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世界カメラ市場調査、デジタル一眼レフが市場を牽引

IT・デジタル デジカメ
 富士経済は27日、デジタルカメラ、ビデオカメラ、医療用カメラなどのカメラ市場とカメラ部材・モジュール市場の調査結果を「2006年 カメラ総市場の現状と将来展望」として発表した。

 本調査の対象となったのは、カメラ本体がデジタル一眼レフ、デジタルカメラ(コンパクトなど)、カムコーダー(民生用)、カムコーダー(業務用)、PCカメラ、車載カメラ、監視カメラ、医療用カメラ、産業用カメラ、カメラ部材とカメラモジュールが撮像素子、画像処理LSI、レンズ、交換レンズ、ローパスフィルター、電子シャッター、カメラ用モーター、ジャイロセンサー、カメラモジュール。

 調査結果では、デジタルカメラの世界市場は2005年には約7,600万台、2006年には約8,200万台に達する見込みだ。さらに、同社では2011年には8,820万台に達すると予測していて、主にデジタル一眼レフが480万台から830万台へと173%もの伸び率を示すとしている。

 2005年にデジタル一眼レフ市場にキヤノンのエントリーモデル「EOS Kiss Digital N」やニコン「D50」が投入されたことを受けて前年比52%増の378万台と市場が拡大し、2006年も引き続き前年比27%増の480万台となる見通しだ。ただし、銀塩一眼レフが根強く残る北米市場では、日本や欧州ほどの高い伸びは見られない。

 コンパクトカメラで市場は、北米では2005年まではコンパクトタイプへの買い替え需要により市場規模が拡大したが、2006年には鈍化していて、2007年以降はマイナスに転じると予想される。コンパクトカメラの普及率が低い南ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアでは買い替え、買い増し需要により2008年までは市場が拡大すると予想される。アジアでは、高度経済成長を続ける中国を中心に市場が急拡大していて、2011年以降も拡大を続けるとされた。

 日本のデジタルカメラ市場はすでに成熟し、年間800万台から850万台で推移している。金額では2003年の2,500億円をピークに徐々に減少する見通しで、2011年には785万台、2,220億円と予想される。

 コンパクトデジタルカメラでは、最も人気が高い実勢価格3〜4万円台の機種は600万画素クラスが主流となり、手ぶれ補正機能、液晶サイズの大型化、高感度などの付加機能が搭載されている。日本のコンパクトデジタルカメラ市場は、2005年は前年比3.8%減の約510万台、2006年は2%減の500万台、2011年には490万台と市場は徐々に縮小すると見られている。価格は下落傾向にあるものの、下げ止まり感がある。

 デジタル一眼レフ市場では、2006年にソニーがコニカミノルタの事業を受け継いで「α100」、松下電器産業がオリンパスと事業提携して開発したレンズ交換式の「LUMIX DMC L1」を発売した。単価が下がり、開発サイクルが短くて収益率が低いコンパクトデジタルカメラ市場と比較して、交換レンズやアクセサリーによりユーザーの囲い込みが可能なデジタル一眼レフ市場に家電メーカーが参入したことにより、今後の市場の勢力図が変化する可能性が高いと同社では見ている。2005年の日本のデジタル一眼レフ市場は前年比49%増の55万台、2006年は前年比27%増の70万台となる見込みだ。今後も年率10%強で市場は拡大し、銀塩一眼レフの最盛期と同じ年間127万台程度にまで市場が拡大すると予測される。

 その他のタイプでは、レンズ一体式(ネオ一眼)市場がデジタル一眼レフカメラとの相乗効果で市場が拡大しつつあるが、ソニーや松下といった主要メーカーがレンズ交換式デジタル一眼レフ市場に新規参入したことから、高級モデルの成長率のマイナス幅が拡大するだろうとした。

