【Tech・Ed Vol.5】OneNoteで実現した業務改革(前編)
マイクロソフトのとある支店では、業務改善について思い切った発想の転換を行った。昨年の9月から用紙のプリントアウトを禁止したのを手始めに、ホワイトボードの使用禁止、メモ帳(紙)使用禁止、ノート(紙)使用禁止、会議室の使用禁止、本社・他支店への電話禁止、出張禁止、筆記具の使用禁止。これで仕事になるのか?というほどの禁止事項が並んだ。しかし、どうしても禁止できないことがひとつだけあった。それは「書く」ことだった。「当初、PCですべてをやってみようと思ったが、やはり無理だった。そこでタブレットPCをはじめて使ってみた」という。
いろいろなことを禁止することで、まず学んだことがある。「我々の前に立ちはだかってきたのは既成概念だった。これをいかに壊していくかが苦労したポイントだった」と筏井氏は説明する。報告書はフォーマット化して提出しなければいけないのか?マニュアルは文字ベースで詳細に説明してある方が良いのか?あるいは、業務効率化にはグループウェアや新たなIT設備が必要になってくるのか?
支店で徹底活用したのは「OneNote」とタブレットPCだった(ちなみに「OneNote」は、「Office 2010」の法人向け「Office Standard」に組み込まれることになっている)。実際に筏井氏は、他のスピーカーのようにパワーポイントでこの講演を進めるのではなく、タブレットPCとOneNoteを使いながら進めていた。
支社ではまず、ファイルサーバーには従来のエクセルなどのファイルではなく、OneNoteのファイルを置き、複数のPCから同時編集を可能にした。誰かが自分のPCでファイルを編集した場合、ファイルサーバにあるOneNote上のファイルは各PCの編集と同期がとられる。ここには保存とかアップロードという作業は不要だ。タブレットPCを使いながらOneNoteで手書きの報告書を作成し、必要なパワーポイントなどのファイルはOneNoteに挿入(添付)。従来の会議はアイデア出しの時間に変わっていった。また、これを報告書として東京本社のチームに提出した(メール送信した)。相手がOneNoteをインストールしていなくても、メール送信ではHTML形式などに変換できるため気にならない。「報告書などには決まったテンプレートを使って記載するものと思い込んでいたが、東京のチームに送って怒らるどころかわかりやすいと評価された」。
これを転機にいろいろな利用方法を思いついていった。OneNoteは、ファイル挿入オプションとして、元のファイルへのリンクを挿入する、ファイルのコピーをページに挿入する、ノートを追加できるようにファイルを印刷イメージとして挿入するという3種類が選択できる。画面キャプチャをとるのが面倒だという人は添付のファイルをダブルクリックして展開し、挿入→画面の領域を選択してトリミングすれば、そのままOneNote上に指定範囲の領域を貼りつけることができる。既存のファイルやマニュアル作成や説明は写真入り、手書きの説明入りの便利なものへ変化した。
マニュアルについてはこんな使いかたもあるという。例えば農家でコンバインを購入して新し操作方法を勉強しなければならないケース。農家では高齢者も多いため、最新のテクノロジーを搭載したコンバインの分厚い説明書はを理解するのは骨がおれる。そんなときに、デジカメで写真をOneNoteに取り込み、タブレットPCで手順番号や矢印をつけながら仕上げた説明書は格段にわかりやすいという。「ITの現場では手書きのものは排除していく傾向にあったが、これが逆に使える段階に進化したということができるのではないか」「マニュアルはワードやパワーポイントで仕上げようとするとすごく大変だが、OneNoteで簡単に取り込んだものを写真と組み合わせるなどして活用すれば、5分で作れてしまう」。応用は無限大だ。筏井氏は、上の写真のようにPC組み立ての際の説明にOneNOteを活用している金沢のコンピュータ専門学校の例、CADの図面の修正への活用例などをあげ、いかに業務に時間がかからず効率的に仕事をこなすことができるかを説明した。
また、OneNoteでは共同作業で、すぐにフィードバックを入力してもらうことができる。ライブ共有セッションを使えば、リアルタイムで相手とやり取りができる。たとえば上記のCADで作成した図面の修正を電話のみで説明するのは困難だが、この機能を使って修正箇所をOneNote上で指示すればわかりやすい。
さらに同社では、音声議事録を活用した。録音状態でタブレットPC上で同時メモをとっていく。しかし長時間の会議の場合にはすべての録音データを聞くのはつらい。OneNoteでは、音声を録音しながらテキストを書き込んだ時間を記録している。そのため指定の録音データを即座に確認することができる。たとえばグラフや絵を描いているときに講師が何を話していたかを確認することも容易だ。これをそのまま、他のメンバーと共有した。後編ではOneNoneを使ったチーム連携を紹介する。
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