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【ニュース解説】NGNと地デジは同じ?——NTTのFTTH回線契約目標の下方修正が意味するもの

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光アクセスの純増数の推移と契約目標
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 NTTは9日、中間決算報告とともに、ほぼ1年前に同社が目標として掲げた、2010年までのFTTH契約数を3,000万回線契約から2,000万回線とする発表を行ったが、この発表はNGNを電話という確立された社会インフラの置き換えと見た場合、一般ユーザーとして注意しなければならない問題をはらんでいる。

 NTTでは、2007年9月現在のBフレッツの契約数はおよそ742万となっている。2008年3月の時点では、947万契約という予想をしているが、これは契約の純増数で前年比の28%の伸びという予想にということになる。グラフをみてのように、2005年の175万契約の純増は、前年比113%、翌2006年は前年比で52%の伸びという推移となっている。確かに純増数の伸びは鈍っているといえるだろう。

 2010年には3,000万契約というのは、おそらく2006年度の実績である50%前後の伸びがしばらく続くとしての予想と思われるが、あと3年で2,000万に下方修正したということは、2008年以降は2007年度の予想値である340万前後の純増数で推移するとの予想になる形だ。

 RBB TODAYでは、NTTのいうNGNを、インターネットの別の選択肢としてのネットワークという側面があり、当面はインターネットサービスでは不十分なQoSやミッションクリティカルな用途での使われ方が主流になるとみている。このレベルでは、インターネットのQoSやセキュリティに満足していな用途のユーザーのニーズに応える形で、どちらかというと使う必要がある人が積極的にそれを選ぶサービスといえる。これらのユーザーに対して、NTTの計画が遅れたとしても、単に待つか別の手段を模索するなどの対応がとれるので、あまり深刻になる必要はない。

 しかし、その一方でNTTにとってNGNは既存の銅線による電話回線と固定電話をFTTHによって再構築しようというものがある。FTTH回線の普及が十分でない状態で、NGNなのでいままでの固定電話を切り替えてほしいといわれても、回線の整備されていない地域やそのことで料金が上がってしまう、あるいは単純に面倒な切り替えはしたくないというユーザーは少なくないだろう。

 これに対してNTTは、料金については現行のひかり電話と同程度の料金水準を目指している(ベストエフォート、標準品質でのQoSの場合)としている。また、固定電話のサービス終了については、現時点では決定事項はないとのことだ。

 料金については、現行のひかり電話でも基本料金や通話料で固定回線より安くなる場合がある。料金やサービスについては、むしろ新しい今後の市場が見込めるサービスに切り替えたほうが有利であるという一般論が通用する可能性がある。FTTHがきていないという問題は、FTTH回線のカバーエリアに入っているが契約していないのか、本当にカバーしていないのかをよく見極める必要がある。今回のNTTの目標の修正は、あくまで契約数の目標だ。FTTH回線が2,000万回線しか敷設できないということではない。

 市町村合併などで自治体単位でのカバー率が進んでいるようにみえるが、過疎地域などはいまだに放置されているという現実もある。非常に難しい問題ではあるが、それだけに企業理論だけでことが進まないことを期待したい。NTTとしても、免許事業である通信事業者としてのサービス責任を無視するような形でドラスティックな決定はしにくいだろう。

 2011年には地上波停波で古いテレビは使えなくなる予定だ。それより1年前になる2010年に固定電話(PSTN網)停止というには準備期間が少ないように思えるが、それは単に時間の問題でもある(NTTは、すぐ止めるともいっていないがPSTNをずっと残すともいっていない)。PSTNとNGNのブリッジテクノロジーがでてくるのか、CATVやインターネット電話に固定電話(緊急通報など)と同等な機能を開放するのか、対応策はまったく未知数だが、サービス提供者が変えようとしているPSTNについての認識をユーザー側でも変えていく、端的にいえば固定電話へのこだわりを捨て、そしてさまざまな代替手段を考える必要がでてきているのかもしれない。
《中尾真二》
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