 医療用カメラ(内視鏡)の2006年の世界市場は45万台、日本市場は2.8万台となる見込みだが、2011年には世界市場は12倍の540万台、日本市場では30倍の83万台に達すると予測される。

 一般型内視鏡はメンテナンスが必要とされるためにサービス体制の構築が必要とされる反面、ユーザーの囲い込みが可能な商品でもある。日本市場ではオリンパスメディカルシステムが70%程度のシェアを持っている。

 現在は経口タイプがメインだが、今後は患者の負担が少ない経鼻タイプが徐々に増えていく傾向にある。また、カプセル型は1回使い切りなので、メンテナンスが不要で新規参入メーカー、ドクター、患者すべてのメリットがある。現在の単価が1万円だが、2008年には8,000円程度、2011年には5,000円程度に下がり、さらには2008年以降は電池内蔵型から無線給電や誘導自走式となり、2011年頃には自動診断や自動検出機能が備わると予測される。日本ではまだ認可がされていないが、認可後の普及は速いとみられ、2007年初頭に認可されれば2011年にはカプセル型内視鏡市場が80万個規模に達すると予測される。世界市場では、2001年以降に欧米でギブソンイメージング社のカプセル型内視鏡が認可されたことを受け、2005年の内視鏡市場19.6万台のうち、カプセル型内視鏡が15万台程度を占める。

 民生用カムコーダーは、北米市場では300米ドル以下の低価格モデルの需要が圧倒的に多い。日本とは異なり、1,000米ドルを上回るハイビジョン機は普及が進まず、2008年でも北米市場の10〜15%程度と思われる。ヨーロッパ市場も同様で、市場が本格化するのは2011年以降と予測されている。ブラジル、ロシア、インド、中国でも低価格モデルの人気が高くて価格競争が激化すると見られ、カードスロットを省いたエントリーモデルの投入が必要になるとした。

 業務用カムコーダーは、北米市場ではハイビジョンタイプが浸透したことにより、市場規模が横ばいから微増に転じている。ヨーロッパ市場では、ハイビジョンタイプへの切り替えが行われつつあるものの、2011年までは横ばいで推移すると予測される。中国では、北京オリンピックを控えている影響でブロードバンド制作会社のハイビジョンタイプへの切り替えが急速に進んでいる。

 PCカメラは、ブロードバンド環境が比較的早い段階で整備されたアメリカ、ドイツ、イギリス、韓国や台湾などのアジアの一部の国では、インターネットによる動画や音声を使ったコミュニケーションが発達しているため、PCカメラの需要が拡大している。

 車載カメラの世界市場は2005年で160万台で、うち日本市場が158万台を占めている。海外のカーメーカーでは、車載カメラで視界を補助するという考え方が一般的ではないことにくわえ、モニタ付きカーナビゲーションシステムが普及していないためにインフラが整っていないことが大きな要因だ。しかし、今後は海外においてもカーナビゲーションシステムの普及が見込まれる上に、エアバック制御の法規制化による車内監視を目的としたカメラの需要が見込まれることから、海外においても市場は徐々に拡大すると見られる。

 監視カメラの2005年の世界市場は700万台で、うち日本が58万台(8.3%)、北米が210万台(30%)、ヨーロッパ210万台(30%)、アジアが200万台(28.6%)、その他が22万台(3.1%)となっている。日本メーカーでは松下電器産業と日本ビクターが国内出荷量の約3倍を海外に輸出しているが、三菱電機は国内販売のみとなっている。

 エリアセンサカメラに代表される産業用カメラでは、カラー化、デジタル化、高画素化、高フレームレート化が進んでいるが、いまだ全体の80%を白黒カメラ、電子部品実装装置と半導体製造装置関連が50%を占めている。産業用カメラの販売先企業は、自動車、鉄鋼、半導体産業があるヨーロッパと北米に集中していたが、最近では中国、韓国、台湾などのアジア諸国のシェアが年々高くなる傾向にある。
《富永ジュン》
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