、10G WDM-PONだと10Gbpsの帯域占有サービスを提供可能だ。ちなみに10G TDM-PONはIEEE P802.3av 10G-EPON Task Forceが設立され、10G−EPONの物理レイヤの標準化が開始されている。まだまだ検討の初期段階だが、前提仕様として、上り下りとも10Gbpsで対称型のもの、下り10G、上り1Gの非対称のものがある。GE-PONの光伝送路を可能とすること、既存PONシステムとの共存が課題として挙げられている。WDM−PONでは、光スプリッターを用い分岐光伝送路を活用した例として、単一のONUでありながらいろいろな波長で通信できるファンクションをもたせてWDM-PONを実現する波長可変型カラーレスONUを採用するものと、ONUで自動波長設定を用いたものが考えられる。

 参加者からは、WDM-PONで1Gbpsを占有可能ということについて、どの波長を用いるのかとの質問があがった。氏は色々なデザインの方法があると思うとした上で、1.55μm帯の上に未使用の領域(フューチャー番号)や波長の隙間を使っていく方法が考えられるとした。さらに、例えば上り下りが別波長で使う場合には、それをどういう風に並べてどの帯域に入れるかいうことになると回答した。
《RBB TODAY》
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